太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

#505 ジプシーの涙

2018年03月04日 | 太陽にほえろ!
矢島という男が自宅マンションで殺された。
部屋にあった写真から、恋人と思われる女性・弘美を訪ねるジプシー(三田村邦彦)とドック(神田正輝)。弘美は姉の景子と同居しているが、姉の態度に何かひっかかるジプシーたち。

弘美は、ここ1週間ほど矢島と会っていないと言ったが、その後事件の数日前に、矢島と口論している弘美を見たという
目撃者が現れた。

弘美を追及すると、あっさりと犯行を認めた。
しかし、犯行現場の状況と自白に食い違う点がありひっかかる。

ジプシーは、姉妹の故郷を訪ね、幼いころ火事で両親を亡くし、景子が弘美の母親代わりになって
ふたりで寄り添って生きてきたという過去を知る。



突然のサービスショットw 捨てられた子犬とジプシー

親戚に預けられて虐待されながらも姉が妹をかばい、逆境を乗り越えてきた。
ふたりの境遇を近所の主婦から聞いたジプシーは、自分の境遇と重ね、自分には庇ってくれる人はいなかったと
孤独だった少年時代を振り返り静かに涙を流します。

顔を洗っていると、どこからともなく子犬がw
あまりにいかにもなシーンで、申し訳ないがちょっと笑ってしまいました。
いや、原少年の過去は同情しますが。

そして、姉妹の境遇を語ってくれた近所のおばさんが上手くて(もちろん俳優さんなんでしょうが)、
ナイスキャスティング。



一係では、姉の景子が矢島から妹を守るために殺したのではないかと推理。
姉には婚約者がいることから、ずっと助けられてきた妹が姉の身代わりを買って出たのではないかと。

景子が自白し、拘留された。しかし、そのときにふと見せた微笑にジプシーは疑問を抱く。

二転三転する姉妹の告白。ジプシーはそれぞれの表情や言葉を丁寧に分析し、真実に迫っていく。
けっきょく、矢島を殺したのは妹の弘美だった。
いくら姉妹だからといって殺人の罪を被るだろうか。
ふつうはそう考えるけれど、この姉妹にとってお互いのために犠牲になることは自然なことだった。

「どうして私が犯人じゃいけないの」
釈放された姉に問われ、ジプシーは自分も似たような境遇であると、嘘は許せないと、
昔のような嘘や打算のないふたりでいてほしいと語りかける。

自分たちと同じようなつらさを味わってきたであろうジプシーの言葉だからこそ、
景子の心にまっすぐに届き、自然に涙がこぼれたのでしょう。
妹を守るために演技しつづけてきた姉が、やっと自分の感情を素直に出せた瞬間だったと思います。


【本日のなごみ】
ジプシーが真実にたどり着く前、姉の景子の犯行だと思われていたときに、
一係では、景子の正当防衛が認められるだろうし、婚約者の気持ちも変わらないし、弘美も一流企業を
辞めずにすむし、一同(除く山さん)にほっとした空気が流れる。

「遅いな、カルメンちゃん」
「事件は解決したってのに、めずらしいですね遅刻なんて。ねえ、ドック」
時計を見たまま肘でドックをつんつんするラガー(渡辺徹)。


ふたりともかわいいですが、こう見えても凶悪犯罪が多発する東京・新宿、七曲署捜査一係の刑事です。