あるタカムラーの墓碑銘

高村薫さんの作品とキャラクターたちをとことん愛し、こよなく愛してくっちゃべります
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「太陽を曳く馬」 連載第十二回 (「新潮」2007年9月号)

2007-08-08 00:42:41 | 『太陽を曳く馬』 連載 雑感
いつも「新潮」を買っていた心斎橋そごうに入っていた書店・丸善さんが、先月撤退したので、今月は別の丸善さんで買いました。
(昼休みに会社の近くの書店に行ったら、置いてないんだもん)

ところで本日の朝刊の経済欄で、9月に心斎橋そごうに「三省堂書店」が入ると載ってました。ご存じない方も多いでしょうが、大阪には三省堂の「書店」はございません。「文具」のお店は何軒かありますが。

「三省堂」といえば、♪あーなたーとわーたしーの 合言葉~♪(「有楽町で逢いましょう」)・・・もとい、『レディ・ジョーカー』 (毎日新聞社) の加納さんと根来さんの合言葉を思い浮かべますね。三省堂書店へ行く度に、加納さんのことを自ずと思い浮かべる楽しみが出来ます。来月はここで買いましょう。
だから「新潮」を置いておいてね、三省堂さん!(若者向けの書店なんて、止めて下さい)


それでは第十二回の雑感を、いつものように、だらだら、ぐだぐだと。
当然、まだ読まれてない方も、入手できていない方もいらっしゃるわけですから、物語の核心については、おおっぴらにネタバレはしませんが・・・警告:隠し字にしておりますが、以下は自己責任でお読み下さいませ。(『晴子情歌』 『新リア王』の内容も、そして『マークスの山』 『照柿』 『レディ・ジョーカー』 いわゆる<合田三部作>の内容についても、「既読」を前提とした上で、多少触れている場合があります。)
また、コメント欄に入力する場合、ネタバレはOKとします。もちろん
「太陽を曳く馬」限定で。未読の方はご注意下さいませ。


***

今回の概要・・・今回から、上記の但し書きに<合田三部作>を付け加えました。だって前々回から、「刑事・合田雄一郎」を思い出してしまう内容なんですから! 合田刑事の描写が面白くて、そして懐かしくて、楽しんでいます。

一方で、禅宗だの密教だの、「日本の仏教」に関する基礎知識が、忘却の彼方になっている自分にも愕然。大学の講義にあった「日本仏教史」のテキスト、引っ張り出さないとアカンなあ・・・。

とどめはヴィトゲンシュタインにカントか~! 「西洋哲学」についての知識は皆無。それではイカンと、何冊かは書籍を買っているんですけどね・・・。腹括って、読まなきゃならんか・・・。


高木宏仁和尚、岩谷渓山和尚・・・「禅問答」とは、この二人の会話のことをさすんでしょうなあ。話題を振って、煙に巻く。またはブーメランのように元に返ってくる状態。

講談社の小冊子「本」 で連載されている、菅野覚明さんと宮川敬之さんの往復連載「『眼蔵』をよむ」を、道元と曹洞宗の理解の手助けになれば・・・と、ずっと読み続けていますが、そこで解説されている言葉・語句が、二人の会話にバンバン出てくるので、半分眩暈起こしそうになってしまいます(苦笑)

この二人からは、『マークスの山』の林原や、『レディ・ジョーカー』の某政治家と秘書を連想させてしまう「あくどい、胡散臭い」匂いが、プンプン感じ取れました。



長谷川明円和尚・・・やっと登場、お待ちしておりました♪
ほんのわずかな登場でしたけどね。
・・・何か、予想と違った雰囲気の人だなあ(苦笑) 世が世なら、お公家さんの家に生まれて、口減らしのために寺に出されて僧侶になったような人とでもいいますか。

良家で育った人間が、自分と同じような匂いのする人間に対する同属意識。あるいは自分にない匂いを放つ人間に対して抱く羨望と嫉妬の入り混じった感情。
(彰之の出自はどうあれ、福澤一族の一員ですからね)
前々回で、明円和尚が彰閑和尚に「屈した」と合田さんが感じたのは、この両方の感情が均衡する中で、それを超える「何か」を、彰之から見い出したからなのか。

