金生遺跡を世界遺産 世界標準時の天文台にしよう会

縄文時代の宇宙へようこそ

ようこそ 縄文時代の宇宙へ

縄文時代の宇宙は、太陽と月だった。
太陽と月が空を移動して、季節が変わり、海辺では潮の満ち引きが起こっていた。
この関係を知ることから、縄文時代の宇宙への認識が始まった。


それから約10000年後の2023年の今も、それでも人類の行動範囲は、縄文時代のにんしき範囲から、おおきくは違っていない。
つまり人類社会の基礎には、太陽暦と太陰暦があるけれど、星占いは・・・ 銀河暦は無くて、縄文時代と変わっていない。
しかし、縄文時代から大きく変わったのは、CO2は化石燃料から出し、自然界の処理能力を越えた。
さらに、窒素固定はマメ類などの根粒菌利用から、化学合成の生産量が自然界の窒素固定と同じレベルにまで達した。

 


 抗して人類の活動により地球の自然環境をきき的状況に至るげんかいまで買えてきたことである。
今の人類の知恵でも環境危機これは避けられるのか。
人類社会はまだそこまでの知恵に達していないようだ。
ウクライナとロシアの戦争さえ避ける知恵が無かった。
他でも同様なことがいくらでもあるから・・・。
それ以前に縄文時代より大変になったのは、デフレもインフレさえも避けることが出来ていないことだ。

図はお借りしました
引用しますーーーーーーーーーーーーーー

     これから追加して行きます

 生物の中には、大気中の窒素をアンモニアに変換できるしくみ(能力)をもったものがいます。常温常圧で大気中の窒素をアンモニアに還元する能力を有する微生物を『窒素固定細菌』と呼びます。

窒素固定細菌は、単独で窒素固定を行う単生窒素固定細菌と植物と共生しながら窒素固定を行う共生窒素固定細菌の2つに分けられます。根粒菌は、ダイズなどマメ科植物の根に共生して、共生窒素固定能によって大気中の窒素ガスをアンモニアに変換して宿主植物に供給してくれます。

地球生態系全体の窒素循環から見ると、マメ科植物と根粒菌の共生窒素固定が大変大きな役割を果たしています。下の写真のように、ダイズを栽培すると根に丸い根粒が着生します、この根粒の内部に生息する数μmの微生物が根粒菌です。
 
saeki01.png
ダイズ根粒とgfp遺伝子が組み込まれた根粒菌が感染した根粒断面
根粒内部のレグヘモグロビンで赤くみえる部位に根粒菌の感染(緑色蛍光)が確認できる

 根粒の中で根粒菌は、窒素固定に必要な酵素(ニトロケ゛ナーセ゛)を作り、窒素ガスをアンモニアにして植物に供給します。 たた゛し、ニトロゲナーゼには、酸素があると力を発揮できないという弱点があります。そこて゛、宿主植物はニトロゲナーゼが働けるように血液中のヘモグロビンと同じように酸素を捉まえるレグヘモグロビンを合成し、酸素濃度が高くならないようにします。根粒の断面が赤い色をしているのは、このレグヘモグロビンによるものです。

 このようにマメ科植物と根粒菌は共生窒素固定のためにお互いに協力しあって精巧な共生窒素固定の仕組みを構築します。この根粒菌の力の秘密を明らかにできれば、現在、たくさんのエネルギーを使って生産されている化学肥料の使用量を大きく減らすことも夢ではありません。

 ここ数年、地球温暖化による影響がいたるところで報道されています。地球温暖化は温室効果ガスによるものです。窒素以外の窒素酸化物は地球温暖化や大気汚染の原因となります。多くの微生物は、硝酸呼吸という嫌気呼吸の一種で、NO3- → NO2- → NO → N2O → N2のように硝酸を還元して窒素まで変化させる能力を持っています。しかし、亜酸化窒素(N2O)までの還元能力しか持たない微生物も多く、二酸化炭素の300倍の温室効果ガスとしてN2Oが発生してしまいます。根粒菌は窒素固定を行いつつ、硝酸呼吸(脱窒)を行うユニークな特性を有しています。また根粒外のN2Oを取り込んでN2に還元する能力を有する根粒菌も存在します。このような根粒菌を有効活用することによって温室効果ガスの発生を抑えることができます。

