太平洋戦争の転機となったミッドウェイ海戦を描く戦争映画。
この監督が「インデペンデンス・デイ」「デイ・アフター・トゥモロー」「2012」のデザスター系監督のローランド・エメリッヒ。
もう不安しかないのだが、事前情報ではそこそこ良いし、コロナ禍で映画館のラインナップも全滅のような有様なので、劇場へ。
ミッドウェイ海戦がクライマックスになるが、実は真珠湾攻撃からの主要な戦闘を全て、日米双方から描く。
映画的にはほぼいきなり真珠湾攻撃が始まるが、いまひとつ緊張感がない。「トラ・トラ・トラ」なんて映画史に残る傑作があるから止む得ないんだが、戦艦アリゾナの撃沈なんてもっと描きようがあるだろう。
しかし、映画が進んでいくと、映画として表現が難しい大戦の一局面を、政治的な大局と戦う個人の目線の双方から細かいエピソードを積み上げて、立体的に構成している。
作りとして「インデペンデンス・デイ」に近いとも言えるし、何といっても戦争映画の傑作「史上最大の作戦」を思わせる。
日本側の戦略の組み立てや暗号解読のくだりはなるほどと思わせるし、実際海戦が始まり、索敵、潜水艦戦、空中戦、爆撃、雷撃、急降下爆撃、自沈と局面ごとに分かりやすく描いている。
特に空母への猛攻撃で日米双方の視点から「殺す側」と「殺される側」の恐怖感を取り上げているのは、映画としてよく出来ていると思う。
「男たちの大和」に欲しかったのは、この双方の視点なんだよ。
ただ、娯楽映画に寄りたかったのか、再現ドラマにしたかったのか、軸足がはっきりしない感が終始つきまとって、その辺が作り手の才覚なのかなあと思わせたりね。
太平洋を舞台にしたスケールのデカイ話なので、ある程度基礎知識がないとついていけないのは戦争映画として止む得ないところだが、この手の映画が好きな人はぜひ。
題名:ミッドウェイ 原題:MIDWAY 監督:ローランド・エメリッヒ 出演:エド・スクライン、パトリック・ウィルソン、ルーク・エヴァンズ、 豊川悦司、浅野忠信、國村隼 |
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