じゅうのblog

こちらでボチボチ更新していく予定です。

『黄昏に眠る秋』 ヨハン・テオリン(著)、三角和代(翻訳)

2020年01月27日 21時32分00秒 | ■読書
スウェーデンの作家「ヨハン・テオリン」の長篇ミステリ作品『黄昏に眠る秋(原題:Skumtimmen、英題:Echoes from the Dead (The Oland Quartet))』を読みました。


「ヨナス・ヨナソン」「ミカエル・ヨート」「ハンス・ローセンフェルト」の共著に続き、スウェーデン作家の作品です… 北欧ミステリが続いています。

-----story-------------
行方不明の少年を探す母がたどりついた真相とは。
北欧の新鋭による傑作感動ミステリ!

霧深いスウェーデンのエーランド島で、幼い少年が消えた。
「ユリア」をはじめ、残された家族は自分を責めながら生きてきたが、二十数年後の秋、すべてが一変する。
少年が事件当時に履いていたはずのサンダルが、祖父の元船長「イェルロフ」のもとに突然送られてきたのだ。
病魔に苦しみながらも、明晰な頭脳を持つ「イェルロフ」は、この手がかりをもとに推理を進める。
一方、急遽帰郷した「ユリア」は、疎遠だった「イェルロフ」とぶつかりながらも、愛しい子の行方をともに追う。
長年の悲しみに正面から向き合おうと決めた父娘を待つ真実とは?

スウェーデン推理作家アカデミー賞最優秀新人賞、英国推理作家協会(CWA)賞最優秀新人賞受賞作。
スウェーデンの民話や幽霊譚をもりこんだ、北欧の新鋭にして実力派による傑作ミステリ。
-----------------------

2007年(平成19年)に発表された《エーランド島シリーズ》の第1作… 探偵役の「イェルロフ・ダーヴィッドソン」が外出もままならない老人というこもあり、謎が解けるスピードは遅々としていますが、関係者を訪ね歩き、幾度かの危機をくぐり抜けて、20数年前の衝撃的な真相が明らかになる展開が愉しめる佳作でしたね、、、

「イェルロフ」「ユリア」を中心に真相を探る現在の物語と、「ニルス・カント」の人生を辿る1936年(昭和11年)~1972年(昭和47年)の物語がパラレルに進行して、終盤、ひとつの接点に向かう描き方も良かったですね… むっちゃ好みの作品でした。


1972年(昭和47年)9月、エーランド島北部のステンヴィーク村で、「イェンス・ダーヴィッドソン」という5歳の少年が忽然と姿を消した… この島では珍しい濃霧の中での出来事だった、、、

それ以降、「イェンス」の母「ユリア」は傷心から立ち直れぬまま島をあとにして苦悩に満ちた日々を送るようになった… 「イェンス」の父とは別れ、姉「レナ」の夫婦や島に残った父「イェルロフ」ともしっくりしない関係になっていた、、、

事件から20数年後、高齢者ホームで暮らす「イェルロフ」のもとに、「イェンス」が行方不明になった時に履いていたサンダルを何者かが送ってきた… 「イェルロフ」からその報せを受けた「ユリア」は久しぶりに帰郷する。

長年疎遠になっていたせいで、「イェルロフ」「ユリア」の会話はぎこちないものに… しかも、かつて船長だった「イェルロフ」は持病のせいで今や思うように動けない身体となっていた、、、

だが彼らはサンダルの件を契機にわだかまりを乗り越え、過去と再び向かい合うことを決意し、「イェンス」の身に何が起こったかを追求しようとする。

このメイン・ストーリーに、時々、挟み込まれるカタチで描かれるのが、島北部の広大な土地を所有する資産家の息子として生まれた「ニルス・カント」の人生… 彼は10歳にして海で溺れた弟を見殺しにし、成長とともに数々の悪事を重ねてきたため、村ではあらゆる犯罪や事故が彼のせいということになっている、、、

既にいないはずの彼の姿が、事件の影から浮かび上がってくるのは何故なのか… 「ニルス」の数奇な運命と「イェンス」との接点は!?

自己中心的で浅はかな性格、そして若い頃の悪行の数々… 「ニルス」は同情の余地のない人物なのですが、ある人物に利用され、「イェンス」の失踪事件に巻き込まれてしまう終盤の展開には一抹の憐れみを感じましたね、、、

もっと悪い奴がいたんですからねぇ… それにしても、真相は衝撃的で、深い余韻のある結末でしたね。


《エーランド島シリーズ》の残り3作品も読んでみたいな。



以下、主な登場人物です。

「ユリア・ダーヴィッドソン」
 看護師

「イェンス」
 ユリアの息子

「イェルロフ」
 元船長。ユリアの父

「レナ」
 ユリアの姉

「リカルド」
 レナの夫

「エルンスト・アドルフソン」
 彫刻師、元石工

「ヨン・ハーグマン」
 元船長

「アンデシュ」
 ヨンの息子

「ベングト・ニーベリ」
 《エーランド・ポステン》記者

「レナルト・ヘンリクソン」
 警察官

「アストリッド・リンデル」
 元医師

「グンナル・ユンイェル」
 ホテル・オーナー

「マルティン・マルム」
 マルム貨物の創業者

「エースタ・エングストレム」
 元船長

「マルギット」
 エースタの妻

「ロベルト・ブロムベリ」
 車修理工場のオーナー

「ヴェラ・カント」
 ステンヴィークの資産家

「ニルス・カント」
 ヴェラの息子

「フリティオフ・アンデション」
 ヴェラの使い



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 職場のレク… 意外な好成績♪ | トップ | 『シリーズ・江戸川乱歩短編... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

■読書」カテゴリの最新記事