北朝鮮、中国船と「瀬取り」か 日本政府が国連安保理に通報
2018.5.29 18:09 産経新聞
政府は29日、北朝鮮のタンカーが国連安全保障理事会の制裁に反し、洋上で船を横付けして石油などを移し替える
「瀬取り」を19日に東シナ海で行った疑いがあると発表した。もう一方の船舶は中国国旗とみられる旗を掲げていた。
政府は安保理北朝鮮制裁委員会に通報するとともに、中国に外交ルートで「関心表明」を行い、懸念を伝えた。
外務、防衛両省によると19日未明、中国・上海の南東約350キロの公海上で、北朝鮮船籍タンカー「JI SONG6号」と、
別の小型船舶が横付けしている現場を、海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県)所属のP3C哨戒機が確認した。両船舶は
照明をつけてホースを接続しており、政府は「瀬取り実施が強く疑われる」と判断した。
問題の北朝鮮タンカーは北朝鮮制裁委が3月、制裁の一環として入港禁止などの対象に指定していた。もう一方は船籍不明だが
中国国旗を掲揚しており、政府関係者は「断定はしないが中国船だ」とみている。
政府は昨年末から海自や海上保安庁による瀬取り監視活動を行っており、疑い事例の公表は約3カ月ぶり5回目。
このほか今月には韓国船籍のタンカーが北朝鮮船に横付けした現場も確認したが、韓国政府は関与を否定した。
政府は国際社会とも連携。オーストラリア、カナダ両国は4月末から米軍嘉手納基地(沖縄県)に哨戒機を派遣して監視活動を
行っており今月上旬には英国のフリゲート艦も参加した。
東シナ海の公海上で横付けして照明を点灯している北朝鮮船籍タンカー「JI SONG 6号」と船籍不明の小型船舶=5月19日午前3時20分頃(防衛省提供)
北朝鮮船籍タンカー「JI SONG 6号」=5月19日午前6時10分頃(防衛省提供)
船籍不明の小型船舶=5月19日午前6時頃(防衛省提供)