福岡県宗像市にある宗像大社は、日本神話に登場する日本最古の神社の一つです。
「神宿る島」宗像・沖ノ島関連遺産群の構成資産の一つとして2017年に世界文化遺産に登録されています。
祭神は宗像三女神と呼ばれ、沖津宮に田心姫神(たごりひめのかみ)、中津宮に湍津姫神(たぎつひめのかみ)、辺津宮に市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)がそれぞれ祀られています。
その宗像大社の伝承によれば
「宗像の子は住吉で孫は宇佐」
なのだというのです。
宗像とは当然、宗像三女神をさすのでしょう。
では、一体誰が住吉や宇佐だというのでしょうか。
宗像三女神の子神とされるのは、田心姫の子である阿遅鉏日子根神(あじすきたかひこねのかみ、以下「アジスキタカヒコネ」という)と下照比売(したでるひめ)。
湍津姫の子である事代主神(ことしろぬしのかみ)と高照比売(たかてるひめ)。
いずれも父神は出雲の大国主命(おおくにぬしのみこと)です。
住吉神は男神であることから、宗像の子・住吉であると伝承されているのは、アジスキタカヒコネか、事代主のいずれかであると類推されます。
住吉神は伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が禊を行ったときに生まれ出たとされる、底筒之男神・中筒之男神・上筒之男神の三神を指し、全国の住吉神社で祀られています。
アジスキタカヒコネは陸奥国一宮である都都古和気神社・都都古別神社(つつこわけじんじゃ)の主祭神です。
神社名である「つつこわけ」の由来については、籾を入れる藁苞の美称「ツツコ」によるという説、筒すなわち太鼓状のものを指すという説、長野県諏訪地方の千鹿頭神に由来するという説などがあるようです。
しかし「つつこわけ」のつつは筒男三神に由来するという説を、私は採りたいと思います。
つつこわけ神社の「つつ」は筒男三神の「筒」であり、アジスキタカヒコネは住吉神と同一神ではないかと考えています。
「宗像の子は住吉」という伝承は、住吉=アジスキタカヒコネ
であると示しているのではないでしょうか。