 近年の研究によって根粒菌の全ゲノム配列が解読されています。もちろん、解読されたからといって、根粒菌の秘密のすべてが分かったわけではありません。しかし、ゲノム配列の解読によって、これまでの研究を加速する形で、根粒菌とマメ科植物との共生メカニズムや群集生態の解明が進んでいます。近い将来、根粒菌とマメ科作物の生理生態学的特性を利用することで、畑からの温室効果ガスの発生を抑制して環境保全を実現しつつ、さらに窒素固定による食糧生産の増大に寄与できる農業が実現するかもしれません。ヒトの知恵で植物と微生物の力を発揮させ、土に負担をかけないように持続的に食糧生産を可能にすることでヒトと地球の共生が成り立つことでしょう。
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 ヒトが人工的に作れないものの一つに土があります。
土は長い長い年月をかけて環境が作る産物です。その土には1gあたり数十億から数百億の微生物が暮らしています。そしてその土に育まれる植物(生産者)を起点として動物(消費者)微生物(分解者)が生息する陸地生態系が成り立っています。現在、様々な形の農業形態が生まれていますが、土を基盤とする農業が食糧生産の大部分を担うことはこれからも変わらないでしょう。

 生物の中には、大気中の窒素をアンモニアに変換できるしくみ(能力)をもったものがいます。常温常圧で大気中の窒素をアンモニアに還元する能力を有する微生物を『窒素固定細菌』と呼びます。
窒素固定細菌は、
単独で窒素固定を行う単生窒素固定細菌と
植物と共生しながら窒素固定を行う共生窒素固定細菌の2つに分けられます。

根粒菌は、ダイズなどマメ科植物の根に共生して、共生窒素固定能によって大気中の窒素ガスをアンモニアに変換して宿主植物に供給してくれます。
地球生態系全体の窒素循環から見ると、マメ科植物と根粒菌の共生窒素固定が大変大きな役割を果たしています。下の写真のように、ダイズを栽培すると根に丸い根粒が着生します、この根粒の内部に生息する数μmの微生物が根粒菌です。
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そもそも「窒素固定」とは
「空気中の窒素ガス(分子状の窒素)を利用して、窒素化合物を合成すること」です。窒素固定には「工業的窒素固定」と「生物的窒素固定」があります。

農作物に用いられる、化学的に合成された窒素肥料は「ハーバー・ボッシュ法」と呼ばれる工業的窒素固定で合成されたものです。これは鉄を主体とした金属触媒上で空気中の窒素と水素を高温・高圧条件下で反応させ、アンモニアを生産する方法です。しかしこの方法には大量の化石燃料が必要で、工業的窒素固定で排出される二酸化炭素量が環境問題の観点から問題視されています。

一方、生物的窒素固定は、窒素を固定する性質をもつ微生物の窒素固定酵素「ニトロゲナーゼ」による酵素反応で窒素化合物の合成が行われます。
生物的窒素固定の例でよく知られているのはマメ科植物と共生する根粒菌が行う空気中の窒素固定です。
そのほか、シアノバクテリア、光合成細菌、らん藻、そして本記事でご紹介するアゾトバクターなどが窒素固定菌として知られています。
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アゾトバクター、根粒菌は共に酸素呼吸によって窒素固定反応に必要なATPを生産しています。
しかし、ニトロゲナーゼは酸素があると不安定になり、酸素によって窒素固定反応は阻害されます。この矛盾をどのように解決し、これらの菌は窒素固定しているのでしょうか?

アゾトバクターの場合、細菌の表面(原形質膜)に酸素呼吸系が結合し、ここで酸素を消費してATPを生産していますが、細胞表面に拡散してくる酸素がここで全部消費され、小さな細菌の内部に酸素が侵入しないようにしています。ニトロゲナーゼは酸素のない細胞の内部に局在し、ここで細胞の表面で生産されたATPを用いて窒素固定を行っています。

