2019.4.28 21:00~
『草野マサムネのロック大陸漫遊記』
TOKYO FM
https://www.tfm.co.jp/manyuki/
こだわりの草野マサムネというか・・・、先々週のMC(ココです)の修正です。
「ブリティッシュロック史上最重要バンドのひとつ」
「最も~な…のひとつ」は、英語表現の〈one of the+形容詞の最上級+名詞〉からきていると思うんだけど、草野氏はあちこちで「この表現、好きじゃない」と言っていますよね。
中学英語でこれを知ったとき、私も違和感もったなあ。「最も~な…」って、それ、すでに一つしかないでしょってね。
草野「『最も重要な人物』でおおっ!ってなって、「のひとり」ときて、ガクッとなっちゃいません? 最も重要じゃないのかよ、って・・・。間違った表現じゃないのかもしれないけど、詐欺的な話法?」
今は日本語で普通に使われているけど。
草野「今はお堅いテレビ番組でも言うもんね、『ルネサンス期における最も重要な作品のひとつです』とかね」
そこで力強く、「Wishbone Ashは、ブリティッシュロック史上最も重要なバンド!」と言い切っていました。
そして、今回のテーマは「3連ロッカバラードで漫遊記」。
1つの音譜を3つに割ったものが3連符。「3連符のリズムが気持ちいいロックナンバーをセレクト。
草野「ロックには定番のリズムパターン。シャッフルよりはのんびりしていてワルツよりは速いとでも言いましょうか」
ZO-3で聴かせてくれたのは、「We Are the Champions」、そして中島みゆきの「時代」。
オンエア曲
01 俺の赤い星(スピッツ)
02 いい女(ウルフルズ)
03 君のため(THE BLUE HEARTS)
04 Funny Face(The Muffs)
05 青すぎる空(eastern youth)
06 Let Me Roll It(Paul McCartney & Wings)
07 あなた(小坂明子)
漫遊前の一曲は、スピッツで「俺の赤い星」(2000年、9thアルバム『ハヤブサ』)。
草野「これはベースの田村の作品です」
この頃までは、アルバムに草野正宗以外のメンバー作曲の作品が含まれることもあったな。
ボーカルの声がとても魅力的で、歌詞の切なさがハンパないなと、当時思った記憶ある。ギターソロとベースラインも好きだ。
最初の曲は、ウルフルズで「いい女」(1992年、デビューアルバム『爆発オンパレード』)。
ウルフルズのライブの定番パフォーマンスを思い出してしまった(草野氏も「ライブ後半を盛り上げるために欠かせない定番曲」と)。
草野「ウルフルズはどのアルバムも内容が濃くて大好きなんですけど、ファーストは若さゆえのリビドーが切なくていいですね」
草野くんが好きなウルフルズのエピソードは・・・、「ほとんどお客さんのいなかったステージでも『トータスに会いたいかー』とお客さんを煽っていた」。
一方スピッツは、もともと客を煽るなんてことはないからそんなエピソードはなく、「むしろお客さんが3人とかしかいないと一人一人の顔が見えて、かえってメチャメチャ緊張して下を向いて歌っていたという情けない思い出」がある、と。
次は、THE BLUE HEARTSの「君のため」(1987年、デビューアルバム『THE BLUE HEARTS』)。
「ああ 君のため 僕がしてあげられることは それぐらいしか 今はできないけれど♪」の歌詞を低い声で語るように歌ったあとで、「してあげられることは それぐらいしかないけれど」ではなく「~それぐらいしか今はできないけれど」って、
草野「文章としてちょっと稚拙な感じがするでしょ。でも、不器用な人物が発しているとして、狙って作ったんじゃないかと思ったりするんですよ。そうだとしたらすごい歌詞だな、と。その不器用さにグッとくるわけ」
でも何も考えずに作ったんだとしても、「お茶目だな。もうヒロトさんなら何やってもOKと、完全にファン目線になっているわけです」と、ブルーハーツへの限りない愛を熱く語る。
のちに、「あれ、これってマーシーの曲だった・・・」と気づいたわけですね。ずっとヒロトさんの作品と思っていたというところがちょっと愉快。
ああ、それにしても、ブルーハーツのバラードって、なんて切ないんだろう。草野くんが言うように、こんな不器用な男が愛を伝えているのだと思ったら、よけいに胸が締めつけられる。
テクニックではなく、魂の叫びです。これを聴いていたら、やっぱりヒロト作品と思ってしまうかも。
「ごめんなさい」のあとの言葉にちょっと笑ってしまったり・・・。
この歌詞、曲として聴いていると、不自然にはまったく感じられないなあ。
次は、The Muffsの『Funny Face』(1995年、2ndアルバム『Blonder and Blonder』)。
90年代に活躍したロサンゼルス出身のスリーピースバンド。
草野くんは90年代にかなりはまって聴いていたそうで、
草野「ボーカル・ギター担当のキム・シャタックさんの作るメロディーがキャッチーなのに、サウンドは攻撃的で、とてもかっこいいです」
キム・シャタックは、のちにピクシーズのベーシストとして活動していたこともあるそうだ。
草野「この曲は、ギター、ベース、ドラムスの音が気持ちよくて、当時スピッツのレコーディングでも参考にしていました」
この話は、番組内でか、あるいはほかのインタビューとかで語っていましたね。女性ボーカルというところが、ある意味、彼らしい?
