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『悪徳小説家』 ザーシャ・アランゴ(著), 浅井晶子(翻訳)

2021年09月15日 22時02分00秒 | ■読書
ドイツの作家「ザーシャ・アランゴ」の長篇ミステリ作品『悪徳小説家(原題:Die Wahrheit und andere Lugen、英題:The Truth and Other Lies)』を読みました。


「フォルカー・クッチャー」「ライナー・レフラー」「シャルロッテ・リンク」の作品に続き、ドイツミステリです。

-----story-------------
ベストセラー作家の「ヘンリー」には、編集者と愛人関係にあること以外にも、決して明かすことのできない秘密があった。
新作が残り20ページまで書き上がったとき、「ヘンリー」は愛人から妊娠したことを告げられる。
待ち合わせ場所に車で赴いた「ヘンリー」は、魔がさして……。
だが帰宅した彼を、驚愕の事実が待ち受けていた! 
真実と嘘がちりばめられた、巧緻にして幻惑に満ちた傑作長編。
訳者あとがき=「浅井晶子」
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脚本家「ザーシャ・アランゴ」の小説デビュー作で2014年(平成26年)に刊行された作品… CWA(英国推理作家協会)インターナショナル・ダガー賞の候補作となり、ドイツ語圏を越えて認められた作品です。


世界的ベストセラー作家の「ヘンリー・ハイデン」… 人間の姿を深く描き出した緊迫感のあるスリラーに定評があり、男らしい精悍な外貌から多数の女性ファンに崇められている、、、

愛し合っている妻「マルタ」と愛犬「ポンチョ」とともに海辺の広壮な屋敷に住み、マセラティを乗り回すという、誰もが羨む生活を送る「ヘンリー」は、自分をデビューさせた編集者の「ベティ・ハンゼン」と愛人関係にあった… 新作が残り20ページまで書き上がったとき、「ベティ」から妊娠したことを告げられた「ヘンリー」は、当初、妻に真実を告げて離婚してもらうしかないと考えるが、気が変わり、「ベティ」との関係を清算することに。

待ち合わせ場所である海辺の崖へ向かい、深淵の手前に停まっている「ベティ」の車を見た瞬間、長いあいだ眠っていた「ヘンリー」のなかの悪が目を覚ます――

さらに、帰宅した「ヘンリー」を驚愕の事実が待ち受けていた……。

刻々と変わる状況と相手に応じて「ヘンリー」が組み立てるさまざまな「嘘」、そしてそれらの「嘘」から新たに生まれる「真実」―― 「真実」「嘘」の境界は、物語が進むにつれてどんどんあいまいになっていく、、、

「ヘンリー」「真実」「嘘」は暴かれるのか… もし暴かれるなら、誰によって、どのように? 


真実と嘘が散りばめられた展開… 序盤から物語に惹きつけられて、先の読めない展開が愉しめました、、、

「ヘンリー」は、『太陽がいっぱい』の主人公「リプリー」を彷彿させるキャラクターで、影がある悪漢だけど強烈な魅力のある人物として描かれていて、悪い男なんだけど感情移入しちゃいましたね… 『太陽がいっぱい』のように衝撃的な方法で悪事が発覚するのかなー と予想していたのですが、終盤で面白さが失速して、すっきりしない幕切れでした。

終わりが良ければねー もっと面白い作品になったと思うのですが、そこがちょっと残念でしたね。


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