根粒菌はダイズの根など、レグヘモグロビンを含む根粒細胞に共生していますが、レグヘモグロビンは酸素を強く捉えることができるため、根粒細胞の中の全酸素濃度(レグヘモグロビンー結合酸素+遊離酸素)は高いのですが、遊離酸素はゼロに近い濃度(~10-7 M)です。(ヒトの血液の場合、血液を水に置き換えますと、全酸素濃度はヘモグロビンを含む血液の僅か2.5%に低下しますが、遊離酸素の濃度は約100倍になります。この様に(レグ)ヘモグロビンは全酸素濃度を高めますが、遊離の酸素濃度を極端に低下させます。)根粒菌の原形質膜の呼吸系はこの低濃度の遊離酸素を消費してATPを生産しています。そしてアゾトバクターと同様、このATPを利用して遊離酸素のない細胞内部に局在するニトロゲナーゼによって窒素固定を進行させています。
この様に小さな細菌でATP生産と窒素固定を離れたところで進行させ、酸素の必要性と酸素感受性の高いニトロゲナーゼ反応を両立させています。

光合成をするシアノバクテリアにも窒素固定をする種があります。光合成によって発生する酸素が窒素固定を阻害するため、窒素固定専用の細胞(ヘテロシスト)にニトロゲナーゼを局在させ、光合成を行っている細胞からATPと 還元力をもらって、窒素固定を行っています。好気性の窒素固定菌は以上の様にして、酸素が窒素固定を阻害しないようにしています。嫌気性の窒素固定細菌は窒素固定に必要なATPを発酵など,酸素呼吸以外の系路によって生産しています。

生物ではNH3からアミノ酸に、更に蛋白質になって多種、多様な機能をもつようになるわけですが、ほんの僅か工業的に固定される窒素を除けば、地球の全ての生物のアミノ酸、蛋白質は、この好気性、嫌気性の窒素固定菌が固定したNH3に由来しています。
現在までのところ、原核生物のみがN2を固定することができ、窒素を固定できない細菌、全ての真核生物は窒素固定細菌が固定したNH3に依存して生存していることになります。
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生態系の中で微生物などによって大気中から固定化される窒素の量と、窒素が気体状のN2に再び還元されて大気中に戻される量は、ほぼ均衡しています。このため、大気中のN2濃度も、地球上の窒素の量も長期間にわたって安定していました。

窒素からアンモニアを作る技術「ハーバー・ボッシュ法」の誕生
アンモニアを作る反応自体はN2+3H2→2NH3と簡単ですが、これを効率よく進めるのは非常に困難で、チリの硝石などを原料にするしか方法がありませんでした。ところが、フリッツ・ハーバーとカール・ボッシュというドイツの2人の化学者が、大気中の窒素を人為的に固定して窒素肥料などに利用できる技術を開発し、状況が激変しました。ハーバーは1909年、175気圧、550度という高温高圧の環境下で特殊な触媒を使い、人工的に大気中の窒素からアンモニアを合成する手法を開発しました。さらにドイツの化学会社BASFのボッシュが、触媒の改良などによってハーバーの原理の商業化に成功し、1913年には大量のアンモニア製造工場が誕生しました。これが今日まで100年以上続く、ハーバー・ボッシュ法と呼ばれるアンモニア製造技術です。

この技術によって、農業生産は画期的に向上しました。当時、水素は石炭を改質して得ていたため「空気からパンを作る方法だ」と呼ばれました。ハーバーは1918年に、ボッシュは1931年に、ノーベル化学賞を受賞しました。

大きくかき乱れる窒素循環
こうして100年以上にわたって大気中の窒素を大量に固定して、肥料や工業的なアンモニアの形で供給し続け、さらにもう一つの問題として、炭素だけでなく窒素も含む化石燃料を150年以上にわたり大量に燃やし続けて窒素酸化物を大気中に放出し続けたことにより、窒素循環は大きくかき乱されるようになりました。

 生物自身による窒素固定量はおよそ年間5400万トンですが、人類による工業的窒素固定は推定年間3000万トンもあります。これに燃焼などを加えると、人類が環境中に排出している窒素の量は年間総計で約1億700万トンと、自然由来の窒素固定量をはるかに上回っています。

さまざまな環境影響
人間が自然界の窒素循環に介入したことにより多くの環境問題が引き起こされています。

・大気汚染・酸性雨・光化学スモッグ

化石燃料の燃焼から出る窒素酸化物(NOx)は、「大気汚染」を引き起こします。NOxは、大気中で雲粒などに取り込まれて化学反応を繰り返し、強い酸性の雨や乾いた粒子状物質として降下する「酸性雨」の原因物質でもあります。また、炭化水素とともに太陽の紫外線のエネルギーによる光化学反応を起こし、オゾンに代表される光化学オキシダントを生成します。これは「光化学スモッグ」の原因物質です。

