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主夫の徒然なるままに

私の見た塾の興亡史(4)

 さて、2年間、10教室以上で授業を行った。小さな個人塾での経験は、役に立つかと心配していたが、この塾は、個人塾の集合体であった。テキストと月謝が同じこと以外すべて各教室まかせ。生徒数のノルマを達成すれば、すべてが許される。(少し危ない塾講師もいた)

 さて、新学年の初授業日、生徒たちがどっと入室してくる。昨年度までの先生がすべて退職、初顔合わせの授業となる。生徒たちはあまり驚きはなかったようだ。退塾を考えていた生徒も残った。以前の講師がすべて辞めたことを知った保護者が、「塾をやめさせる!」と叫びつつもすぐに落ち着いて新学期が始まった。各学年数名から十数名という危機的な人数であったが、質の良い生徒が残っていたので快適な授業風景が流れていった。熱心に授業を聞くよい生徒たちであった。

 塾講師の仕事。「教える」ことと思っている人が大半だと思うが、塾講師の仕事の大部分は営業である。チラシを作る、袋詰めにする、門配をする。お知らせを作る、欠席、遅刻、月謝の未納を連絡する。保護者と面談する、入塾案内を作り、入塾希望者とその保護者と長時間話をする。夕方、授業が始まる前に疲れ切ってしまう。塾でアルバイトをする学生たちは、時々、塾講師になろうと決意する学生がいるが、裏側に潜むブラックを知らない。

 塾の生徒集めをどうするか。ほかの教室を見ると、毎日、地域にチラシ配りをしている教室などもあったが、何かピンとこない。とにかく、参考書を探すことにし、大型書店に通うことになる。ネットでも探してみる。この手のハウツー本も百冊以上見つけることができる。おもしろそうなのを片っ端から購入、読んでみることにした。

  何度も読み返し、参考にした2冊;
「生徒は必ず集められる!教育・スクール業界の集客バイブル」
「口コミ伝染病」

  「口コミ伝染病」を基本とした生徒増戦略を立ててみることにした。つまらないチラシを作らない、つまらないチラシのために足を使わない、口コミの乗る話題を作っていく、ITの力を活用する。
 当時は、まだ、家庭への連絡は紙でのやり取りが主流であった。「イベント参加の方は、申し込みに印鑑を押してお子様を通じて提出してください」こんなのんびりしたやり取りにビックリ。遅刻や休みの連絡は、電話だった。授業中に何度も電話がなる。事務職員など置けない個人塾では、授業が中断する、電話に出ないと評判を落とす。メールを使えば瞬時に解決するはずと思っていたら、この塾には、入室退出メールシステムが既に存在していたが、どの教室もカードを入室退出時に利用すれば、ポイントが付くだけに利用していた。この機器を利用し、保護者との連絡に活用、さらに口コミの種も配信するようにした。
 保護者、生徒、講師のパイプが強固なものとなった。今となっては当たり前のことだが。


<想い出の一枚>




<主夫の作る夕食>
さんまの塩焼き、かぼちゃの煮つけ。時には、和風で。

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