Break Time

coffee breakで気分転換を~♪

九年前の祈り

2015-03-06 15:00:22 | 読書
芥川賞受賞作 小野正嗣著「九年前の祈り」を読んだ。
最近長編の作品ばかり読んでいたせいか、あっけなく終わってしまって、
長編の一部分を読んだような気分にさせられた。

毎回思うのだが、私には芥川賞作品より直木賞作品のほうが合っている。




あらすじ(サイト参照)


三十五になるさなえは、幼い息子の希敏をつれてこの海辺の小さな集落に戻ってきた。
希敏の父、カナダ人のフレデリックは希敏が一歳になる頃、
美しい顔立ちだけを息子に残し、母子の前から姿を消してしまったのだ。
何かのスイッチが入ると引きちぎられたミミズのようにのたうちまわり大騒ぎする息子を持て余しながら、
さなえが懐かしく思い出したのは、九年前の「みっちゃん姉」の言葉だった──。
九年の時を経て重なり合う二人の女性の思い。痛みと優しさに満ちた〈母と子〉の物語

ファイヤーウォール

2015-02-27 11:32:54 | 読書
へニング マンケル著「ファイヤーウォール」を読んだ。
警察シリーズも三部作を読むと著者の特徴も見えてくる。

内容は十分に面白かった。が、しばらくは別のものに目を向けよう・・・

  



あらすじ(サイト参照)

19歳と14歳の少女がタクシー運転手を襲う事件が発生。
逮捕された少女たちは金欲しさの犯行だと自供、反省の色はない。
ヴァランダーには彼女たちが理解できなかった。あまりにふてぶてしい二人の態度。
尋問の席で母親を罵倒し殴った少女に腹をたてたヴァランダーは、思わず彼女に平手打ちを食らわせてしまう。
ところがその瞬間をマスコミに流されてしまったのだ。孤立感に苛まれるヴァランダー。北欧ミステリの巨匠の傑作シリーズ。


タクシー運転手殺人で逮捕された少女が脱走。変電所で死体となって発見された。
単純なはずの事件が一気に様相を変える。
一方、病死だと思われたITコンサルタントの死体がモルグから盗まれ、かわりにソニャとの繋がりを疑わせるものが……。
男の周辺を調べ始めたヴァランダーは、コンピュータに侵入するために、
天才ハッカー少年の手を借りる。新しい時代の犯罪に苦しむヴァランダー。
人気シリーズの転換点ともいえる第8弾。訳者あとがき=柳沢由実子

闇に香る嘘

2015-02-20 17:31:23 | 読書
第60回江戸川乱歩賞に輝いた 下村敦史著「闇に香る嘘」を読んだ。
思いもよらない結末に向かって一行一句読み手の心をつかんで離さない。
こういう本に出合えたことにただ感謝。





あらすじ(サイト参照)

村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、不適合だと分かる。
和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を覚える。
中国残留孤児の兄が永住帰国をした際、既に失明していた和久は兄の顔を確認していない。
27年間、兄だと信じていた男は偽物なのではないか――。
全盲の和久が、兄の正体に迫るべく真相を追う。
有栖川有栖氏が「絶対評価でA」と絶賛した第60回江戸川乱歩賞受賞作!

凍りのくじら

2015-02-17 15:31:18 | 読書
辻村深月著「氷のくじら」を読んだ。
今まで読んだことのないような不思議な世界を垣間見るような魅力的な本。
主人公と取り巻く人々の違和感。そこをうまく渡り歩きながら感じる悲哀。
心のひだをうまく表現して読者を引き込むそのテクニック。
満足度の高い一冊だった。




