kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ドリーム

2017年10月23日 | ★★★☆☆
邦題にポスターの写真とシンガー系の映画かと思い、完全にノーマークだったが、これが黎明期の宇宙開発に携わった黒人女性の映画。
そういえば、先日のNHKの「コスミックフロント」でこのドキュメンタリーを放送していたじゃないか。(余談だが、時節ネタを取り上げる「コスミックフロント」の機動力はすごい。)

1950~60年代、女性で黒人というハンディを乗り越えて、自分の才能で道を切り開いていく姿は映画の王道。無意味な差別など今から見れば、タチの悪い冗談としか思えないのだが、わずか50年前はこれがアメリカの現実だったのだなと実感させられる。超エリート集団であるNASAでさえ、そうだったのだから、人間の偏見とは恐ろしい。そこを今や、イヤミなマネージャー役が似合う年ごろになったキルステン・ダンストが好演。

とはいえ、基本的に男性中心の考えに近いワタシにすれば、頭ごなしに上司に直訴する主人公の姿にはちょっとムカッとくるけどね。(笑)

また、宇宙開発黎明期の時代感が素敵で、コンピューターもろくになかった時代に手作業と試行錯誤で人間を宇宙に運んで行った勢いが伝わってくる。実写フィルムとCGを組み合わせた発射シーンがまたいい。露助のR-1ロケットが打ち上がれば、レッドストーンも大爆発する。60年代のインテリアデザインも味があるなあ。

ただ、ストーリーはともかく全体に低予算感があるのは否めない。
こういったものは、鑑賞中に一度、気になりだすと、後は止まらなくなるものだが、ジョン・グレンが格納庫から出てくるシーンはちょっとなあ・・・。あんなところを歩いてこないだろう。

だが、それ以上に不幸なことにケビン・コスナーの存在が低予算感を一気に高めてしまっている。
キャストの中で一番、ネームバリューが高く、要求は厳しいが理解もあるという理想の上司像を演じているが、実際のところ、

軌道計算の取りまとめからフライトディレクター、人事、トイレの管理まで一人で出来るかあ!

現実にはそれぞれの部門に管理職がいるだけに、ケビン・コスナーが活躍すればするほど、俳優の少なさが目に付くという悲しさ。
宇宙開発ものが好きなだけに、本来のテーマに気持ちが入らなかったなあ。

ところで、主演のタラジ・ヘンソン。どこで見たのかと思えば、「スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい」の狙撃手でしたね。






題名:ドリーム
原題:Hidden Figure
監督:セオドア・メルフィ
出演:タラジ・P・ヘンソン、オクタビア・スペンサー、ジャネール・モネイ、ケビン・コスナー
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