太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

#537 赤い憎悪

2018年10月22日 | 太陽にほえろ!
不動産会社に勤めるOLの恵子(島村佳江)が帰宅途中にひき逃げされ重傷を負う。
明らかに恵子の命を狙った犯行とみられたが、犯人も動機も不明だった。

恵子の所持品から、多摩刑務所に服役中の竹内(高橋長英)宛の手紙が見つかる。
多摩刑務所に竹内を訪ねたジプシー(三田村邦彦)は、公判を傍聴した恵子の方から竹内に
文通の申し込みがあり、今では婚約までしていると聞き驚く。

さらに調べが進むなか、実は3年前に竹内がもう一人の男と起こした銀行強盗の際に
射殺した職員の婚約者が恵子だったとわかった。




固い表情を崩さず、真意の読み取れない恵子。
25歳だそうですが、当時の25歳はこんなに落ち着いていたんでしょうか。

ジプシーは、以前自分が逮捕し死刑判決を受けた男が刑を執行されたと聞き、受刑者の父親に会いに行く。
「憎しみというのはときに親子の情よりも強い」
父親の言葉に、恵子が3年前に竹内に殺された婚約者・正之の復讐をするために
竹内に近づいたのではないかと思い至る。

月命日に正之の墓に花を供える人がいることを知ったジプシーが、彼女の婚約者に対する愛情と
犯人たちへの憎しみの深さを知り、自分の推理を恵子に話す場面で「まさゆきさん」を連呼する原昌之さん。
若干複雑な気分だったのではと推察します。

ジプシーの推理通り、恵子は死刑を免れて無期懲役になった竹内に自分を愛させ、その自分をいまだ捕まっていない主犯の男に殺させて
愛するものを失う悲しみを与えようと、時間をかけて計画し実行してきたのだった。

そんなことをしても正之さんは喜ばないと恵子を説得し、釈放を要求して医務室に立てこもった竹内に対して
本当の気持ちを手紙に書くよう促す。

竹内が手紙を読んで真実を知ったころ、恵子は婚約者との思い出の傘を橋の上から川に投げ入れ、復讐にピリオドを打つ。
復讐のために近づいたとはいえ、恵子は竹内が本気で自分を愛していたことをわかっていたし、
竹内も恵子を恨まず許してくれと慟哭する。

恵子を演じた島村さんの抑えた演技が、複雑な心境の変化を繊細に表していて印象的でした。
竹内役の高橋長英さんも、出てくると嬉しい役者さんです。
凶暴性を秘めつつも愛情に目覚めていく男の哀れさを表現していて魅力的でした。


【本日のツーショット】

めずらしい山さんとトシさんの張り込み。主犯は恵子がこれまた復讐のために入社した不動産会社の社長でした。
「さすがだな、トシさん。俺もそう思う」
渋い声でトシさんを称える山さんですが、なにげに自分も上げてないですか?


「ぼやくなぼやくな。捜査があるじゃないか」

前にも同じような場面がありましたが、ほかでも観た気がすると思ったら、一昨年の大河『真田丸』の真田兄弟もこんな感じでした。
兄弟味が増していくこのふたりについては改めて検証したいと思います。


貴重なボスとジプシーのツーショット。短い在籍期間のなかで、他の刑事と比べるとボスとのラストの絡みが少なかったジプシー。
煙草の煙を吹きかけられても、三田村さんにとっても大事なワンシーンになったのではないでしょうか。