予備校「ニチガク」が突如、閉鎖。大学入学共通テストまであと2週間という時期に閉鎖した。「塾人」としては最低だ。想像するに、入試というイベントを利用して最後の金集めに走ったとしか思えない。冬期講習で集金し、直前講習で集金し、来年の共通テスト対策を今から始めよう高2生から集金する。そして逃げる。
つぶれた塾・予備校を多く見てきた。最初に見た光景は、ある塾から送迎用の車を購入、その後、書類をもらいに行くと校舎は真っ暗、イスも机もない状態で、その後、話を聞くと、保護者からも借金をし、夜逃げ同然に消えて行ったそうである。
自ら働いた塾も聞こえはいいがM&Aという名の身売りで、2度悲しい目にあっている。塾業界は、少子化の波に直撃される。私が、働き始めた時の子供数は約150万人、現在の赤ちゃんは、75万人以下である。凄まじい少子化である。その波を超えるべく「個別指導」という塾の形態が流行する。集団指導の塾講師を35年以上続きけた経験から、個別指導のメリットデメリットは、ある程度理解しているつもりである。塾経営者側から見るメリットは、なんといっても基本学生に任せることが多いので、賃金という報酬が最小限ですむということである。「ニチガク」のニュースを見ていても学生アルバイトが登場している。選任講師と学生アルバイトで効率的に働かせ、成績上昇と希望校合格を勝ち続ける強固なシステムが必要となる。少しでも弱みを見せ始めると生徒減が急速に進む。そして、教室閉鎖、倒産、会社が潰れる。
M&Aで吸収された阿〇上塾は、最盛期13の教室を擁していた。その13教室のそばを通るたびに教室が減っていくのを見た。私が勤務していた時に2つ閉鎖された。その後1年で3つ閉鎖。それから昨年小倉北を通ると、いつの間にか教室が消えていた。そして、つい先日、八幡西区の南に位置する教室も阿〇上塾看板が消えていた。阿〇上塾45年のネームバリューも一瞬で消えていった。残るは3つか?
それにしても、入試数週間前での閉鎖には驚く。個人的な話だが、私個人、入試2週間ほどまえに、数年前にいれた眼球レンズが、ずれてしまい、運転するのがとても危険な状態になった。片目が前方を見、もう一方が左を見ているという状況である。眼科に通うが、とにかく手術が必要ということで、入試当日の手術の予約をし、手術。その後1週間ほど勤務を休んだ。教室長としては、当然のことだと思っていたが、「ニチガク」の経営者たちは、その責任の軽さをどう思っているのであろうか、驚いてしまう。教育にたずさわる最低の人々であろう。
ちなみに、このニュースから知ったのだが、2024年度の塾・予備校倒産件数は過去最大となり、特に負債額が以異常に大きかったことを知った。その主な理由は、個別学習塾運営の「個別指導塾スタンダード (福岡市)」が倒産したことにあるという。負債額は、約83億円。私の住む近くも次々とフランチャイズ形式かつ個別指導の塾が次々と開校したが、次々と閉鎖していった。その一つがスタンダードであった。塾は、小資本で開設可能であるが、継続して生徒集めをするのは難しい。塾の仕事の7割は生徒集めである。そのことを知らない学生アルバイト先生は、塾講師として就職を希望することになるのだが、そのブラックを胸に刻むべきである。
さて、親としてどのような塾に通わせるべきか、どのような塾が倒産していくのかを見極める必要がる。(続)