あらすじ(サイト参照)
「あなたの描く光はどうしてそんなに強く美しいんでしょう」

そう訊かれたとき、私はいつもこう答えることにしている、
「暗い海の底や、遠い空の彼方の宇宙を照らし出す必要があるからだ」と。

「ドラえもん」の作者藤子・F・不二雄を深く敬愛する写真家の父。
彼の名を継いだ新進フォトグラファー、芦沢理帆子の高校時代を追う。

学校と、飲み友達と、元彼氏と、病床の母と、行方不明の父と。
どんな相手にも合わせてしまう、合わせられてしまう理帆子は、自分を取り巻く個性に名前を与えていく。
例えばあの子は「少し・不安」。あの子は「少し・不満」。
そして私は、「少し・不在」。藤子先生の創るSFの世界、「少し・不思議」から取り、
それぞれの個性にふさわしい名を付ける遊び、「スコシ・ナントカ」。
私はどこへでも行ける。誰にでも合わせられる。それが許される。「どこでもドア」みたいに。

でも、一人でいると息苦しい。誰かといても息苦しい。
自分の意志など、とうに摩滅してしまっているのかもしれない。私の「少し・不在」は最近いよいよ深刻だ。

ドラえもんへのオマージュが目一杯詰まった、「少し不思議」な物語。

背後の足音

2015-02-15 14:24:47 | 読書
へニング・マンケル著「背後の足音」を読んだ。
前回の本があまりにも面白かったので、今回も期待して・・・

最初から最後まで物語の中にどんどん引きこまれながら、寸時を惜しんで読んだ。

きっと、訳者の力も偉大なのだろうが本当に面白い!

しばらくは彼のシリーズに嵌りそうだ。




あらすじ(サイト参照)
上巻

夏至前夜、三人の若者が公園でパーティを開いていた。
十八世紀の服装、料理、ワイン。彼らをうかがう目があるとも知らず……。
イースタ警察署に娘を捜してくれという母親の訴えが出された。
夏至前夜に友人と出かけて以来、行方がわからないというのだ。
捜査会議を招集したが、刑事の一人が無断で欠席した。几帳面なはずの人物がなぜ? 
不審に思ってアパートを訪ねたヴァランダーの目の前に、信じられない光景が。

下巻

長年一緒に仕事をしてきた同僚の刑事が殺された。
あまりに無惨なその姿に、イースタ署の面々は言葉を失う。
どうやら彼は、例の若者たちが失踪した事件を一人で調べていたらしい。
二つの事件は同一犯のしわざなのか?調べ進むうちに明らかになる、同僚の隠された素顔。
捜査陣の焦燥感がつのるなか、次の犠牲者が…。現代社会の病巣をえぐる北欧の巨匠の傑作

デシート

2015-02-09 16:09:45 | 読書

神崎和幸著「デシート」を読んだ。
少し前に大作を続けて読んだせいか、動画を見ているような気分にさせられた。
それでも展開が早く、一気に読み終えてしまった。



あらすじ(サイト参照)
財閥会長の息子が犯した殺人をもみ消すため、次々と企てられ、実行される殺人事件。
一連の事件に巻き込まれてしまった一人の女性に恋した探偵は、財閥会長の悪事を暴き、財閥ごと追い詰めようと、たった一人で挑んでいく。
ひとつひとつの事件をひも解いていくと、その背後にはさらに複雑に絡み合った人間模様と無尽蔵な殺人の実態があった。
探偵は運命に翻弄され続ける女を助け出し、財閥をじりじりと追い詰めていく。

東野圭吾集

2015-02-08 11:16:17 | 読書



図書館で大きな活字で読みやすい本の棚にあった本。
ホットミステリーとして短編が四つ載っていたが、彼の作品はハズレがなくて楽しめた。
短編の物足りなさもなく、どの作品も違った目線で読むことが出来た。

北京から来た男

2015-02-08 10:49:31 | 読書





へニング・マンケル著「北京から来た男」上下を読んだ。
北欧やアメリカ中国を股にかけた大掛かりな物語で、読み手を飽きさせることなくひきつけてやまない傑作だった。


あらすじ(サイト参照)

凍てつくような寒さの早朝、スウェーデンの中部の小さな谷間でその惨劇は起きた。
村のほぼ全ての家の住民が惨殺されていたのだ。ほとんどが老人ばかりの過疎の村が、なぜ?
 女性裁判官ビルギッタは、亡くなった母親がその村の出身であったことを知り、現場に向かう。
現場に落ちていた赤いリボン、ホテルの防犯ビデオに映っていた謎の人影。事件はビルギッタを世界の反対側へと導く。


