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米国株式会社の株主の議決権について(2)

2024-11-01 | 会社設立

続きましょう~

 

  1. 累積投票

 

累積投票は取締役会で少数株主の議決権の増加等株主による取締役の選任に用いられる方法です。株主による取締役の選任方法には直接投票と累積投票があります。どちらの方法で行われても、取締役候補者は多数決原則にのっとり、たとえ総投票数の過半数を確保できなかったとしても、候補者達の中で最多数を得た者が選任されます。

 

  1. 代理投票

 

株主は代理人によって議決権を行使することができます。即ち、株主と代理人との間で委任契約を結び、株主が委任者として受任者の代理人(代理人)を委任・指定して議決権を行使します。米国模範会社法 (2016年改正版)では、「proxy」という用語を用い、株主の代わりに議決権を行使する代理人のことを指し、株主が「委任状にサイン署名するか若しくは電子メールの内容によって議決権の行使の委任を行うか又はその他方法で委任することができると規定されています。裁判所は、代理人の氏名、株主総会の日付、または議決権を行使する日付を省略した委任することにお勧めです。さらに、代理人として指定された者は株主である必要はありません。

 

3.1    代理人に付与された代理権の有効期間はどれくらいありますか?

 

ほとんどの州では、委任書類によって期限に関する規定が別段に定められた場合を除き、代理権限が一般的に11ヶ月間と黙示的に認められています。代理期限の7年間等のはっきりとした時効が設けられて、規定期限を超えた場合、委任書類が無効になると規定されている州もあります。ほとんどの州では委任書類に規定された期限内ならずっと有効であり、期限について定めなかった場合に11ヶ月となります(理論上毎年の株主総会の開きの前に改めて委任書類を作成すべきと思われます)。

 

代理投票あくまでも代理関係に基づきなされた行為なので、株主はいつでも自由に委任を撤回することができます。したがって、代理投票の撤回は規定された代理期限に拘束されません。撤回の意思表示が明示的または黙示的にすることができます。例えば、後順位の代理投票の委任が前順位の代理投票と相違がある場合に前順位になされた代理投票が撤回されたとみなされるため、委任書類には日付を記入しなければならないと要求されています。

 

 争議が生じる場合、選任の審査員は、議決権の行使を認めるかどうかを決定する為、株主による代理投票の委任書類の日付を確認しなければなりません。株主の個人意思にもよりますが、代理投票を委任した株主が自ら株主総会に出席した場合、代理投票の撤回となる場合があります。又、株主は株主総会で代理投票の撤回の意思表示を求められることもあります。株主の死亡によって、特に会社が株主の死亡の事実を知った場合には、代理投票の委任も撤回されたこととみなされます。

 

3.2    代理人の委任の撤回が不可能な場合はありますか?

 

通常、委任書類に撤回不可能の意思表示が書かれても意味がありません。ただ、最高裁判所の判例によって撤回不可能の代理投票の委任が代理人の利益が目的とする者である場合に、撤回不可能となります。たとえば、代理投票の受任者がに株式の抵当権者の場合(融資してもらうための抵当権設定の場合)その株式について代理人の利益もついています。

 

例えば: S は年次株主総会の基準日株主であるため、株式総会で投票する権利があります。基準日の後、株主総会の開会の前に、S は P に株式を売却しました。S は、P に年次株主総会で投票権の行使を委任し、且つ当該委任が何ら理由によっても撤回が不可能であるような内容を含めた委任書類にサインしました。委任書類に記載されている撤回不可能の意思表示及び当該委任書類が代理人の利益が目的とするものなので、撤回することができません。

 

最後に、株主が代理人を指定することで投票権を行使することができることを強調します。ただし、取締役による投票においては代理投票が許されません。公共政策により、取締役による投票において各取締役の独立判断が求められます。したがって、取締役による代理投票が無効とみなされます。

 

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