スウェーデンの作家「カーリン・アルヴテーゲン」の長篇ミステリ作品『恥辱(原題:Skam、英題:Shame)』を読みました。
『罪』に続き、「カーリン・アルヴテーゲン」作品です… 北欧ミステリ作品が続いています。
-----story-------------
過去に囚われている二人の女性の贖罪の物語。
私ではなく、彼こそ生き残るにふさわしい人間だったのだ――。
母親の自慢でもあった、何もかも完璧な兄の死をトラウマとしている女医、38歳。
自分でからだを動かすことすらままならない異常な肥満で部屋に閉じこもった50代女性。
過去に囚われ、誰も信じることができず、究極の孤独を抱えた二人が人生の歯車を狂わせた先に出会った時……。
ベスト北欧推理小説賞受賞の実力派女性作家が描くサイコサスペンスの傑作!
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2005年(平成17年)に刊行された「カーリン・アルヴテーゲン」の4作目にあたる作品です、、、
ミステリ的な要素は少なかったですが… 人間の内面の描き方の巧さが「カーリン・アルヴテーゲン」らしさを感じさせる作品でした。
二人には、どんな相手にも告白できないほど良心に恥じる過去があった――。
「モニカ・ルンドヴァル」は、医師として働く38歳の女性で、23年前に愛する兄「ラッセ」を喪い、その痛みを未だに引きずって生きている… 兄とともに事故に遭い生き残ったことへの自責の念をぬぐえず、生を謳歌することなく淡々と日々を送っている、、、
母親は、誇りとしていた息子の墓参りを今も病的なほど頻繁に行い、常に「モニカ」を墓所までの運転役として付き添わせる… 母娘の関係は良好とは言い難く、父親は「モニカ」が生まれる前に家族を捨てて家を出ており、家族関係は崩壊していた。
「モニカ」は、「トーマス」という男性と出会うことで、そこに救いを見出すのだが、兄の事故を想起させる事件が起こり、「モニカ」の精神は、またもや不安定な状態に陥っていまう… 自らの負の心理を断ち切ろうと、「モニカ」は身分を偽り、ある女性に接触する。
「モニカ」の物語と交互に描かれるのは、自分でからだを動すことができず、ヘルパーの手を借りずには生きていくことができない異常な肥満で部屋に閉じこもった皮肉屋で50歳代の女性「マイブリット・ペッテション」の物語… 家族はおらず、一匹の犬と暮らす「マイブリット」は、椅子から立ち上がることさえ困難なほどに肥大した体躯ゆえに、ヘルパーの介護なしでは日常生活が送れない、、、
だが、そのひねくれた性格はヘルパーとの関係をいつも悪化させ、これまでに担当者は何人も交代してきた… そんな「マイブリット」のもとに、若いヘルパーで正義感の強い「エリノール」がやってきて、「マイブリット」の生活に影響を与え始める、そして、時を同じくして「マイブリット」のもとに、旧友で夫と子どもを殺した罪で投獄されている「ヴァンニャ・ティレーン」から手紙が届き、「マイブリット」はシャットダウンしていた過去を呼び起こしてしまう。
深刻なトラウマのせいで、他人を信じることができないという孤独を抱えた二人が偶然から出会い、お互いの人生に干渉することになる… 二人に共通しているのは、人に言えないほどの良心に恥じる過去があるということ、、、
その罪悪感が引き金となった二人の行動は、いつの間にか交差し、ぶつかり合い、そして融合していく… という過程が愉しめる作品でした。
「モニカ」と「マイブリット」の行動は、共感し難いものの、理解せざるを得ない感じですよね、、、
自らの内なる感情が、どのような行動として表現されるのか… 興味深く、読むことができました。
以下、主な登場人物です。
「モニカ・ルンドヴァル」
医師
「ラーシュ(ラッセ)」
モニカの兄
「トーマス」
モニカの恋人
「マイブリット・ペッテション」
犬と暮らす肥満女性
「ユーラン」
マイブリットの元夫
「ヴァンニャ・ティレーン」
マイブリットの幼友だち
「ウーリャン」
ヴァンニャの夫
「エリノール」
ホームヘルパー
「オーセ」
セミナー参加者
「ブリエ」
オーセの夫
「マティアス」
セミナー参加者
「パニラ」
マティアスの夫
「ダニエラ」
パニラとマティアスの子
『罪』に続き、「カーリン・アルヴテーゲン」作品です… 北欧ミステリ作品が続いています。
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過去に囚われている二人の女性の贖罪の物語。
私ではなく、彼こそ生き残るにふさわしい人間だったのだ――。
母親の自慢でもあった、何もかも完璧な兄の死をトラウマとしている女医、38歳。
自分でからだを動かすことすらままならない異常な肥満で部屋に閉じこもった50代女性。
過去に囚われ、誰も信じることができず、究極の孤独を抱えた二人が人生の歯車を狂わせた先に出会った時……。
ベスト北欧推理小説賞受賞の実力派女性作家が描くサイコサスペンスの傑作!
