人は幼少期の記憶は忘れ去られるように出来ているが
私の場合は異常なのか1歳のころからの記憶が残っている。
今回のは2歳以前の話なのだが
そのころ怖いものがいくつかありその中の一つが薔薇の花であった。
トゲがあるから怖いのではなく花の形そのものが怖かった。
当時祖母が植木好きだったこともあり家には植木が沢山あった。
その中には薔薇の形をした多肉植物もいくつかあった。
これなども怖くてしたかなかった。
夢の中でも多肉の薔薇に追いかけられたことがあった。
家の植木の多肉の薔薇を恐る恐るちょんと突っついたら
その薔薇の部分がとび出して追いかけてきた。
玄関の前の敷石、畳一畳より小さい長方形の敷石上を
「薔薇だ薔薇だ」といいながら行ったり来たりしながら逃げていた。
私は8月生まれなので1歳から2歳になる夏に
島根県の親戚の家に泊まりに行っていた時
親戚の人が苺狩りのため畑に連れて行ってくれた。
苺畑を見るのは初めてだったが苺が沢山あって
楽しく苺を摘んでいたのだが
好奇心もあって畑の中を歩きだし
家族や親せきが見えなくなるところまで行ったら
その時恐ろしいものを見つけてしまった。
それまで見たことのない巨大な薔薇、
薔薇の形をした巨大な葉っぱが地面に咲いている。
数は複数あったが一番近くにあった薔薇が目に入っただけで
すっかり驚いて元の苺畑に逃げて帰った。
「怖~い!!こんなに大きな薔薇があった!!」
と両手を広げて知らせると
母が「それキャベツよ」といった。
あんなもんのどこがキャベツなんだ。
収穫期なら真ん中にキャベツが出来ているだろうけど
その頃は中まで全部薔薇だった。
島根の田舎にいた時に
最も恐ろしいものはキャベツ畑の薔薇だった。