米韓軍事演習中止の要求、習氏が正恩氏に促す ５月上旬
2018年6月17日05時00分 朝日新聞
中国・大連
中国・大連で５月上旬に開かれた中朝首脳会談で、中国の習近平（シーチンピン）国家主席が北朝鮮の金正恩
（キムジョンウン）朝鮮労働党委員長に対し、米韓合同軍事演習の中止を米国側に求めるよう促していたことが
分かった。中国外交筋が明らかにした。
今月１２日の米朝首脳会談の場で、トランプ米大統領は正恩氏の要求に理解を示したとされ、中国の思惑が
反映された形だ。
中国外交筋によると、大連会談の席上、正恩氏は北朝鮮が拘束していた牧師など３人の米国人について
「解放する用意がある」と伝えた。これに対し、習氏は「行動対行動の原則に基づくなら、先に動くことには利がある」
と賛意を示したうえで、見返りの一つとして米韓軍事演習の中止を米国側に求めるよう提案したという。
正恩氏は、平壌へ戻った翌日に米国人を解放。さらに米朝首脳会談を控える中で核実験場を爆破するなど、
非核化に取り組む姿勢を示した。
北京の北朝鮮筋は「我々が最も優先するのは体制保証だ。米韓軍事演習中止の要求は（中朝首脳会談前に）
念頭になかった」とするが、朝鮮中央通信によると、正恩氏は米朝首脳会談でトランプ氏に「相手を敵視する
軍事行動の中止」を求めた。
これに対し、トランプ氏は米朝会談後の記者会見で「戦争ゲームをやりながらの交渉は適切ではない」と
演習中止を示唆。「軍事演習には非常に金がかかる」と費用負担の面からも継続に後ろ向きの姿勢を示した。
演習中止に否定的だったハリー・ハリス前太平洋軍司令官も、次期駐韓大使への指名公聴会で
「大規模演習は一時中止すべきだ」と述べるなど、政権として北朝鮮の求めに応じる構えを見せている。
長年続く米韓軍事演習は、中国にとっても安全保障上の大きな懸念だ。北朝鮮による核実験などで地域の緊張が
高まるなか、中国は昨年３月以降、北朝鮮の核開発と米韓軍事演習を同時に停止するべきだとの主張を展開。
米軍が北朝鮮への対応を理由に韓国に配備した高高度迎撃ミサイルシステム（ＴＨＡＡＤ（サード））にも
強く反発した。中国が朝鮮半島の安定を訴え、米朝間の交渉に影響力を及ぼす背景には、在韓米軍の影響力を
弱める狙いもうかがえる。
拘束者3人の返還の見返り・・・米韓軍事演習＝北朝鮮と中国の利。
まさか、これでチャラ？重さの違いを判らない訳じゃないと思いますが。
ディールが得意なトランプ氏の決断。大きく譲歩して後でガツンといくつもりか？