こんにちは  お元気ですか(上郡町 そとかわピアノ教室)

上郡町の、小さなピアノ教室です。
ピアノを通して元気になれる教室を目指しています!

最後の夜

2014年04月26日 | 家族
父は、本当によく手をあげて、なにか伝えようとしているのか、なにか求めているのか、わからないのがもどかしいくらい何度も何度も片手を上げていました。

そのたびに手を握り、

「なに?」

「なに?」

「おるよ。ここにおるよ。」


声をかけるのだけど、そのたびに目を細く開けて見つめてくれるのだけど、それ以上何もわからない。

暗くなった病室で何度も手を握り、しまいには、私も意味もなく

「おと~うちゃん」

「おと~うちゃん」

と、歌うように呼びかけるだけでした。

そのうち、懐メロが好きだった父について小さい頃から聞いて覚えた歌が口をついて出てきました。

「きーしゃのぉまどか~ら、ハンケーチーふーれーばー
   まーきばのおとめ~が、はなたば~なーげーるー」

「はーるばるきたぜ、はーこだってーーー、
   さーーーーかまくぅなみをのぉりこえってえーー」

おとみさん、ちゃんちきおけさ、北国の春、別れの一本杉、それから、それから・・・

半分涙声で上手く歌えやしない。かまうもんか。もう、聞いてもらえないかもしれない。

お父さん、ピアノ習わしてくれて、ありがとね。
しあわせな人生をありがとね。

伝えたいことを思いつくまま、語りかけるのだけど、苦しそうに息をするだけです。

また、ゆらゆらと手が上がっていきます。

背が高く、庭に実のなる木を植え、季節ごとの野菜を作ってきた父の大きな手はサイズはそのままで腕は骨に皮が張り付いているだけになっています。

その大きな手のひらと太い関節がむきだしになり、その重みにようやく耐えている様子で手が上がります。

「お父さん、こないだね、ユイちゃんの国家試験合格の通知が届いたんよ。この四月から病院で働くことになったんよ」

突然、父が正気に戻り、

「そうか!やった!よかった、よかった!」

の、声が聞こえてきそうな勢いで私の手を握り返し、手を何回も叩きました。

「マナちゃんも毎日頑張ってるよ。帰ってきたらへとへとになってる。」
「ヒロキもがんばっとうで。あんまり連絡よこさんけどな」

「・・・そうか、そうか」

満足そうに笑って、そしてまた目をつむりました。

そして、また静寂。

苦しそうな息と、時々襲ってくる痛み。

たまらず、看護婦さんを呼んで痛み止めの薬をいただく。説明をしようとするのだけど、涙で言葉が続かない。

笑顔で対応してくださる看護婦さんの顔も曇る。

手を握っていることしかできない。

また、「おとーうちゃん、おとーうちゃん・・・・」と、呪文のように呼びかける。

そんな時、ぼーーっと呪文を唱えていた私の手を両手で包み、父が何を思ったか手拍子を打つ真似をし始めた。

・・・・え?

なにか歌えって?

えーと、えーと・・・・

知らぬ同士が、小皿叩いてチャンチキおーけーさーぁあああ・・・・

すると、父の手が伸びて私の顔をさすり始めたのです。

おとうちゃん、おとうちゃん・・・・・

ありがとう、ありがとうね・・・・・。


一晩ですっかり顔の形が変わるほど私はたっぷり父と別れを交わしたのでした。




別れのとき

2014年04月24日 | 家族
先週、父を見送ってきました。

いつかは来ることとはいえ、やはり寂しさはぬぐえません。

今はただ、安らかにあれと願うばかりです。そして、私にとって素晴らしい人生を残してくれたことをひたすら感謝する毎日です。

昨年から入退院を繰り返し、食欲が落ち、あんなに畑の世話をしていた父が寝てばかりの生活になり、やせ細り、最後には骨と皮になり、病に蝕まれて衰えていく姿を見守ることしかできなかったのが残念で、悔しくて、父がかわいそうで、悲しくなります。

それでも、顔を見せると嬉しそうに声をかけ、元気そうに振舞ってくれるので、心のどこかで不安に思いながらも私たちに希望を持たせてくれたのが救いでした。

春休みに娘たちと一緒に実家に行った時も、やせ衰えたとはいえ、まだまだ会話もでき、娘たちに頑張れよと声をかけてもらい、二人とも、その声に応えて笑顔で帰ることができ、それが最後となってしまいました。


一ヶ月後、入院していた父が誤嚥性肺炎になったと知らせを受け、土日をはさんで出かけました。家には寄らず、直接病院に着くと、妹が出てきて、寂しそうに笑いかけ、
「お姉ちゃん、びっくりしなさんなよ」
と言ってドアを開けてくれました。

そこには今までの私の知っている父ではなく、まるで骸骨のような、苦しそうに息をする見知らぬ老人が横たわっているのでした。

“びっくりなんか、するものか”

気持ちを立て直して近寄り、片手を上げて空(くう)をつかもうとしている父の手を握り、
「お父ちゃん、来たよ~」
と、話しかけました。

細く開いた目でわたしをじっと見つめ、しばらく動きませんでした。

妹が後ろから
「お父さん、おねえちゃんが来てくれたんよ、わかる?」
と、声をかけると、ぱっと顔に表情が戻り、何かを話しかけてくれました。

でも、もう声は出ず、はあ、はあ、と息が漏れるだけです。
「お父ちゃん、何言ってるかわかんないよぉ」
笑顔で言ったそのあと、思わずこみ上げてきて握り締めたその手を抱え込んで、ぽたぽたっと涙を落としてしまいました。

妹も後ろで泣きながら
「昨日からずっとそうやって手を上げとるんよ。握ってやっておろしてあげるんだけど、すぐ上げるんよ。」

「こないだからお母さんやキヨシと交代で泊まって様子を見よるんよ。看護婦さんがついててあげてくださいって。」

「・・・・じゃあ、今日は私が泊まるね。普段はできんもんね」

私は最後の夜を父と過ごすことになりました。

かみごおり 桜まつり

2014年04月06日 | その他
桜のシーズン到来とともに、上郡のピュアランド周辺に植わっている、さくら園の桜が満開になり、山全体がピンク色に染まって見事な景色になっています。

今日(4月6日)はその、さくら園を見下ろすピュアランド駐車場で桜まつりが開催されました。

私が関わっている、児童合唱サークルもステージ参加です。

このところ、ずっといい天気だったのに、朝から怪しいお天気で、雨もパラパラ、風がびゅうびゅう、あられも落ちたりするのに、さあっと晴れ間が広がってみたりとハラハラしどおしのお天気でしたが、私たちの出番の頃にはやっとお天気が落ち着いてきてやや風はあったものの、日差しの中で歌うことができました。

メンバーは小さな子どもが多く、まだなかなかまとめるのは難しいのですが、練習は楽しくやってます。

そう、まだまだこれから!

新しいメンバーも入ってきます。

次はもっといいステージに!

がんばろう!






もっとねえ・・・。いい写真を撮っとけばいいんだけど、子どもと一緒の時は、余裕ナシ!
こんな感じで、プログラムが出来てました・・・・。