「ドラムタオ」という名前は、相当昔から聞いているような気がする。調べてみると、30年ほど活動していることを知った。一度は見てみたいDRUM TAOを北九州市で体験できて幸運であった。
印象に残ることは多くあった。まず、和太鼓の迫力である。これだけは、ネットやCD、映像では、絶対に体験できない音である。
複数の太鼓の音のみで続くシーンは、個人的に最も感動的なものであった。古代中国の戦闘シーンでは、太鼓による鼓舞、気持ちを奮い立たせる場面が多いが、戦うものの高揚と感動を共有できた気がした。
エンターテインメントとしての構成も素晴らしいものがあり、飽きさせないところは30年も続く理由でもある。「タオ」というのは、中国語の「道」、中国の哲学用語でもある。日本流には、書道や武道、柔道などに使われる「道」である。太鼓の「道」が、DRUM TAOであろう。太鼓であるので、日本的だと思われるが、「タオ」がつくことによって中国的でもある。エンターテインメントとしても、日本的な部分もあり、中国的な部分もあり、どちらかといえば、オリエンタルな、東洋的な雰囲気で楽しませてくれると考えていいと感じた。それ故にアメリカやヨーロッパなどでは、わかりやすいオリエンタルエンターテインメントとして大いに受け入れらえたに違いないと思う。
三味線や、琴、笛、尺八など日本的な楽器も多く登場する。外国人にわかりやすい音色を響かせている。個人的に尺八を少し習ったことがあるが、シュワルツェネッガーが登場する映画などで尺八の音を効果的に聞かせる場面、「ブウォー」と鳴り響かせるあの尺八の音である。実際の尺八の音楽では、その音はめったに出てこない。と、少し批判的な見方もしたくなるが、最後まで楽しませてくれることに喜んでしまった。さすがに、世界観客動員1000万人を楽しませた実績である。
不思議な感じなのは、帰り道、妙に聴覚がよくなり、いろいろな音が、聞こえるようになったこと。また、体全体が軽くなったような、健康になったような、体が喜んでいる感覚におそわれた。体の芯までにドラムの振動が浸透したのだろうか。
楽しい経験であった。