近年、多くの中国の地元企業は、「一帯一路」政策の呼びかけに応え、世界各地の事業の開発に力を注いでいます。その中で、企業は職員を海外に派遣し、賃金給与を支給する場合が多いです。また、一部の居住者は、海外から報酬、フランチャイズ、配当、賃貸料等を得ています。中国の居住者の海外からの所得が多くなるに伴い、個人所得税の納付も難しい問題になっています。そのため、国家税務総局は2020年初頭に公告を公布し、海外からの所得に関する個人所得税の政策について詳細に説明しました。
- 中国国外源泉所得は次の通りです。
(1) 任職、雇用、契約履行等のため、中国国外で役務を提供することにより得た所得
(2) 中国国外企業及びその他の組織によって支給・負担される原稿料
(3) 各種の特許権が中国国外で使用することの許可により得た所得
(4) 中国国外で生産・経営活動を行うことにより得た生産・経営活動に関する所得
(5) 中国国外企業、その他の組織及び非居住者が取得した利息、配当、賞与
(6) 中国国外で使用するために財産を借手に賃貸することにより得た所得
(7) 中国国外での不動産、中国国外企業やその他の組織への投資により生じた株式・持分やその他のエクイティ資産(以下「エクイティ資産」という)、又は中国国外でその他の財産を譲渡することにより得た所得。
(但し、中国国外企業やその他の組織への投資により生じたエクイティ資産が譲渡された日前3年間(連続36ヶ月)うち任意の時点で、その企業やその他の組織の資産の公正価値の50%以上が直接的又は間接的に中国における不動産からである場合、得た所得は中国国内所得と見なされます)
(8) 中国国外企業、その他の組織及び非居住者に支払われ、負担される一時所得
(9) 財政部、税務総局が別途規定している場合、その規定に従います。
『中華人民共和国個人所得税法』と比べて、上記の1、3号は税法上の総合所得に属します。
- 国外所得の課税所得は次の規定に従い、関する国内の課税所得と合計して個人所得税が課される必要があるか否かを判断します。
(1) 居住者の中国国外から得た総合所得は、国内の総合所得と合計して課税額を計算する必要があります。
(2) 居住者の中国国外から得た事業所得は、国内の事業所得と合計して課税額を計算する必要があります。居住者の中国国外から得た事業所得が、個人所得税法とその実施条例の関連規定に従い算出された損失は、中国国内又は他国・地域での課税所得と相殺できませんが、中国税法の規定に従い同一の国・地域から得た所得から控除することができます。
(3) 居住者の中国国外から得た利息、配当金、賞与、財産の賃貸による所得、財産の譲渡による所得及び一時所得(以下「その他の所得」という)は、国内の所得と合計することができず、別々に課税額を計算する必要があります。
- 居住者の1納税年度以内における中国国外源泉所得は、源泉地国の税法規定に従い、中国国内で所得税額を納付した部分が、控除上限額の範囲内で当該納税年度の課税額から控除します。
居住者の同一の国・地域から得た総合所得、事業所得及びその他の所得に対する課税額は、その控除上限額になります。控除上限額は比例に基づき算出されます。
但し、全ての国外源泉所得額は国内源泉所得額から控除できるわけではありません。次の場合のいずれかにおいて、控除できません。
(1) 国外の所得税法により誤って徴収され、又は課された所得税額
(2) 中国が締結している二重課税回避協定、及び中国内地と香港・マカオと締結している二重課税防止条約(以下「租税条約」という)の規定により課されるべきでない国外所得税額
(3) 外国所得税の過少納付又は納付延滞により追加された利息、延滞金又は罰金
(4) 国外の所得税の納税義務者、又はその利害関係者が海外の税務当局によって還付又は補償された海外の所得税額
(5) 中国の個人所得税法とその実施条例の規定により免税された海外所得に対する国外所得税額
- 居住者が中国と租税条約が締結している国・地域から得た所得は当該国・地域の税法により免税・減税を享受し、且つ減免された税額が租税条約の条項により納付されたことと見なされた部分は中国の課税額から控除された場合、その減免された税額は、居住者の実際に納付した海外の所得税額として規定により税額控除を申請することができます。
居住者の同一の国・地域から得た総合所得、事業所得及びその他の所得に対する課税額は、その控除上限額になります。控除上限額は比例に基づき算出されます。
- 申告の時間
(1) 居住者の中国国外源泉所得については、取得された日の翌年3月1日から6月30日までに申告・納税される必要があります
(2) 居住者の中国国外源泉所得に適用される海外の納税年度は暦年と異なる場合、その国外源泉所得に適用される納税年度末が属する暦年は、その国外源泉所得に適用される中国の納税年度です。
- 申告の場所
居住者の中国国外源泉所得については、中国国内における就職先、雇用主が所在している管轄税務機関で納税申告を行う必要があります。中国国内における就職先、雇用主がいない場合、戸籍の所在地又は中国での常住地の管轄税務機関で納税申告を行います。戸籍の所在地と中国での常住地と異なる場合、そのうちの一つを選択して納税申告を行います。中国国内で戸籍を持っていない場合、中国での常住地の管轄税務機関で納税申告を行います。
- 控除の証憑
居住者は国外源泉所得の税額控除を申告する際に、特に規定されていない限り、国外の税務当局が発行した当該納税年度の納税証明書、税金の支払証憑又は納税記録等の納税証憑を提供する必要があります。要件に該当する納税証憑を提供しなかった場合、控除を享受することができません。
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