今回のテーマは「これだけは知っておきたい法務と税務の基礎知識」でした。
どうしても、ただのお勉強になってしまいがちなテーマですが、
身近で親しみやすい内容になるよう工夫しました。
二宮金次郎が、江戸時代の税制を熟知して、
税金がかからない利殖の方法により、財をなし、
復興を遂げていったことをお話しし、その時々の、法律、税制を勉強しておくことは、
経営者にとって、とても大切であることを、最初にお話しました。
まずは、法律知識として、「機関設計」の話をしました。
株式会社は、株主によって構成される最高の意志決定機関である「株主総会」により、
取締役を選任し取締役に「業務執行」を委任する形態であること。
「業務執行」とは・・・
株式会社がその目的を達成するために事業戦略を決め、数値目標を設定し、目標達成の為の計画を練り、経営資源を購入配分し、雇用した従業員を管理すること。
これが「業務執行」。
「業務執行」に関する決定をするのが「取締役会」
対外的に会社を代表して取引をするのが「代表取締役」
であることをお話しました。
監査役が、業務執行のお目付役であること。
会計参与が、税理士・公認会計士などで無ければなることはできないこと。
そして、会計参与がいることで、会社の計算に関する信頼性を向上させることができること。
このような機関の性質に応じ、自由に機関設計をすることができるのが、
現在の会社法であることをお話しました。
次に株主総会のお話。株主総会の招集通知は1週間前にする必要があること。
株主総会をした後は「議事録」を作ること。
今回、皆さんが目を見開いて聴いて頂いたのが、「決議の種類」でした。
株主総会の決議には「普通決議」「特別決議」「特殊決議」があります。
「普通決議」の場合、
議決権を行使できる株主の過半数が出席する必要があり、それを「定足数」ということ。
出席した株主の過半数で決議するのが普通決議。
現在の会社法では定款の定めにより、定足数を排除できるということ。
役員の選任・解任に関しては、定足数を少なくするのも1/3に制限されていることをお話しました。
「特別決議」の場合、定足数は原則過半数。減らすにしても1/3まで。
そして、出席株主の議決権の2/3で決議すること。
特別決議で決める例として、「役員等の責任の一部免除」があるということで、会社法426条のお話をしました。
さらに、株主の半数以上(頭数基準)というように、株主の出席人数まで制限され、かつ総株主の3/4以上の多数で決議する「特殊決議」もあるという話をしました。
良くテレビドラマなどである、「代表取締役解任の緊急動議」の場面。
あれは、代表を解任されるだけで、取締役の身分は解任されないこと。
さらに、株主総会での緊急動議は、招集通知に書いていなければ、基本的に無効になること。
皆さん、こうした「脱線」も笑顔で聴いてくださいました。
定款について、
「絶対的記載事項」と「相対的記載事項」と「任意的記載事項」があること。
「絶対的記載事項」は登記が必要であること。
そして、一番覚えておいて欲しいのは、
基本的に定款の変更は「特別決議」が必要であること。
これは、皆さん覚えてくださったかな?
税務の話は、私の専門なので、事例を交えながらお話しました。
最後に、「記帳の重要性」のこと。
帳簿には証拠能力があり、事業者が行う記帳は、
歴史的に見れば「商取引におけるトラブルから我が身を守るための「権利」であった」ことを
お伝えしました。
刑事訴訟法323条二号で、商業帳簿が、戸籍謄本や公正証書と並んで、
証拠書類として規定されていることがそれを表しているということ。
そして、最後に「税法における更正の制限規定」法人税130条のお話。
私達が、当たり前にもっているはずなのに、あまり認識が無い、
「申告納税制度」の意味をお話しました。
最後に、私が昔書いた論文の一節を紹介して講義を終えました。
現代、日本の法人税・所得税・住民税などは「申告納税制度」という、納税者が自ら計算をし、しんこくした税額がひとまず「確定」する制度となっている。税務署がその確定した税額を覆すためには、その事実認定が明らかに間違いであるという証拠集めをして、立証の上、更正処分をしなければならないのである。すなわち、納税者が申告した税額が「確定」することで、納税者の事実認定、法律解釈、計算が尊重されているのである。
申告納税制度が、私たちの大切な「民主主義」の根幹であるという話をし、
決して茂木健一郎氏のような経営者になってはならないと結びました。
次回は、「経営戦略はこう立てる」の講義です。
いよいよ、SWOT、PPM、アンゾフモデル、戦略マップ、BSC、ランチェスター経営など、
使える経営戦略のフレームワークのお話をします。
次回もお楽しみに!
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