ユーザーはフェイスブックの「商品」、共有情報は管理不能
2018.03.20 Tue posted at 17:41 JST CNN
ニューヨーク(CNNMoney) ユーザーの個人情報は、フェイスブックでは通貨に相当する。同社は日々、そうした情報を
売買している。
例えば特定の政治的関心をもつ、特定の年齢層の顧客向けに広告を出したいと思った場合、フェイスブックではそれができる。
ユーザーがフェイスブックで共有した内容と、フェイスブックがそのユーザーに関して行った推測は、同じようなユーザーの
データと組み合わされ、氏名を削除した状態で、パッケージ商品として企業向けに販売される。企業はこれを利用して、影響を
与えたいユーザーの画面に広告を表示する。
フェイスブックでは、ユーザーは「商品」であり、広告主が顧客になる。
フェイスブックだけではない。広告に支えられているほとんどのネットワークは、ユーザーの情報の一部を第三者に販売している。
グーグルも、マイクロソフトも、ヤフーも、アマゾンも、ツイッターも同じだ。
ユーザーは無料でフェイスブックを使う代償として、プライバシーをさらす。ほとんどの場合、その交換条件はうまくいく。
ユーザーは投稿や検索や共有に無料サービスを利用する。ほとんどの企業はそのデータを収集し、フェイスブックのような企業が
許容する範囲内で、正規の目的にそれを利用する。
だが、ユーザーを商品とするやり方が、常にユーザーのためになるとは限らない。英国のデータ分析会社「ケンブリッジ・
アナリティカ」が2016年の米大統領選挙に介入する目的で、フェイスブックのユーザー5000万人の個人情報を不正に
入手していたことが、このほど発覚した。
インターネット企業にとって、ユーザーがもっと自分の情報を自分で管理できるようにすることへのインセンティブ(動機付け)は
低い。ユーザーが共有する情報が減れば、SNSの収益も減る。
ほとんどのサービスにはプライバシー設定機能がある。だが簡単に使えるようにはしていない。
どんなデジタルサービスであっても、いったん何かを共有すれば、そのユーザーの個人情報は本人には管理できなくなる。
ケンブリッジ・アナリティカの問題は、そのことをはっきりと思い知らせてくれた。
今回の問題にかかわった研究者は当初、フェイスブックのユーザー情報を適切な方法で入手した。しかしフェイスブックの
説明によると、この研究者は同社の規約に違反して、その情報をユーザーの許可なくケンブリッジ・アナリティカに提供した。
データの難点はそこにある。いったん外に出てしまったデータは、境界を築くことが難しい。
フェイスブックは、ユーザーのデータを入手する企業や研究者を信頼し、データを適切に使ってもらうことを想定する。
もし規約が破られたとしても、罰則を適用すればいい(例えば同社はケンブリッジ・アナリティカを締め出した)。
だがその時には既に、ユーザーのデータは不正に利用されている。
「いったん自分の安全圏を離れてしまえば、それを管理するのは難しい」「ケンブリッジはフェイスブックの抜け穴の多さに
付け込んだ」。セキュリティー企業トレンドマイクロのリック・ファーガソン副社長はそう指摘している。