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北海道・北東北の縄文人が季節ごとに変化する資源に対応してどのような行動をとっていたか

北海道・北東北の縄文人が季節ごとに変化する資源に対応してどのような行動をとっていたか、それを説明している論説に出会った。

陸奥湾内で冬に行われたマダラ漁に注目したいと思う

北海道・北東北の縄文人が季節ごとに変化する資源に対応してどのような行動をとっていたか、
構成資産の遺跡群では生業の季節性を復元する研究が進められている(樋泉2006、三谷2017、御所野縄文博物館編2021)。
これについて纏めてみます。

山菜や堅果類といった旬の時期が定まっているものは、
一定程度集中的な採集活動を行い、余剰分は保存加工したうえで厳しい冬の季節にもそれらを消費していたことが推定されている。
また、哺乳類や鳥類、魚類については、対象種それぞれが行う越冬や繁殖行動、産卵のための接岸など固有の生態や習性を的確に捉えて、捕獲に適した時季に狙いを定めた行動がとられていたことが動物遺存体の分析から明らかにされている。

このように狩猟採集活動は、集団行動していた様子が窺える

「定住」で蓄積した有用植物や動物の生態に関する知識を最大限に活用し、
保存加工や貯蔵を駆使した多角的な資源利用を図ることで、
周年にわたる安定的な生活を維持していた。
こうした点は、地域を越えた縄文文化全般に共通した特徴でもある。

そんなことが集団の意思の元で出来るというのは、こよみが存在して共通認識があったとする以外に考えられない

一方で、個々の遺跡で利用された植物や動物の種とその量的な比重は完全には一致しておらず、
それらを獲得するための活動内容の多様性が顕著である。
特にこの地域では冬季に著しい積雪が伴い、その間に行われた生業が重要である。

この記載からも地方毎の多様性が存在して、それに完全に対応出来ているという、益々こよみの存在は疑いえない

秋から冬にかけて噴火湾周辺で行われたオットセイ猟、
陸奥湾内で冬に行われたマダラ漁を具体例としてあげたが、
食料獲得以外の内容も含めた生業の季節的な選択が遺跡ごとにどのような違いをみせるのか、
今後もより詳細な比較研究が求められる。

三内丸山遺跡では、哺乳類よりもはるかに多くの数量の魚骨が出土しており、これまでの調査で50種類以上が確認されている。その中で、北海道・北東北以外ではあまりみられない魚種として、マダラがあげられる。

マダラは深海性の魚類で、郷土料理「じゃっぱ汁」に代表されるように、現在も青森県では身近な冬の食材である(写真)。
陸奥湾や富山湾、三陸沖などが産卵回遊地として知られ、通常は水深200mほどの深場に棲息しているが、12月から1月にかけての産卵期のみ深場を離れる性質がある。

漁期は湾内にマダラが滞留する厳冬期が最も合理的であるが、冬季の漁は危険が伴い、厳寒の海に船を出す知識と相応の技術を持ち合わせていなければ、漁獲どころか生命の危機にさらされることになる(太田原・川口2002)。現在も陸奥湾内のマダラ漁で必須とされる「山アテ」(船上から見える山を目印にした漁場認識)や出漁の可否の判断、天候の急変に対応する日和見等の技術は、いずれも短期的に身につけることが困難であり、「定住」によって経験を重ね、複数世代にわたり醸成されたと考えられる。

こうした高度な技術を必要とする困難な漁がこの地域の縄文人によって選択された背景には味覚に対する嗜好性や季節的な労働力の編成など、捕獲の容易さだけでは説明し尽せない特別な理由が働いていたことが想像される。

特にマダラでは、時期を極めて正確に把握することが必要で、サケの遡上回帰漁以上の厳しさがが窺えるため、季節の判断の重要性は必須であると思う。

写真4 タラづくしの定食 撮影:著者
左上:じゃっぱ汁、左中:タラのともあえ、左下:タラのフライ、右下:タラの刺身、中央左:タラコの塩漬け、中央右:白菜の漬物。「じゃっぱ汁」はタラのアラ汁で白子や内臓、鰭まで余すことなく食材に用いられる。青森では、冬の鍋料理の定番。

生業の季節性
生業は生活の基本をなすものであり、狩猟採集民として生きた縄文人にとって、生命と社会の維持にかかわる根幹的な問題であった。食料の季節変動が生じる中で、いつ・どこで・どのようにしてそれを行うかといったことは、居住や儀礼などの社会システム全体に大きく影響する要素であり、獲得後の加工や貯蔵までを含めた利用体系は「定住」の実態を具体的に解き明かす上でも重要な鍵となる。

村々の集団での意思統一の元、漁に掛かるとするのに、季節判断の元となる太陽暦の存在無しに、そのようなことが出来るとは、縄文人は全ての人が天才であったというのか。太陽暦の存在に対して、一言の言及も無しに、これは余りにも常識に欠けた論説である。

引用します
https://www.isan-no-sekai.jp/report/8636
生業に見る北海道・北東北の縄文文化の特質 斉藤 慶吏 / YASUSHI SAITO


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