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中国外商投資企業設立のマニュアル(前編)

2021-04-27 | 会社設立

世界経済における中国の実力はますます高まっているため、企業は中国において事業を行うか否かを検討する必要があります。

 

1.設立の目的

 

中国の長期経営目標を持つ投資家は、中国で子会社を設立するかどうかを検討する必要があります。外国企業は、売買契約、ライセンス契約などの商業契約書を中国企業とを締結することができますが、承認済み営業許可証なしに中国で直接的に事業を行うことはできません。子会社の設立を通じて、中国で事業を行うことに役立ち、中国法律における外国企業に対するいくつかの制限を回避することもできます。

 

一部の外国企業は、すでに中国に恒久的施設(PE)の駐在員事務所を持っている場合があります。駐在員事務所は、親会社の事業に関連する連絡活動を行うことができますが、中国で直接的に事業を行うことはできません。中国法律において、駐在員事務所は独立した法人格を有する法人と認めらめないため、第三者に対して独立した民事責任を負うことができなく、第三者と商業契約を締結することなどの営業活動が禁止されています。駐在員事務所は中国現地従業員を直接雇用することができず、オフィス賃貸借契約書を締結することしかできません。

 

中国に直接投資し、現地従業員を雇用し、製品の開発・製造に従事し、製品またはサービスを中国市場に直接販売したい企業は、中国で子会社を設立することを検討する必要があります。

 

2.事業形態

 

本稿で紹介される中国の子会社とは、外国企業(中国国外で設立された)たる株主または外国人(外国市民権を持っている)たる株主が1人以上である会社を指します。中国において、外資系子会社を外商投資企業(FIE)と呼ばれています。外国人投資家は外商投資企業の株式を25%以上保有しなければなりません。

 

会社の全ての株主が中国で設立された会社または中国国民である場合、会社は外商投資企業でなく内資企業です。外商投資企業も内資企業も「中国会社法」に該当する必要があり、外商投資企業は同時に、「外商投資法」などの特定の法律に制限され、且つ多くの面で他の規制に制限されています。

 

電信サービス及びコンテンツプロバイダーなど、特定の事業分野では外商投資が禁止されています。外商投資が承認されている場合でも、外国人投資家の保有株式数に関する要件は企業を制限しており(即ち外国人投資家は中国のパートナーと合資会社を行う必要がある)、投資家に追加要件があるため、設立申請の承認手続きは煩雑になります。その場合で、一般的に、外国人投資家は外商投資企業でなく中国のパートナーと共に内資企業を設立し、または承認された業種で外商投資企業を共同設立します。その事業形態により、外国人投資家の外商投資企業は中国国内企業と契約を締結し、共同管理します。当該契約により、企業の弾力性を高め、外国人投資家の経営目標をより迅速かつ効率的に達成するのに役立ちます。

 

外商投資企業は以下の4種類の事業形態があります。

(1)  外資系独資企業

(2)  中外合資経営企業

(3)  中外合作経営企業

(4)  外商投資株式会社

 

上述の(1)~(3)は有限責任会社であり、その株主は出資額により有限責任を負います。外国人投資家たる株主は会社の25%以上の株を保有しなければなりません。(4)は一般的でなく、その原因は以下の通りです。

 

(1)  外商投資株式会社を設立するにより長い所要時間及びより高い最低資本金が必要です。

(2)  外商投資株式会社設立後3年以内にその株主が保有している株を譲渡することができません。

(3)  外商投資株式会社を設立するに2名以上の株主が必要です。但し、外国人投資家が中国において会社を設立する場合、完全子会社を設立する傾向があるため、有限責任会社はより合理的な選択肢になりました。

 

従って、将来に子会社が中国で上場する予定がない限り、大部分の外国人投資家は、外資系独資企業、中外合資経営企業または中外合作経営企業をを設立する傾向があります。

 

外国人投資家は、経営しようとする業種が独資企業しか経営できない限り、自身のビジネスモデルと状況を検討し、独資企業または中外合資経営会社を決定する必要があります。現在、外国投資を承認されている業種で事業を行う場合、より多くの外国投資家は外資系独資企業を選択します。外国人投資家は、土地、工場、設備、または地元市場の参入のために地元の支持に大きく依存しなければならない場合、上述項目が提供できる中国のパートナーと共に中外合資経営企業を設立することもできます。

 

しかし今は、多くの外国人投資家は中国市場及びビジネス環境に精通します。自ら適格な現地人材を雇い、地元の支持を取得できる場合、外国人投資家は外資系独資企業を選択する。さらに、多くの中国政府の地方部門は、外国企業との直接のコミュニケーションに慣れてきています。上述の理由により、外資系独資企業は、地元の資源及びチャネルへの依存が不利ではありません。また、外商投資企業の親会社は通常、企業管理、知的財産権の管理、外商投資企業の契約作成及び登記抹消において、より弾力性があります。

 

外国人投資家は、新規外商投資企業を設立すること以外に、既存の外資系企業を購入する、または内資企業を買収して外資系独資企業または合弁事業に変更することもできます。

 

3.出資者と登録住所

 

中国法律の観点から、外国人投資家の国籍は中国の子会社の承認手続き及び処遇に影響を与えません。外国人投資家がケイマン諸島、米国、その他の場所で登録されているかどうかに関係なく、外国人投資企業は同じ承認手順及び規制に従い、一律に処遇されます。会社の株主は香港及びマカオなどの特別な地域の投資家である場合、その会社は外商投資企業と見なされます。当然に、中国と外国人投資家の本国の間に二国間課税協定があるか否かに応じて、各国の外国人投資家は異なる税率を適用します。また、子会社の登録住所を選択する際、外国人投資家は、子会社の登記抹消が必要な場合の計画、及び各法域の税制に基づき税務計画を検討する必要があります。

 

有用な人的資源も子会社の登録住所を決定する主な要因の1つです。登録場所の近くに大学及び高等学校がある場合、大学及び高等学校はハイテク企業に適格な研究開発技術者を提供します。北京及び上海は中国の2つの最大の都市であるため、多くのハイテク企業は北京または上海を登録住所とします。江蘇省、浙江省、四川省、広東省などの先進地域の都市にも大量のハイテク人材がいます。製造会社の投資家は製造業を支持するに現地に十分な労働力があることを望んでおり、その場合に、工場の設立及び設備の配備もより便利となります。

 

多くの都市及び地域は、工業・ハイテク団地を設立し、各優遇措置を提供することにより投資家を誘致します。主に所得税及び輸入税の面で優遇税制を実施し、団地の種類別及び外商投資企業の事業範囲によって異なります。一部の地方税を除き、外商投資企業の所得税は国税の監督下で課税します。投資家は選択の団地が政府によって正式に承認されていることを確認する必要があります。

 

4.設立の流れと見積費用

 

外商投資企業は、中国工商行政管理局または同レベルの政府機関によって承認される必要があります。地方当局が外商投資企業を承認するか否かは、当該企業の事業活動の性質及び投資総額により決定されます。現在、大部分の外商投資企業は市級または省級政府機関によって承認されます。設立に必要な書類が全て揃っている場合、現地の承認機関に直接提出することができます。非制限業種に従事しようとする外商投資企業は1ヶ月以内に登録を承認できます。

 

中国の法律は、外商投資企業の業種を、奨励、許可、制限、禁止の4つのカテゴリーに分類しています。WTO時代で、中国は外商投資に対する業種の制限は徐々に緩和されています。


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