The Muffsの「Sad Tomorrow」(『Blonder and Blonder』収録)のMV。
The Muffs - Sad Tomorrow (Video)
メッセージをご紹介。
「スピッツの楽曲のコーラスやはもりはマサムネさんが決めているの? とても心地よくて一緒に歌いたくなります」というメッセージ。
基本的に草野くんがはもりのパートをすべて考えているそうだ、「オレも人の曲にはもったりするの好きだったし」。
草野「カラオケに行っても、勝手に人の歌にはもったりしてうざがられるタイプです」
スピッツのボーカルにはもってもらえたら・・・、シロウトなら誰でもうれしくなると思うけど。
彼自身はそれが楽しいので、有名なシンガーのバックコーラスでツアーを回ったりするのもいいなと考えたりするそうだ。
メッセージをくれたリスナーの方は八丈島在住だそうで、「寒い季節にクジラが見られます、ぜひ!」と。
「最近、八丈島の言葉が消滅危機言語としてユネスコから指定されたという報道があった」そうで、彼は動画サイトで八丈島の方言を聴いて、「ホントに独自の方言で興味深かった」と。
草野「八丈島はクジラも見られるし海もきれいだし。あと、温泉もいいらしいと。ぜひ行ってみたい」
最近人に自分の言葉が通じにくくなった、というリスナーさん。「活舌が悪くなったのか? 相手の耳が悪くなったのか? 草野さん、歌うときに気をつけていることは?」
「力を入れるというより、むしろ抜くこと」に配慮すると。
草野「力みがちな性分なんで、力まないように心がける」
なるほど。
草野「でも、この番組を家でradikoで聴いて、滑舌悪いなあと思うことがあるので、気をつけたいと思います」
次は、eastern youthの「青すぎる空」(1997年、メジャーシングル)。
北海道のロックバンド特集で取り上げようと思ったけれど、あえて今回に残しておいてとか。
草野「文学的な歌詞を絞り出すような歌唱でグイグイ迫ってくるイースタンユース」
彼らの楽曲を聴くと、「20代の頃通っていた定食屋の匂いがなぜか鼻腔に蘇るんですよね。なんでかわかんないんですけど」
ギターの吉野さんが『Guitar Magazine』で連載していた記事も好きだったそうだ。
曲終わりで、「ギターがジュルジュルいっているのが気持ちいいです。ちなみにYAMAHAのSGを使ってらっしゃいます」
同世代なんだけど、敬語を使うあたりが、イースタンユースとスピッツの位置関係を裏づけているようで、なんとも興味深い(笑)。
昔々、スピッツが彼らと喧嘩?したという噂がまことしやかに流れて、個人的に、ありえないなあ、と笑ってしまったことがある。
最後は、Paul McCartney & Wingsで、「Let Me Roll It」(1973年、5thアルバム『Band on the Run』)。
草野「今でも、ソロライブでの定番曲」
草野くんはポールのソロライブに2回行ったことがあって、「2回ともやっていた」と。
そうです、私もいつも聴いている。ま、定番曲はいくつかあって、Wingsの楽曲では必ず、と言ってもいい。
草野くんは特に好きな曲ではなかったけれど、「演奏しているときのポールさんがとても楽しそうだった」と。
草野「おそらく演奏している人がまず楽しい曲なんだろうな、と。それで聴いているとこっちまで楽しくなって、それで好きな曲になってしまった」
私はいまだに、なぜか「あ、またか・・・」とか思って、ちょっとひいています(笑)。CDよりずっと長めに演奏するし。やっぱり本人が楽しいんだろうなあ。
結論、「3連のロッカバラードのリズムは演奏する人がまず気持ちいいリズムなんだろうな」と。
曲を聴いて、「あ、やっぱりちょっとカッコいいかも」と思ったワタシです。
メッセージを!
「クセになる面白ソングで漫遊記」を聴いて、「ロックとは何か」、わからなくなったというリスナーさん。
「ロックって?」、こういう質問はよく寄せられるそうで、彼自身の回答も「毎年アップデートされているかも」って。
草野「ずるい逃げっぽい答えを用意するなら、あなたがロックだろうなと思うものがロックです」
でも、彼の中にとっさに浮かんだのは、次の2点だそうだ。
○まず反骨のスピリットをもっている音楽か?
○独自であることに意識的な音楽か?
草野「一晩中語れそうなテーマですけどね」
3連のロッカバラードはのんびりした長い曲が多いので、「ホントはもっとかけたかったんですけど」。
RCサクセションの「スローバラード」、プラターズの「Only You」、南佳孝の「スローなブギにしてくれ」など、「かけたかったんですけど、またの機会に」。
3連ロッカバラードときいて、最初にこの曲を浮かべた私ですが、そんな年齢ではありません(笑)。ま、スタンダードだしね。
THE PLATTERS - ONLY YOU
最後は、「ちょっぴりタイムマシン」のコーナー。
今回は、小坂明子さんの「あなた」(1973年、デビューシングル)。
草野「ロックでもないし、全然埋もれていない名曲ですけど、3連のリズムを最も効果的劇的に使った、いいサンプル」
イントロからAメロまでは8ビートで進み、サビに入るところで3連のリズム。
草野「これがすばらしく、胸がキュンとなって鳥肌が立つ。小坂さんの声も美しい」
最後の「そして私はレースを編むのよ」の繰り返しで、「小坂さんは作詞家としても天才だと思います」。
家を建てるとか大きな夢じゃなく、「レースを編む」というマクロな夢(これは「ミクロな夢」と訂正あり)を繰り返す切なさ、「教科書のように参考にしています」。
草野「個人的には、昭和の流行歌の最高傑作だと思っています」
久々に聴いて、胸が震えて、ああ、私はこんな大人になってしまった、と切なく振り返りました。
次回は、「あなたのアゲアゲロックナンバーリクエストで漫遊記 洋楽編」だそうです。
夏至に近づいて「体もほぐれてきて、アゲアゲロックナンバーを求めている人も多いのか」、リクエストが思いのほか多かったそうだ。
再来週は「邦楽編」だそうです。2週続けて「アゲアゲ」で元気になりたい・・・とワタシです。