「ニーチェが京都にやってきて~」の単行本を読んでみた。表紙の女子高生のイラストでは、中年以降の男性が、気軽に持ち歩いて読むというわけにはいかない雰囲気でもある。
場所は、京都。大学時代に寺町今出川付近の学生寮に住んでいたので、次から次にでてくる地名が懐かしい。河原町、丸太町、四条通、白川通、鴨川などなど。出町柳駅がでてきた時には、懐かしさがぐっと込み上げてきた。定番の「哲学の道」の登場は当然だろう。
17歳の女子高生が、恋愛もどきで落ち込んでいた時、ニーチェに会う。やさしさのかけらもない冷たい言葉で熱く接するニーチェに、女子高生の彼女だけでなく20代の自分を重ね合わせてワクワクしてしまう。彼の有名な哲学用語が次々とあらわになる。と、キルケゴールが登場する。「なんじゃこりゃ」というのが正直な感想。さらにワーグナー、これは、小島アリサのコージマの関連でだろうか、ショーペンハウアーもやってくる。
「ニーチェは欲望を押し殺さず、積極的に生きていくべきだと言った。」
「キルケゴールは、自分にとっての真実が大切だと言った。」
「ショーペンハウアーは、人生は苦痛で、感性こそが大切だと言った。」
サルトルがやってきた。面倒くさい奴の登場だと思っていると、ちょっと暗い奴、ハイデッカーもやってきた。この本どうなっているのかと思いつつここでもワクワク興奮してしまう。何度も読んだ彼の代表作「存在と時間」、まったく理解できなかった想い出がガツンときた。最後の登場が、ヤスパース。「愛」で終わるところが、17歳の女子高生の物語らしい。
360頁の読み応えのある本である。上中下巻構成のマンガもあるようだ。ただし、個人的には、途中何度か出てくるイラストが、我らの時代のイメージと合わなくて困ってしまった。
昔、ニーチェに凝った60代、70代の高年齢の方々にぜひ、お勧めしたい。
<想い出の一枚>
寺町今出川近く
<主夫の作る夕食>
串カツに挑戦、鍋に入れすぎ、皿に盛りすぎ。初めてですから、こういうこともあります。