日本国内のNOxの排出量は近年減少傾向にあり、ピークの2005年の半分程度になっていますが、2020年度の常時監視測定結果によると、光化学オキシダントの環境基準達成率は、一般の測定局で0.2%、自動車排出ガス測定局(自排局)で0%と、ほとんど達成できていません。

・海洋の富栄養化

大量の窒素化合物が河川や海洋などの水環境に引き起こす環境問題も深刻です。瀬戸内海や東京湾のような閉鎖性海域に大量の窒素やリンが大量に流れ込むと、それを栄養分として利用する植物プランクトンが急速に増え、「富栄養化」を引き起こします。茨城県・霞ヶ浦のアオコの大量発生はその典型例です。アオコなどが異常増殖すると、水中の酸素を大量に消費し、魚などが死滅してしまいます。河川や湖沼の水を水道水などとして利用している場合には取水ができなくなったり、異臭味が発生したりします。

2011年に米国の環境シンクタンク世界資源研究所(WRI)とバージニア海洋科学研究所(VIMS)は、生物が住めなくなるデッドゾーン(死の海域)530カ所と、富栄養化が深刻な海228カ所をマップで公開しました。これらの海域面積は、ニュージーランドの面積に匹敵する合計24・3万平方キロに上ります。世界のデッドゾーンの面積は1950年から4倍になったと報告されています。

・地下水汚染

窒素が地下水に入ると別の問題も引き起こします。農地などで使用された窒素の一部は硝酸となり、地下に浸透し、硝酸性窒素となります。硝酸性窒素の一種である亜硝酸性窒素は、血球のヘモグロビンを酸化してメトヘモグロビンに変化させます。メトヘモグビンは酸素と結合できないため血液中の酸素が少なくなり、酸素が欠乏する「メトヘモグロビン血症」を引き起こします。硝酸汚染された地下水を飲むと、乳児などがこの病気を引き起こすため、水道水質基準が設定されています。
1960年代、岐阜県各務原市で周辺の農地で大量に使われた窒素肥料が主な原因で地下水の硝酸性窒素汚染が発覚し、水道水質基準を大幅に超える水準で汚染が検出されました。この地では施肥手法の改善などによって軽減されつつありますが、環境省の2017年度の地下水質の概況調査の結果では、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の環境基準超過率が2.8%とこれまでで最も高くなっています。環境基準を超過する井戸の数は1999年以降急激に増え、地下水汚染に改善が見られません。

科学者からの警告
 このように大気、淡水系、海洋にさまざまな悪影響をもたらす窒素の大量使用について、2001?05年の国連主導の国際科学プロジェクト「ミレニアム生態系アセスメント(MEA)」では、肥料などの窒素やリン酸化合物の陸地生態系への供給が1960年に比べて2倍になっており、過剰に蓄積された窒素が生物多様性に重大な影響を与えると危険性を指摘しています。

 2009年にストックホルム・レジリエンス・センターの環境学者ヨハン・ロックストロームと、オーストラリア国立大学の化学者ウィル・ステフェンを中心とする科学者のグループが提唱した「プラネタリーバウンダリー」に関する研究では、9つの分野の生態系の限界のうち、窒素汚染が最も突出しています。彼らは「人間の活動は、地球のすべての陸上プロセスを合わせたよりも多くの大気中の窒素を反応性の形態に変えており、この反応性窒素の多くは、作物に取り込まれずにさまざまな形で大気中に放出される。雨で洗い流されると、水路や沿岸地帯を汚染し、地上の生物圏に蓄積される」と指摘しています。


火力発電への燃料アンモニア利用
火力発電へのアンモニア利用については、そもそも化石燃料を改質して水素を使用しているためにCO2の排出削減に貢献しないことや、高温高圧状態を作り出す必要があるハーバー・ボッシュ法の拡大がエネルギー消費の増大につながる問題などが指摘されています。

また、たとえ技術革新があったにせよ、大気中の窒素を人為的に固定してアンモニアを作る限り、火力発電の代替燃料としてのアンモニアの利用は、人類による窒素循環のかく乱という問題からは無縁ではなく、むしろただでさえ大きくバランスが崩れている窒素循環にさらに介入し、陸域や水系への負荷を増やすことになります。