まあ、登場したばかりですから、彰之絡みでおいおい描かれてゆくでしょう。



合田雄一郎さん・・・今回はツッコミどころ満載だー!
「つくり笑い」!? 電車で読んでいたから、吹き出しそうになって困りましたよ~!
・・・怖い・・・けど見たい・・・でも怖い・・・。見てしまったこちらが凍りつくような「氷の微笑」かもしれん。あるいはメドューサに見つめられてしまった人間のように、石化してしまうかもしれん。(←ひどい言いよう)

まあ、吉岡くんは決して合田さんの「本心からの笑い」というものは、お目にかかれないことは確実でしょう(笑) それを見せる相手・見てもいい存在は、唯一人だけ。

「人生が変わりそうなので遠慮しておきます」!?
いや、あんた、事件のたびに人生変わってきただろうが。(ツッコミその1) だから今回も、どのように変化・変貌していくのか、期待しているんだけどね。

おまけに『レディ・ジョーカー』で、人生が変わった最大のアレを経て、生まれ変わっただろうが。(ツッコミその2) これ以上人生変わったら、加納さんの立場がないってば!

合田さんとは直接関係ございませんが、今回分で七係メンバーを思い出したのは、私だけではないはずだ。
「コンクリートを流し込んで固めたような」・・・お蘭。
「モヤシ」・・・林係長


***

以上、連載第十二回を一度読んだだけの雑感です。
高村さん、ありがとうございました。続きを楽しみにしております。

これで12冊の「新潮」が揃いました。来月で連載2年目に突入なのですね。
個人的には、2~3年は連載されるだろうと予想してましたが、この展開では、残り1年での完結は無理そう。となると、3年前後かそれ以上か・・・。ま、長く読めて楽しめるのであれば、OKですとも!


「太陽を曳く馬」 連載第十一回 (「新潮」2007年8月号)

2007-07-07 23:54:34 | 『太陽を曳く馬』 連載 雑感
7日の発売日前日、つまり6日に、「新潮」 の メールマガジン が届いたので、「珍しいこともあるもんだ」と思っていたら、早いところでは昨日発売されていた書店や地域もあったそうで・・・。
こちらのブログで知りました。
昨日寄った書店には置いてなかったぞー!(←売り切れとは考えないのか) くやしーい! もっと大きい書店に行けばよかった・・・。

本日7日は出勤日。朝からウキウキ。仕事中も「あと一時間で買える~」とソワソワ。帰宅してゆっくり読みました。

それでは第十一回の雑感を、いつものように、だらだら、ぐだぐだと。
当然、まだ読まれてない方も、入手できていない方もいらっしゃるわけですから、物語の核心については、おおっぴらにネタバレはしませんが・・・警告:隠し字にしておりますが、以下は自己責任でお読み下さいませ。(『晴子情歌』 『新リア王』の内容も、「既読」を前提とした上で、多少触れている場合があります)
また、コメント欄に入力する場合、ネタバレはOKとします。もちろん
「太陽を曳く馬」限定で。未読の方はご注意下さいませ。


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今回の概要・・・今回分を読んでいたら、約一年前にご紹介した、朝日新聞関西版に掲載されていた、法然院の貫主・梶田真章さんと高村さんの対談記事 移ろいゆく 人の心 (上)  移ろいゆく 人の心 (下)  を自ずと思い出してきました。
この対談で語られていたことを、高村さんはこれから描こうとしているのかな、と。
(リンク先の記事はまだ残っていますが、いつ消えるか分かりませんので、早くご覧下さいませ。参考になると思います)

ついでといってはなんですが、リンクを張った法然院のHP も見ましたら、サンガの文字があって、ドッヒャー! ・・・でした。
そうか、「サンガ」の文字をどこかで見たことあるなあと思っていたら、ここだったのか。「永劫寺サンガ」の構想になったモデルの一つ・・・なのかもしれませんね。名前だけかもしれませんが。

田辺氏、高木和尚、岩谷和尚、その他の雲水さんたち・・・田辺氏は前回からですが、高木和尚、岩谷和尚と各々が語っている内容が、次々に覆されていくのが面白かった!

