kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

広島市映像文化ライブラリー「MoMAニューヨーク近代美術館映画コレクション」

2014年12月14日 | ★★★☆☆
今月の広島市映像文化ライブラリーの特集は「MoMAニューヨーク近代美術館映画コレクション」。かの「続・荒野の用心棒」も収蔵されているというから、上映にちょっと期待したけど、さすがにそれは無いよな。

暗黒の恐怖(Panic in the Street)
1950年の作品で、肺ペストの密入国者が殺人事件の被害者になったことから、ニューオリンズの警察と公衆衛生局が事件の真相を追うというもの。
罹患者の足跡を追うが、密入国かつ殺人事件なので捜査が難航するという構成が見事で、「今や飛行機で数時間でニューヨークにたどりつけば、爆発的に感染拡大する。」というセリフが現在のエボラと見事にかぶっている。
リチャード・ウィードマークの公衆衛生官とポール・ダグラスの刑事のコンビもバディ映画の王道である。エンディングの二人の別れもすがすがしい。

また、演劇手法が取り入れられ、とにかく1シーン1ショットが多いのも見どころ。映画的なスリリング場面だけなく、日常シーンでも多用されているのが面白い。

殺人事件の黒幕であるヤクザもの役が、映画デビューしたジャック・パランス。この時、若干31歳。迫力があって、全然若くない。(笑)逆算したら「ガンマン大連合」のころには50歳過ぎなのだから、いい役者さんだよなあ。
余談ですが、顔とは裏腹に心優しいジャック・パランスは、砂漠のロケ時に「掃除する人に申し訳ないから。」という理由でトレーラーハウスのトイレを使用せず、屋外で用を足していたそう。大好きなエピソードの1つです。

監督:エリア・カザン
出演:リチャード・ウィードマーク、ポール・ダクラス、ジャック・パランス

スウィート・スウィートバック(Sweet Sweetback's BaaDasssss Song)
こういったブラックスプロイテーション作品が市映像文化ライブラリーにかかるというのもスゴいものがあるね。(雰囲気は横川シネマ。)
セックスマシーンの黒人が人身御供で警察に差し出されそうになるが、白人警官の横暴なやり方に怒りが爆発し、メキシコを目指して逃亡する。(白人警官の暴力に人民の怒りが爆発するって、今も何ら変わっていないなあ。)
ストーリーも画面も70年代の真髄なのがとても楽しい。街に出たカメラが映し出すロスの街並みや風俗、雰囲気にゾクゾクしてしまう。
ストーリーは一種のロードムービーなのだが、斬新な映像表現に、何が起きているのか想像力と映画的経験でカバーしているところも多々あります。(笑)

監督:メルヴィン・ヴァン・ピープルズ
出演:メルヴィン・ヴァン・ピープルズ、サイモン・チャックスター、ヒューバート・スケールズ

イタリアン・アメリカン(Italianamerican)
マーティン・スコセッシが両親と祖父母がたどったイタリア系移民の歴史ほかを語らせるというドキュメンタリー。
映画監督の両親といっても、ふたりとも20年後に「グッドフェローズ」に出演しているから、初めまして感はないのだが。(笑)

話の中身そのものはさほど面白くないのだが、とにかくよく喋る二人が楽しい。まあ、スコセッシ映画のキャラクターそもののなのだ。(当然、時代的にはこちらが先。)

ミートボールの作り方にこだわるあたりとか、人の名前が多過ぎて誰が誰か分からないエピソードとか、「グッドフェローズ」のネタ元の片鱗が垣間見えるあたりも興味深い。

ところでこの作品、上映時間は48分と短め。でも、鑑賞料は先の2作品と同じって、割が悪いなあ。(笑)

監督:マーティン・スコセッシ
出演:キャサリン・スコセッシ、チャールズ・スコセッシ
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