さらに、火力発電でアンモニアを燃焼させた場合には、NOx排出問題の大きさも無視できません。アンモニアは炭素Cを含まないため、燃焼時はカーボンフリーですが、多くのNOxを排出し、強力な温室効果ガスである一酸化二窒素(N2O)ができることもあります。

酸素が少ない場合:NH3 + 2O2 → HNO3 + H2O 

酸素が多い場合: 4NH3 + 5O2 →4NO +6H2O

NOxが原因の大気汚染を防ぐためには、強力な脱硝装置などが必要になります。電力中央研究所の研究開発では、約20%の混焼率ならNOxは大きな問題にはならないとしていますが、混焼率が増えていった時の問題は全く未解決です。経済産業省のホームページでも、「これまでの実証試験では、アンモニアを20%混焼しても、排気中のNOx値を石炭だけを燃やした専焼の場合と同じ程度に保てることが示されています。ただし、これまでの試験炉は小規模なものだったため、実用化するには規模を拡大し、実際の設備を活用した実証試験が必要」と課題を認めています。

以上のように、窒素を人為的に固定させアンモニアの利用を拡大していくことにはさまざまな深刻な課題があります。現在、政府は燃料アンモニア利用を推し進めており、世界のアンモニア需要を現在の2億トンから2050年に7億6千万トンと4倍近くまで増えるという見通しを立てています。しかし、既に自然の許容力を超えている窒素の生態系への負荷を急速に減らす必要がある中で、逆に窒素問題を大きく深刻化させてしまいかねません。

アンモニア利用方針については、過去100年以上にわたって窒素循環を人類が大きくかく乱してきたという事実や生態学的視点への配慮、長期的な持続可能性や地球環境問題への総合的な視点を踏まえて、見直される必要があります。
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生物的窒素固定を行う特定の微生物は、自然界で窒素固定を可能にするための阻害回避機構をもつか、酸素のない条件下(嫌気環境など)で窒素固定を行います。藤田祐一著『作物が窒素固定する時代に向けて 酵素のエベレストに挑戦』で取り扱われている微生物の一種シアノバクテリアは、窒素固定生物の中で唯一、窒素固定と光合成を両立させています。

非共生窒素固定細菌であるアゾトバクター属細菌は酸素のある条件下で窒素固定能があります。前田勇『微生物共培養による窒素固定能の発現 微生物共生体における窒素からアンモニアへの変換』(化学と生物?Vol. 55, No. 2, 2017)には“アゾトバクター属細菌は呼吸保護と呼ばれる、細胞内酸素濃度を低く維持するための酸素消費速度の調節機構を有する”とあります。

また、ニトロゲナーゼが酸素に弱いため、酸素を効率的に取り除くための遺伝子を導入したり、ニトロゲナーゼの量が少ない可能性を考え、ニトロゲナーゼ自体の量を増やすための研究が行われています。

『Exploiting Biological Nitrogen Fixation: A Route Towards a Sustainable Agriculture』では、世界中で行われた科学的努力のおかげで、ニトロゲナーゼ遺伝子の塩基配列が決定され、2012年にデータベースが作成されたこと、非マメ科作物に窒素固定能を導入するための戦略を定義づけられたこと、窒素固定に必要な遺伝子カセットを特定してすでに遺伝子組み換え酵母で実験が行われていることなどを挙げ、これらの成果は植物にニトロゲナーゼを導入する目標に近づくものであると記しています。

窒素固定作物が実現化するのはもう少し先の話になるかもしれません。しかし、作物自身が窒素固定を行い、肥料を必要としない日が来れば、窒素肥料を化学的に製造する量が減り、それは自然環境の保護、持続可能な農業の実現につながるでしょう。今後の研究に期待が高まります。
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 作物の栽培においてもっとも多用される肥料は窒素肥料である.戦後の“緑の革命”において,多量の窒素肥料を投入することにより作物の生産は飛躍的に向上し,世界人口の急激的な増加に対応することができた.その反面,窒素肥料の利用は温室効果ガスの排出を促進することから環境に悪影響をおよぼす.

