kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

県庁の星

2006年04月10日 | 邦画
日時:4月9日
映画館:TOHOシネマズ

■顕著の黒星
原作小説はキレイ事すぎて、イマイチ好きになれませんでしたが、某市役所の末席にいる身としては、見逃すわけには行きませんよねえ。

結論からいえば、「県庁の星」ならぬ「顕著な黒星」。メタメタの出来です。

さて、私が映画を評価する時、「リアリティ」が結構重要なポイントなのですが、「リアリティ」の無い映画としては、次の3つがあると思うのです。

・最初からリアリティを無視した映画。アクションとかコメディですね。
・現実をカリカチュアして描いた映画。日本人はメガネをかけているとか、ドイツ軍人はナチだとか。
・スタッフに観察力がなくて、現実離れした描写をしている映画。

この作品は3番目のリアリティの無さが目に付くのですよ。

■ウェルカム・トゥ・リアル・ワールド
まず、織田裕二がエリート公務員に見えない。彼の外見はエリート・サラリーマンの身なりです。エリート公務員をだいぶ見てきましたが、たいがい外見的には隙があります。顔立ちもいまどきのお笑い芸人の方がそれらしい。

それから、彼が所属するのが商工労働部。老人福祉施設を商工労働部が担当し、そのプレゼンを係長がすることなど、ありえない!(これは原作にはない設定だが、大失敗だ。)

また、知事と県議会議長が一緒に同席して、市民団体の陳情を聞くこともない。

物語の大事な舞台である、スーパーの倉庫にもリアリティがない。ただ商品の箱を山積みしているだけ。お菓子の箱の上、しかも身長より高いところに缶ビール(24本入り)の箱がおいてあるし、畳まれたダンボールの空き箱もない。社員食堂の自販機の前にも箱が山積み。普通、自販機の前の箱は真っ先にどけないか?
現実世界じゃ、無秩序の中にも何かしら意味があるのです。この映画の美術は意味のない外見だけの無秩序。

クリスマスにジャケットとマフラーだけの織田裕二。カゼひくぞ。

あと、特別委員会で一介の係長の織田裕二が大演説。そんな議会制民主主義を無視したやり方が通用するかあ~!

技術的にも時々ピンボケする撮影は問題。商業映画でそれはないだろう。

まあ、しょうもないことばかりだけど、目に付くと気になって仕方が無い。人間味のない人間がそれを取り戻す話なのに、映画そのものが仏作って魂入れずの仕事をしていたら、シャレにならんでしょう。スタッフは何を見ているのか?

という訳で大小さまざまに突っ込みどころ満載の映画。そういう意味では、私のように意地の悪い人間にはいいストレス解消。

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