以前、仕事で小説「ブラバン」を取り上げた縁で、作者の津原泰水さんとお話しする機会に恵まれた。
それで事前に「たまさか人形堂物語」を読むことにした。
可愛く、優しげな表紙とは裏腹に、話のほとんどがマニアックというか狂気めいたアーティストの話。ものづくりが好きな身としては、心情的に理解できる、あこがれのようなエピソードばかり。
さらに、束前(つかまえ)という登場人物が経営する会社が「CAPTURE」というセンスも、アナグラムによる変名のセンスも大好き。ワタシも似たようなことを考える。
これらきわどい人物と接する主人公の女性(30半ば、独身)だけが一応、一般市民で、彼女のモノローグからワタシが世間様からどのように見えているのかよく分かる。
で、読んでいて、昔、はたち前後に読んだ講談社X文庫の「星から来たボーイフレンド」シリーズを思い出した。いわゆる少女小説。両方の主人公の語り口がそっくりなのだ。
文体が似ているのは、同じ作者だから当然なのだが、そのことを知らなかったとしても、思い出したと思う。
そのことを津原さんに話してみた。明快な答えをいただいた。
20年ぶりに知人に出会えたようで、何となく嬉しかった。
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