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『レクイエムの夜』 レベッカ・キャントレル(著), 宇佐川晶子(翻訳)

2021年09月01日 19時39分00秒 | ■読書
アメリカ(ハワイ在住)の作家「レベッカ・キャントレル」の長篇ミステリ作品『レクイエムの夜(原題:A Trace of Smoke)』を読みました。


ドイツへの留学(ベルリン自由大学およびゲオルク・アウグスト大学)経験があるようですね… 約半年振りの海外ミステリです。

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心臓を刺されて死んだ若い男。
警察署の〈身元不明死体の廊下〉に張り出されていた写真の一枚に、わたしは弟を見つけた。
美貌の女装歌手として愛されていた弟はなぜ殺されたのか?
この手で絶対に殺人犯を突き止める。
そう決意してひそかに調べはじめたものの、わたしの息子だと主張する謎の幼い少年「アントン」が現われたことにより、社会の裏にうごめく様々な思惑と対峙することに――。

事件記者「ハンナ」を主人公に、ナチス政権前夜のベルリンに展開する慟哭のミステリ。
ブルース・アレグザンダー記念歴史ミステリ賞受賞、バリー賞およびマカヴィティ賞にノミネート中の話題作。
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2009年(平成21年)に刊行された「レベッカ・キャントレル」のデビュー作… 1931年(昭和6年)、「アドルフ・ヒトラー」率いるナチス(国家社会主義ドイツ労働党)が政権を奪取する2年前のドイツ・ベルリンを舞台にしたサスペンスです。


1931年のベルリン、新聞社に勤める記者「ハンナ・フォーゲル」は、記事のネタ探しで訪れた警察署で、ある死体の写真を見た… 身元不明とされている死体の顔には見覚えがあった、、、

それは「ハンナ」の弟「エルンスト」だった… いったい誰が「エルンスト」を殺したのか? 事情があって警察に届け出ることができない「ハンナ」は、強い悲しみを胸に、弟の殺害者を追う――。


終盤の、ややご都合主義的な展開は気になりましたが全体的には面白かったと思います… ナチスが台頭し始めた時代のドイツを覆う緊張感や、同性愛者たちを中心とした頽廃した空気感とか、作品の雰囲気は好みでしたね、、、

「ハンナ」のことを母親だと主張する5歳の少年「アントン」の存在が気になって仕方ない… 「ハンナ」「アントン」を応援しながら読み進めました。

裁判中に知り合った銀行家「ボリス・ウラウゼ」との恋、弟「エルンスト」に想いを寄せる「ウィルヘルム」や突撃隊(SA)幹部「エルンスト・レーム」、弁護士「ルドフル・フォン・ライヒェ」のほか、警察官「フリッツ」と幼なじみ「ベティーナ」「ワイトハイム夫妻」やバーテンダーの「オリバー」等、忘れがたく印象的でしたね、、、

続篇の『長いナイフの夜(原題:A night of Long Knife)』という作品が刊行されているようですが、邦訳されていないみたいですね… 「アントン」のことが気になるのになー 残念。


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