ダイズなどのマメ科植物は土壌微生物である根粒菌と共生することにより大気中の窒素分子を固定し利用する.陸上植物の進化の過程においてマメ科植物が根粒菌との共生能を獲得した機構を解明することにより,持続的な循環農業に貢献できると考えられる.
はじめに
 1960年に30億人であった世界人口は,2000年には60億人に達し,2050年には90億人になると推定されている.20世紀後半における人口爆発をささえたのは食料の大幅な増産であり,これを可能にしたのはコムギおよびイネにおける“緑の革命”であった.すなわち,品種改良により草丈を短くし子実の重量の増加にともなう倒伏性を克服したことにより,窒素肥料の過剰な施用に対応したことである.ハーバー法の発明により窒素肥料の生産量は飛躍的に増大したが,これにともない環境への負荷は増大した.アンモニアの合成および尿素などの2次的な生産において温室効果ガスが排出され,さらに,過剰な施肥により作物に吸収されない窒素は河川および近海の富栄養化の原因となり,これは水圏の酸素濃度の低下による生物の大規模な死滅をひき起こす.また,農耕地において余剰な窒素が硝化や脱窒をうけることにより,二酸化炭素のおよそ300倍の地球温暖化係数をもつ一酸化二窒素が発生する.中長期的にみた農業活動の持続と環境保全のためには,収量を担保しつつも窒素肥料の施用を低減することがもとめられる.このためには,品種改良による作物の窒素の利用効率の向上や薬剤による硝化および脱窒の抑制,緩効性の肥料を利用した窒素の施肥技術の改善などがあげられるが,抜本的かつ効率的な解決策として,共生細菌による生物学的な窒素固定の利用が考えられる.生物学的な窒素固定は一部の原核生物のみにみられ,ニトロゲナーゼのはたらきにより大気中の窒素分子をアンモニアに変換する.すなわち,共生的な窒素固定を利用することにより窒素肥料への依存から脱却することが可能になり,したがって,窒素肥料の施用にかかわる温室効果ガスの排出を大幅に削減することにつながる.
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1970年代からの地球上における人口爆発を支えたのは「緑の革命」と呼ばれる農業システムの変革でした。「緑の革命」は、「多収量品種の育種」と「化学肥料の施肥による集約的農業システム」を両輪とし、21世紀までの人口増大を支える食糧増産を担ってきました。その一方で、天然ガスを原料としたハーバーボッシュ法により化学合成された窒素肥料の畑への大量投入は、作物が吸収しきれない窒素肥料の流出による環境汚染、及び、温暖化ガスである一酸化二窒素(N?O)の放出につながっており、N?Oガスの約6割は、農業活動に起因していることが知られています(図4)。

土壌中には、N?Oを還元してN?に無害化する能力を持つ微生物が存在し、この微生物の能力を活用することにより、N?Oガスを無害化できないかというアイディアが生まれました。2013年、本プロジェクトPMの南澤グループは、N?O還元活性を持つダイズ根粒菌B. diazoefficiensのダイズへの接種により、圃場におけるN?O無害化に世界で初めて成功しました。 この成果は、N?O還元活性根粒菌と共生するダイズ栽培系が、
(1)共生窒素固定による化学肥料に依存しない作物栽培
(2)農耕地で発生するN?Oの無害化
の両面で、地球環境への負荷を低減する持続的作物栽培への可能性を具体的に示したのです4)。
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1960年代の緑の革命により作物生産量は飛躍的に増加した。この作物生産量の増加に大きな役割を果たしたのが、化学合成された窒素肥料の利用であり、現代農業において窒素肥料は不可欠なものとなっている。このような化学肥料の利用は、亜酸化窒素など温室効果ガスの増加、あるいは過剰な窒素の流出による湖沼などの富栄養化が問題を引き起こしている[18][19]。このような問題に対して、根粒菌の改変や根粒を持つマメ科植物を用いた環境負荷の少ない農業が注目されている[19]。
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限定された宿主範囲
被子植物の一部に分類されるマメ科植物は、草本から木本まで幅広く19,500種ほどが同定されている一大群衆です。これら多くのマメ科植物は、根粒菌との共生相互作用によって根粒を形成することができます。2で述べたように、マメ科植物と根粒菌は、相互作用を通じて様々な物質の授受を行っています。これらの物質の授受は、根粒共生を進めていく一方で、双方間の〝好み〟を決定するメカニズムにも直結しています。これは、全てのマメ科植物と根粒菌との間でランダムに共生を成立されることができない仕組みで、共生を可能とする互いの範囲が限定された宿主特異性となっています。

