天なるや 弟棚機の項がせる 玉の御統 御統に 穴玉はや
三谷二渡らす 阿遅志貴高日子根神ぞ
アジスキタカヒコネの名を明かす歌です。
天上界にいる機織り姫で玉の御統を身につけているといえば、真っ先に天照大神が連想されます。
天照大神と素戔嗚尊の誓約において、天照大神の八尺瓊之五百箇御統(やさかにのいおつみすまる)から生まれた神の一神が、天津彦根です。
この誓約の際に同じく天照大神の御統の玉から生まれたのが、天皇家の祖先・瓊瓊杵尊の父神、正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊(まさかつあかつあめのおしほみみのみこと)であり、
素戔嗚尊の剣から生まれたのが宗像三女神です。
古事記では鬘に巻いた玉から生まれたと記されていますが、日本書紀第六段一書㈢では「首にかけた玉」を口に含み、左の腕に置くと生れたのが天津彦根です。
下照姫の詠んだアジスキタカヒコネの名を明かす歌は、御統の玉にたとえられるに相応しい神としてタケミナカタを暗示していると思いましたが、
ひょっとして
アジスキタカヒコネとは 実は天津彦根のことであるよ
と明かしているのではないでしょうか。
それとも同時に生まれた宗像三女神がアジスキタカヒコネの母なので、天津彦根の暗示はあるものの
アジスキタカヒコネとは 実は天御影のことであるよ
と明かしているのでしょうか。