殺人現場の家を訪れたビルギッタは、刑事の目を盗み数冊のノートを持ち出した。
ノートに記されたネヴァダの文字。それはスウェーデンの寒村で起きたのと似た血塗られた事件が起きた土地だった。
手記は一八六〇年代、アメリカ大陸横断鉄道の建設の現場主任のものだった。
十九世紀の中国の寒村、鉄道建設に沸く開拓時代のアメリカ、そして発展著しい現代の中国、アフリカ。
現代の予言者マンケルによる、ミステリを超えた金字塔的大作。

絶唱

2015-02-05 20:27:34 | 読書

湊かなえ著「絶唱」を読んだ。
色々な人生を歩む人たちが抱えたものをもっていきつく先には小さな島。
そこで一人の女性との何らかのかかわりで、物語が進行していく。
軽くもなく重くもなく、興味をそそられながら一気に読んでしまった。



あらすじ(サイト参照)
心を取り戻すために、約束を果たすために、逃げ出すために。忘れられないあの日のために。
別れを受け止めるために――。「死」に打ちのめされ、自分を見失いかけていた。
そんな彼女たちが秘密を抱えたまま辿りついた場所は、太平洋に浮かぶ島。
そこで生まれたそれぞれの「希望」のかたちとは? “喪失”から、物語は生まれる――。


最後のトリック

2015-01-26 11:03:21 | 読書
深水黎一郎著「最後のトリック」を読んだ。
内容は面白かったが、どこからどこまでが本当でどこが加飾された部分か見分けるのが面倒だったが
並行して登場する心理学者とその研究のほうが興味をそそられてしまった。
後でそれも関連づけるあたりは成功と言えるかもしれない。
超心理学の方でも深く掘り下げてほしいなと思った。





あらすじ(サイト参照)
ラストに驚愕!犯人はこの本の≪読者全員≫!アイディア料は2億円。
スランプ中の作家に、謎の男が「命と引き換えにしても惜しくない」と切実に訴えた、ミステリー界究極のトリックとは!?

■「読者が犯人」のミステリー
 オビの惹句(じゃっく)は「読者全員が犯人」。一行でも読めば、あなたも共犯者になるという。
絶対不可能と思われる仕掛けに、果敢に挑んだミステリー作品である。
 スランプに悩む作家のもとに「『読者が犯人』となるトリックのアイデアを二億円で買わないか」という謎めいた速達が届く。
当然作家は不信感を抱くが、その後、差出人は何度も手紙を寄越す。そこには切実な思いが隠されていて……という内容。
2007年に「ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!」というタイトルでメフィスト賞を受賞した、著者のデビュー作だ。
同年講談社からノベルス版が上梓(じょうし)され、そのまま文庫化されずにいた。
今年10月に河出書房新社より全面改稿・改題したこの文庫版が刊行され、順調に版を重ねている。
 1年ほど前、河出書房新社の社員間で、埋もれた良書を紹介しあう場が生まれた。
100冊ほど俎上(そじょう)に上がったなかで、“面白いから文庫化したい”と全員意見が一致したのが本書だったという。
「このような形で小説が現実の読者を巻き込んでいくことに驚きました。
一見本筋と関連がないと思える部分もすべてが伏線となってつながるラストも見事としかいいようがありません」と、担当編集者の渡辺真実子さん。
 本作を推した一人でもある営業部の辻純平さんは「ミステリー好きの書店員さんを中心に仕掛けを提案してきました。
店頭で多面展開していただいたところ好調で、月間で総合1位になった店舗もあります」。購買層は30~40代中心、男性が6割。
 実は本作のトリック、著者が中学生の時に思いついたもの。
当時読んでいた本に「『読者が犯人』というミステリーはまだない」と書かれてあったため、自分で考えてみたそうだ。
少年のあくなき探究心が、時を経て大きな実を結んでいる。