合田さんが訝った、七分毎に登場する雲水さんたち。これ、どう見ても結託してるよなあ。なぜかアガサ・クリスティの『オリエント急行の殺人』を思い出してしまいましたよ。


吉岡くん・・・お蘭と十姉妹ちゃんを混ぜ合わせたような刑事だな(笑) 優秀なのか暢気なのか、鋭いのか抜けてるのか。その両極端な部分を持ち合わせているから、合田さんはやりにくいだろうなあと思われる。

福澤彰之さん・・・前回と同じく、今回も間接的にしか語られていませんが・・・。
前回の田辺氏の語った内容で、登場を密かに期待していた明円和尚は、チラッとだけ出現。合田さん、彼から話を聞く機会は訪れるのか? やっぱり気になります、彼とアッキーとの関係は。

合田雄一郎さん・・・今回も、いろいろと考えさせられる合田さん(=高村さん)の思考がバンバン出ておりますね。もちろん独特の、隠微で淫靡な高村さんの言い回しもね。
合田さん、永平寺へ行くのか!?(←いきなりラストの話題をふってどうする) 行っちゃえ、行っちゃえ! 私も行きたいもん。

今回の概要に、合田さんの感じたことや思考などのヒントがあるとほのめかしたので、あまり合田さんについて語るべき言葉がないです(苦笑) 上記に挙げた対談をお読みいただければ、判明すると思うので・・・。ごめんなさい。


***

以上、連載第十一回を一度読んだだけの雑感です。
高村さん、ありがとうございました。続きを楽しみにしております。


「太陽を曳く馬」 連載第十回 (「新潮」2007年7月号)

2007-06-07 23:26:43 | 『太陽を曳く馬』 連載 雑感
会社出て、書店へ寄って、「新潮」を見つけて、買って、電車に乗って読みながら帰宅・・・という、毎月7日の行事(?)

今回、袋から取り出す時に勢いあまったのか、「新潮」のてっぺんで人差し指をシュパッ! と切ってしまいました。痛いのなんのって、あーた! 雑誌を血で汚さぬように、無理な持ち方で読み、ページを繰るのも人差し指を使わないようにしました。乗換駅でふっと指を見たら、半分くらい凝固してました。人間って良く出来てるなあ。
だけどキーボード叩きにくいです・・・。

それでは第十回の雑感を、いつものように、だらだら、ぐだぐだと。
当然、まだ読まれてない方も、入手できていない方もいらっしゃるわけですから、物語の核心については、おおっぴらにネタバレはしませんが・・・警告:隠し字にしておりますが、以下は自己責任でお読み下さいませ。(『晴子情歌』 『新リア王』の内容も、「既読」を前提とした上で、多少触れている場合があります)
また、コメント欄に入力する場合、ネタバレはOKとします。もちろん
「太陽を曳く馬」限定で。未読の方はご注意下さいませ。


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今回の概要・・・冒頭を読んで、「ああ、初回に戻ったんだな」と。忘れた方は、こちらをご覧遊ばせ。ここを読まなきゃ、これからの展開がきっと把握できないでしょう。巡査部長・吉岡くんの台詞「甲6号」も、ちらっとあります。くれぐれも合田さんの部分だけ読まないように!(笑)

福澤彰之さん・・・ずーっと間接的にしか語られてないが、今回もそうですね。

だがしかし! 魔性の僧侶っぷり(←変な表現)は健在だ!
長谷川明円(←十中八九「みょうえん」と読むはず)と、一体何があったんだ!? 「屈した」なんて、つい深読みしたくなるような表現と発想をした合田さんのせいだ(笑) ホンマに他人のことはそれとなく分かるくせに、自身のこととなるとあなたって人は、もう・・・。

おっと、合田さんでなく彰閑和尚のことを語らねば。
連載第四回の雑感でも述べましたが、彰閑和尚の立ち居振る舞い・所作に、魅せられる人間って不思議と多いのね。
明円和尚の発言とされる「発心を重ねつつなおも立ち尽くしている身の固さ」・・・なんて、高村さんの表現力に座布団10枚! ですよ(笑)

これからは彰閑和尚と明円和尚の「確執」(のようなもの)が、楽しみではありますわ♪


合田雄一郎さん・・・久しぶりに「刑事・合田雄一郎」を見た!
・・・と感じさせられた今回は、かなり安心して読めました。「ああ、合田さんだ~♪」と感じられた部分が、いくつもありました。
加納さんがすっかり変わってしまったこともありますが、「刑事として、変わっていない合田さん」を見ることが、こんなに嬉しいことだなんて! こんなに幸せなことだなんて!