マメ科植物以外の植物にも根粒形成を付与できたら
私たちは、マメ科植物特有の根粒共生の分子メカニズムの解明に取り組んでいます。なぜマメ科植物だけがこのような能力を獲得したのか、どのような物質の授受が相互作用に重要なのか?宿主特異性はどのように決定されるのか?これらの分子メカニズムは、まだまだ解らないことがたくさんあります。また、マメ科植物と根粒菌との共生窒素固定は窒素肥料の軽減に繋がる優良形質であり、このメカニズムを明らかにすることは、農業現場の観点からも重要となっています。将来、マメ科植物以外の植物(作物)にも根粒形成を付与させて、窒素肥料の軽減や持続性農業の実現に繋げることが可能になることを夢見ています
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 初期生命の進化に新しい手がかりが見つかった。
生命を支えるには、窒素を取り込んで利用できることが欠かせない。その窒素固定ができる超好熱性のメタン生成古細菌(メタン菌)が35億年前の深海熱水環境にいた可能性が高いことを、海洋研究開発機構の西澤学研究員と東京農工大、東京工業大学の研究グループが明らかにした。
地球初期の深海熱水環境で誕生した化学合成生態系がその後の多様な生命進化の起源になったとする説を支持する発見として注目される。5月16日付の国際地球化学会誌Geochimica Cosmochimica Actaオンライン版に発表した。

 窒素はタンパク質やDNAなどの生体分子の材料になる重要な元素だが、空気の約8割を占める窒素を取り込んで、アンモニアに変換する窒素固定は難しい。自然界では、光合成をするシアノバクテリアやメタン菌などが窒素固定をして地球上の生命を支えてきた。地球初期の窒素固定は光合成とともに、生命進化の原動力になったと考えられているが、その進化の過程がこれまで実証されていなかった。

 海洋研究開発機構の有人潜水調査船「しんかい6500」と支援母船「よこすか」は2006年、熱水が深海から噴き出す中央インド洋海嶺「かいれい熱水フィールド」で、窒素固定能を持つ超好熱性(70℃以上で生存、増殖可能)メタン菌と好熱性(70?40℃で増殖可能)メタン菌を採取した。この海底は地球初期の深海熱水環境の特徴を残している。

 研究グループはこの2種類のメタン菌を培養して実験した。いずれも窒素固定をしており、その反応速度は熱水化学組成によらず一定で、シアノバクテリアに比べて10倍も速いことを確かめた。特に、超好熱性メタン菌は、鉄やモリブデンの幅広い濃度条件で窒素を固定できた。地球初期の海水はモリブデンに乏しく鉄が多かったと考えられており、超好熱性メタン菌は初期の深海熱水環境でも活発に窒素固定していた様子がうかがえた。

 さらに、地球初期の古い地層に残された「暗号」を解読するため、窒素固定の同位体分別値を測定した。窒素には質量数14と15の同位体が存在する。窒素分子からアンモニアを固定する際に、窒素同位体存在比が変化する度合いを同位体分別値と呼ぶ。培養実験で得たメタン菌の窒素固定の同位体分別値と、35億年前の深海熱水活動で形成された石英脈(西オーストラリアのノースポール地域の地層)の窒素分子の同位体組成の関係を調べたところ、35億年前の深海熱水環境に生息したメタン菌が窒素固定して増殖していた可能性が高いことがわかった。

 今回の研究結果を基に初期生命の進化をたどると、地球が約45億年前に形成され、
少なくとも38億年前に原始生命が海で誕生したあと、
35億年前には深海熱水域でメタン菌が窒素固定能を獲得し、
34億年前以降に光合成をする細菌が海洋表層に出現して、海に生命が満ちあふれていったという大きなシナリオが描ける。
生命を支える窒素固定遺伝子は地球初期の深海熱水環境で生まれ、生命の共通祖先かメタン菌から光合成細菌の祖先に伝わったことが裏付けられた。

 西澤研究員は「インド洋の深海熱水環境で採取したメタン菌の培養実験から、地質の記録を解読する鍵を手に入れて、35億年前の地層に残された暗号を読み取った。少なくとも35億年前の深海熱水環境に生息した化学合成菌は窒素固定ができたのだろう。窒素固定は光合成に先んじて出現し、光合成細菌に窒素固定の遺伝子が伝わった。今後は、初期の海洋表層で起きた生命進化のプロセスを明らかにしたい」と話している。

 

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