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2005年(平成17年)に刊行された「カーリン・アルヴテーゲン」の4作目にあたる作品です、、、
ミステリ的な要素は少なかったですが… 人間の内面の描き方の巧さが「カーリン・アルヴテーゲン」らしさを感じさせる作品でした。
二人には、どんな相手にも告白できないほど良心に恥じる過去があった――。
「モニカ・ルンドヴァル」は、医師として働く38歳の女性で、23年前に愛する兄「ラッセ」を喪い、その痛みを未だに引きずって生きている… 兄とともに事故に遭い生き残ったことへの自責の念をぬぐえず、生を謳歌することなく淡々と日々を送っている、、、
母親は、誇りとしていた息子の墓参りを今も病的なほど頻繁に行い、常に「モニカ」を墓所までの運転役として付き添わせる… 母娘の関係は良好とは言い難く、父親は「モニカ」が生まれる前に家族を捨てて家を出ており、家族関係は崩壊していた。
「モニカ」は、「トーマス」という男性と出会うことで、そこに救いを見出すのだが、兄の事故を想起させる事件が起こり、「モニカ」の精神は、またもや不安定な状態に陥っていまう… 自らの負の心理を断ち切ろうと、「モニカ」は身分を偽り、ある女性に接触する。
「モニカ」の物語と交互に描かれるのは、自分でからだを動すことができず、ヘルパーの手を借りずには生きていくことができない異常な肥満で部屋に閉じこもった皮肉屋で50歳代の女性「マイブリット・ペッテション」の物語… 家族はおらず、一匹の犬と暮らす「マイブリット」は、椅子から立ち上がることさえ困難なほどに肥大した体躯ゆえに、ヘルパーの介護なしでは日常生活が送れない、、、
だが、そのひねくれた性格はヘルパーとの関係をいつも悪化させ、これまでに担当者は何人も交代してきた… そんな「マイブリット」のもとに、若いヘルパーで正義感の強い「エリノール」がやってきて、「マイブリット」の生活に影響を与え始める、そして、時を同じくして「マイブリット」のもとに、旧友で夫と子どもを殺した罪で投獄されている「ヴァンニャ・ティレーン」から手紙が届き、「マイブリット」はシャットダウンしていた過去を呼び起こしてしまう。
深刻なトラウマのせいで、他人を信じることができないという孤独を抱えた二人が偶然から出会い、お互いの人生に干渉することになる… 二人に共通しているのは、人に言えないほどの良心に恥じる過去があるということ、、、
その罪悪感が引き金となった二人の行動は、いつの間にか交差し、ぶつかり合い、そして融合していく… という過程が愉しめる作品でした。
「モニカ」と「マイブリット」の行動は、共感し難いものの、理解せざるを得ない感じですよね、、、
自らの内なる感情が、どのような行動として表現されるのか… 興味深く、読むことができました。
以下、主な登場人物です。
「モニカ・ルンドヴァル」
医師
「ラーシュ(ラッセ)」
モニカの兄
「トーマス」
モニカの恋人
「マイブリット・ペッテション」
犬と暮らす肥満女性
「ユーラン」
マイブリットの元夫
「ヴァンニャ・ティレーン」
マイブリットの幼友だち
「ウーリャン」
ヴァンニャの夫
「エリノール」
ホームヘルパー
「オーセ」
セミナー参加者
「ブリエ」
オーセの夫
「マティアス」
セミナー参加者
「パニラ」
マティアスの夫
「ダニエラ」
パニラとマティアスの子
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