とはいえ、警部補から警部に昇進、係長になった合田さんの「ごもっともです」三連発には、中間管理職の悲哀と苦悩も漂っているような・・・。
吉岡くんの発言に面食らっている合田さんは、可愛らしいというべきか、気の毒というべきか・・・。

雲水たちのおっかけをしている少女たちが、合田さんの背中に視線集中の場面は、羨ましさ半分、怒り半分(笑) 少女たちに、合田さんの良さも悪さも分かってたまるか~!(←こらこら)
ああ、叶うことなら私も合田さんの背中を穴があくくらい、見つめたいわ~! 真正面からは見つめられません。合田さんに見つめられた途端、悪いことしてないのに「許して」と言ってしまいそう(笑) あるいは、殴ってしまいそう(笑)


***

以上、連載第十回を一度読んだだけの雑感とボヤキです(笑)
高村さん、ありがとうございました。続きを楽しみにしております。


「太陽を曳く馬」 連載第九回 (「新潮」2007年6月号)

2007-05-08 00:06:10 | 『太陽を曳く馬』 連載 雑感
昼休みに買いに行きました。気になって気になって、午後からの仕事が手につかなくなるので、出来るだけ避けていたんですが、GW直後ということもあり、活字に飢えているんです。

ザッとパラパラとページを繰り、今回はいつにもまして文字がビッシリ、行数も多いように感じられました。
そして最後のページに・・・うふふふ、るんるん♪(←気持ち悪い)
ちゃんと読んでないのが悪かったのか、午後からの仕事、集中力がなくなって・・・(苦笑)
帰宅時の電車内で、30分以上かけてじっくり読みました。

それでは、第九回の雑感など・・・というより、だらだら、ぐだぐだ、どうでもいいこと、綴ってます(苦笑)
当然、まだ読まれてない方も、入手できていない方もいらっしゃるわけですから、物語の核心については、おおっぴらにネタバレはしませんが・・・警告:隠し字にしておりますが、以下は自己責任でお読み下さいませ。(『晴子情歌』 『新リア王』の内容も、「既読」を前提とした上で、多少触れている場合があります)
また、コメント欄に入力する場合、ネタバレはOKとします。もちろん
「太陽を曳く馬」限定で。未読の方はご注意下さいませ。


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今回分の構成について・・・今回から、「梗概」が添えられていますね。
論告求刑、最終弁論、そして判決公判。数年後から始まる陪審員制度(と言った方が分かりやすいでしょ?)に、もしも選出されたとしたら・・・と思うと、うんざりすると同時に、やりきれない思いも抱いてしまう。

福澤彰之さん・・・この人の手紙を読んだ合田さんへ、忠告。彰之を、世間一般にいるありふれた父親だとは、思わない方がいい。彰之も、秋道があんな事件を起こして初めて、一個人として向き合おうとしているのだから。

彰之の手紙を読んでいて、高村さんが「素粒子」と表現していたことを、思い出した。こちらの記事に紹介している書籍です。

今回分の最後の手紙に、ゾッとした。突き放したかのような、あるいはそれでも一個人として、一個人である秋道と対峙しよう、受けいれようと葛藤している「父」としての一面も、垣間見えた気がしたが・・・。


合田雄一郎さん・・・今回も、脇役兼傍観者及び観察者。
秋道宛ての彰之が書いた手紙を読みたい、ということですが、やっぱり高村作品には「手紙」は欠かせないのですね。
・・・彰之と文通(!)するようになったら、どうしましょう? それはないか。この二人は、きっちりと一対一で対話してほしいと、願っている。「キリスト教信者・合田雄一郎」と「仏家・福澤彰之」としての、対話を。

加納さんは、裁判官に向いてないと思うんですけど?(笑) だってあなたに背中押されて、ニューヨークに行く決意したんだもん。いざという決断力、ないんじゃありません?


