EMERALD WEB≪拝啓 福澤諭吉さま≫

政治・経済・生活・商品情報などさまざまな話題で情報を発信してます。

中国の大風呂敷、「世銀への挑戦」はかけ声倒れ

2020-12-20 11:09:42 | 国家経済・株式市場・為替・金融

中国の大風呂敷、「世銀への挑戦」はかけ声倒れ

2020 年 12 月 19 日 05:09   WSJ

 

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」By Mike Bird

***

 中国の鳴り物入りで設立されたアジアインフラ投資銀行(AIIB)が誕生してから、もうすぐ5年が

経とうとしている。AIIBの設立は当時、アジア開発銀行(ADB)や世界銀行に挑戦しようとする

中国の意欲を反映したものだと評された。

 

 だが、それから5年が経過した今でも、現実はそうした姿にはほど遠い。

 

 AIIBの資産保有高は9月末時点で307億8000万ドル。中国主導のもう一つの国際金融機関である

新開発銀行(NDB)が保有する193億2000万ドルを加えても、ADBが持つ2508億ドルの5分の1にも

満たない。

 

 そればかりか、世銀の構成機関である国際復興開発銀行(IBRD)、国際開発協会(IDA)、

国際金融公社(IFC)よりも少ない。これら3機関を合わせた資産保有額は6000億ドル超に上る。

 

 AIIBは今年、融資が急増した(資本が潤沢なため著しい増加にも対応できた)ものの、

戦略国際問題研究所(CSIS)がまとめたデータによると、国際的な金融機関の新規融資に占める

AIIBの割合は5%にも届いていない。承認された融資額で見れば、その割合はさらに小さい。

 

 アジアの商業・経済外交の多くの分野で見られるように、日本は声こそ小さいが、小切手帳は大きい。

日本はADBにとって最大の出資国だ。これに対し、中国の大規模な金融介入は、轟(とどろ)く

ばかりのニュースで何年か前から示唆されるほどには至らないことがある。

 

 AIIBが設立された当時、中国と多くの国々の国際関係は今よりはるかに友好的だった。

英国とオーストラリアは中国の習近平国家主席の訪問を受けた後、米国の反対を押し切って

AIIBに加盟した。

 

 今ではそうした追い風は吹きそうにない。中国と多くの先進国との関係は冷え込んでいる。

出資比率2位のインドは今年、商業や領土の面で、中国との一連の紛争に直面している。

 

 AIIBはより重点を絞った国際融資機関だというのが最善の擁護論となるだろうが、それでは既存の

機関とさほど変わらない。そうだとすれば、5年前にとうとうと説明があったように、中国政府が

影響力を駆使するための主要な源泉、あるいは人民元の使用を促すための手段とはなりえない。

 

 AIIBの将来がどうなろうとも、一部が想像したような、中国による外国への影響力を金融面から

力強く支える存在とはなりそうにない。

 

中国はデジタル人民元で金融の覇権を狙っているが、中国の国家としての信用度を考えると

国内と一部の中国に従順な国家に限られるのではないかと思う。とはいっても油断は出来ない。

米国はデジタル通貨の開発、流通を確立し、中共に金融の覇権を渡してはならない。

基軸通貨の一端を担う日本も開発に奮闘してもらいたい。

 


人気ブログランキング