kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

広島県立美術館特別展「ジャパン・ビューティー 描かれた日本美人」

2015年01月04日 | 展覧会
「ジャパン・ビューティー 描かれた日本美人」
会場:広島県立美術館
会期:2015年1月2日~2月15日

実は広島県立美術館の先の特別展「榮久庵」展も観に行ったのだが、会期が短かった上、周囲の人も結構書いていたので、書きそびれてしまった。

個人的には道具寺に「武」があり、武器一式も掲げられていたあたり、なかなか興味深かったのだが。(是非は別として、優れた武器はよく考えられた道具であることは間違いない。)


【こんな武器も「道具寺」には収められている。】

さて、その反動ではないと思うのだが、立て続けに鑑賞すると、今回の展覧会は全く逆のエネルギーが働いているかのようだ。「榮久庵」展の観客は男女比が6:4くらいだったが、今回は1:9。オッサンひとりで観覧しているのはワタシくらいか。

また、「榮久庵」展が万博のパビリオンを思わせる近未来的な展示であったのに対し、こちらは昭和の美術館のよう。館内にはお香か樟脳の匂いがしているかのようで、心落ち着くものがある。

まとまった点数の美人画を見て、まず気付いたのが、基本的に描かれた女性の視線の先が画の外にあるということ。真正面からこちらを見ている絵なんてほとんどない。人を見据えるのは礼を失するという日本的な礼節の反映でもあるだろうし、それが儚げさや物憂げさを生みだしている。もっと言えば、掛け軸という縦横比がいびつで特殊な形状だから成立したスタイルのような気もする。

縦長の掛け軸は現代のレイアウトの基本型と異なるので、ホームページの仕事で掛け軸の画像を扱うと、とにかく収まりが悪くて面倒くさい。「榮久庵」展では美しい形として黄金比の展示があったが、縦横比が安定した美人画となると、それは屏風という形式になっている。そして、屏風はその中で画の物語が完結していることが多い。


【黄金比解説】

掛け軸の場合は想像上の横幅を拡げ、美人の視線の先を想像することでその物語が成立するかのようだ。掛け軸という額縁の中で、安定した画にするためには自然と枠の外に物語を求めるようになったのだろうか。

肝心の美人の方はなかなか着物の日本髪の女性に接することがないので、艶っぽさを実感することができなかったが、作家によってはずいぶん西洋的で現代的な顔立ちの女性を描いているのが興味深い。

今回、気に入ったというか惹かれたのは増原宗一の「いれずみ」。エロエロです。
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