加納祐介さん・・・この方に対するあれこれが、もうどうにも止まらない!(←○本リ○ダか)
この人のハガキを最低10回は読んだのは、私だけではないはずだ。

加納さんまで「とまれ」を使用している・・・!

ハガキの文面、「ああ、文庫版『照柿』の加納さんだな~」と思った。この人、本当にキャラクターが変わってしまった・・・。この変化に、慣れない自分がいる。悲しい。悔しい。
文庫版『マークスの山』では、加納さんのキャラクターがあんまり変わった気はしなかったんですが、文庫版『マークスの山』と文庫版『照柿』の合間に『新リア王』が入ったために、変わってしまったんでしょうか? 文庫版『LJ』では、本当にどうなっているんだろう。そっちを読みたいですよ(苦笑)

愚痴はここまでにして。
加納さん、パスポート持ってるの?(素朴な疑問) 持ってなさそうな気がするんだけど。大阪で取得するなら、大阪府庁か近鉄の阿倍野店へ行ってね。本籍は茨城県? 戸籍謄本か抄本、取り寄せしないとね(←余計なおせっかい)
水戸に戻って取得する気なら、東京に寄って、半日でもいいから、合田さんと顔を合わせてほしいもんです。年明けといわずに。

「貴代子に似た顔の男と、雄一郎は顔を合わせたくないのではないか」と、気を遣ってるの? もしもそうなら、離婚した当時に逆戻りですよ。似ているといっても、離婚当時の20代と現在の40代では、双子とはいえ男女の顔にもかなりの違いがあるでしょうに。
それとも、加納さんが合田さんに会うことを、怖れているの?

自身に関わる重大なことは、いつまでたっても一人で決断出来ない、困ったちゃんな加納さん。今回も、合田さんに背中をちょっと押してもらって決意した。逆に自信がある部分では、ぐいぐい押すのにねえ・・・。こんなんで、判決を下せるんだろうか?

加納さんのニューヨーク訪問、ぜひとも合田さんに直接対面して、語っていただきたいものですね。
二人でニューヨークには、行かないだろうと思う。(そう思うのは、私だけ?)
だけど合田さんもニューヨークを、見たいと思っているはず。それでも、二人では行かないだろう。
だって、貴代子さんの二度目の夫(つまり、加納さんの「現在の義弟」)にも、会うことになるでしょ? それが怖いじゃない? 一緒に行って、そんな辛い対面をさせたくないじゃない?

もしも合田さんがニューヨークへ行くのなら、一人で行くんじゃなかろうか。


***

以上、連載第九回を一度読んだだけの雑感です。(ある部分は、その十倍は読んでます・笑)
雑感どころか、想像と妄想と憶測だらけ・・・(苦笑)

高村さん、ありがとうございました。続きを楽しみにしております。
そろそろ、合田さんと彰之を直接、対峙させて下さい~!


「太陽を曳く馬」 連載第八回 (「新潮」2007年5月号)

2007-04-07 23:41:01 | 『太陽を曳く馬』 連載 雑感
本日はたまたま出勤日。判を押すかのように、帰りに書店へ寄って買い、電車内で読む・・・という、いつものパターン。

・・・ひょっとして当ブログを読まれてから、「今月号は目を通しておこう」とか「今回はパス」とか、判断されてらっしゃる方、いらっしゃいます?
あるキャラクター(←はっきり名前を記さないのが、私の性格の悪さだな~)を示す単語あるいは固有名詞の有無で、「太陽を曳く馬」の雑感を記事にしてらっしゃる方の増減が、激しいように思えます(苦笑)


それでは、第八回の雑感など・・・。
当然、まだ読まれてない方も、入手できていない方もいらっしゃるわけですから、物語の核心については、おおっぴらにネタバレはしませんが・・・警告:隠し字にしておりますが、以下は自己責任でお読み下さいませ。(『晴子情歌』 『新リア王』の内容も、「既読」を前提とした上で、多少触れている場合があります)
また、コメント欄に入力する場合、ネタバレはOKとします。もちろん
「太陽を曳く馬」限定で。未読の方はご注意下さいませ。


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今回分の構成について・・・もう何というか、今回はどうしてもひと言吐き出さねば気がすまない!
今回はキャラクター云々より、「構成」に圧倒される。「これよ、これこれっ! これが高村薫なのよ!」と読んでいる最中からひしひし感じて、仕方なかった。

彰之の旧字体・旧仮名の手紙の後に、合田さん。裁判の後に、合田さん。手紙、裁判の繰り返しで、とどめが秋道の発言。
文字がぎっしり詰まったページと、息詰まる展開の中、フラッシュパックのように合間合間に割り込んでいくかのような、合田さん。
その文字がぎっしり詰まった要因の一つ、手紙で秋道を追跡し理解しようと考察を重ねていく、彰之。
どちらも共通するのは、福澤秋道のこと。合田さんは裁判を傍聴して、彰之は間接的な材料を集めて判断し、手紙で「福澤秋道とは何ものなのか」を知ろうとしていく。
ここを書籍になった時点で読んだとしたら、私はもっと高揚しているだろうと思われる。それくらい、密度が高い。


キャラクターについても、適当に。もう、思いつくまま入力してますので、ここのキャラクターに関係ないことも入力しているな~、と最近になって気づきました(←遅いわ!)

福澤彰之さん・・・アッキーの手紙で、読み手は更に減ったかもしれない・・・。今回分の1/3を占めていますからね。まあ、大方の読み手の皆さんは、あの二人にしか興味ございませんでしょ?(苦笑)

「円(彰之の手紙では「圓」の旧字体)」という形は完璧でいて、不安定。そんな相反する要素が含まれている。

しかし「地どり場所」がどんどん増えていくなあ・・・。前回の美術館に、今回の美術館。現代美術にはあまり興味の持てない私ですが、見なきゃならんでしょ。


荒井久美子・・・「法廷」も、この人にとっては「舞台」なのだな。一流ではない、出来損ないの悲劇のヒロインといった感じか。

久米弁護士、永冨検事・・・「福澤秋道」という存在を巡ってのやり取りとかけ引き。この人たちがいるから、合田さんもアッキーも読み手も、秋道が何ものなのかが、思考できるのだ。

福澤秋道・・・個々の台詞を取り上げることは極力避けていましたが、今回は避けて通れない。念を押しますが、未読の方、ご注意。
弁護士や検事とのやり取り、あるいは彰之の手紙で、ちょっとずつこいつのことが分かってきたような気がする・・・あくまで「気がする」ですが。

こいつの発言、こいつにとっては、どこにもおかしなことも、おかしな部分も、おかしいと考える感覚すらも、ないんだよね。何度も同じようなことを訊かれ、その度に応じたり返答したりしてるのに、相手には分からない。分かってもらえない。もういい加減に嫌気がさして、こいつなりに怒り心頭に発したんだと思う。だから、こんな発言が出てきたのか。

      「みんな消えろ。もう何も考えたくない」

この発言の怖さが分かる方は、どれくらいいただろう? まさに、とどめの一撃。・・・そういやマルグリット・ユルスナールにこんなタイトルの作品があったな。


合田雄一郎さん・・・脇役兼傍観者及び観察者。隠し字にする必要もないのですが・・・。
合田さんが「ニューヨークの空」を想う度に、胸が痛む。その痛みは貴代子さんへ向かい、加納さんへとつながっていく気がするからだろうか?

加納祐介さん・・・今回は登場しておりません。 ・・・ちょっとイジワルしたくなっちゃった(苦笑) ごめんあそばせ。

おわびに、これを。
週刊朝日2007年4月13日増大号で、幹部刑務官が激白(1)「私が押した死刑執行ボタン」という記事を、たまたま立ち読みしました。
「太陽を曳く馬」連載第一回の加納さんの手紙のアレを、いやでも思い出さずにいられませんでした。

・・・おわびになってるのか、これ?

***

以上、連載第八回を一度読んだだけの雑感です。
高村さん、ありがとうございました。
休載さえなければ、私には御の字です。四の五の贅沢言いません。
来月はゴールデンウィーク明けですか。1か月は短いようで長いし、長いようで短いですわ~。


「太陽を曳く馬」 連載第七回 (「新潮」2007年4月号)

2007-03-08 00:58:22 | 『太陽を曳く馬』 連載 雑感
会社の用事で某所へ行った帰り道、電柱に縛り付けられていた広告を見て、のけぞりました。

    「コ○プレしゃ×しゃ×」

・・・否が応でも元検事で現判事のあの方を思い出さずにいられないと共に、情けないやら、呆れるやら、腹立たしいやら、もうぐちゃぐちゃに感情が乱れてしまいました。
ノー○ンしゃ×しゃ×の次は、これですか。考え付いた人は、「服を着ているから健全」などと言い訳するんでしょうか。
また、某公務員やら某銀行員やらが接待に利用するんでしょうか。それならそれで、過去に学ばない「喉元過ぎれば熱さ忘れる方式」の、アホの極みですがね。

何よりも、あの方の現在の職場の半径1キロ圏内で、そんな違法広告吊るすんじゃなーい!(←これに一番怒ってたりして・苦笑) あの方が目にしたら、イヤな思い出がよみがえってしまうじゃないの!
判事には摘発という権限はない(はずだ)から、摘発して撤去するのは警察しかないわけだ。合田さん、お頼みしますわ。あの方を楽にしてあげて・・・。

・・・と、前置きが長くなりましたが、このとんでもない広告は本当にありました。次に行った時には、撤去されてるといいんですけど。

それでは、連載第七回の雑感などを述べていきます。
当然、まだ読まれてない方も、入手できていない方もいらっしゃるわけですから、物語の核心については、おおっぴらにネタバレはしませんが・・・警告:隠し字にしておりますが、以下は自己責任でお読み下さいませ。(『晴子情歌』 『新リア王』の内容も、「既読」を前提とした上で、多少触れている場合があります)
また、コメント欄に入力する場合、ネタバレはOKとします。もちろん
「太陽を曳く馬」限定で。未読の方はご注意下さいませ。


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今回は順番、変えました。

福澤彰之さん・・・冒頭の手紙を見て「きたーっ!」と思った私はヘンですか?(苦笑) 旧仮名・旧字体で綴られた手紙。懐かしの晴子さんを思い出しました。

これも私だけかもしれませんが、旧仮名・旧字体の手紙、彰之が出したものだと分かっていても、晴子さんが綴った手紙だと感じてしまうんですよね。

この手紙を見た途端、読み手が減ってないかどうか、微妙に気になる私。毎回のように、読み手を減らす、あるいは取捨選択しているかのごとく、高村さんの仕掛けた踏み絵のような部分が出てきますなあ。前回の秋道を巡っての弁護士・検事・判事の三つ巴・・・といえるかどうかは分かりませんが、発言の揚げ足取るようなやりとりも、踏み絵のようだった。

彰之の、人を煙に巻く物の言い方は相変わらずで。

秋道に最も近くて、最も遠い存在の彰之。言葉で「福澤秋道」を語る困難さ。語っても、理解されにくい事実。難題だ。

二通目の手紙で「スルメイカ」のことが書かれていたのですが、「『晴子情歌』にあったなー」と、これも懐かしく思いました。
福澤公子さんも、『晴子情歌』から登場していましたね。


福澤秋道・・・彰之が手紙に書いてましたが、旧仮名・旧字体が絵のようだと感じたあんたを、私は初めて「すげぇ」と思ったよ。瞠目するようになったよ。

合田雄一郎さん・・・彰之の手紙で始まり、合田さんの手紙で終わる今回分。その合田さんの手紙だけを、最低3回は読んだ義兄弟ファンは、私だけではないはずだ!(断言)

彰之の手紙に触発されたのか、あるいは影響を受けたのか、合田さんと彰之の「死に対する感じ方、表現の仕方」というのは、似ているというより、まるっきり同じ。

ところで。今回の最大の「爆弾」についてですが。
いつのまに加納さんと一緒に美術館へ行ってたんだー!? 1994年って、『照柿』の後、『LJ』の前か? 達夫さんと美保子さんの一件で公私ともにグチャグチャになっていた合田さんの気晴らしのために、きっと加納さんが誘ったに違いない! こんちきしょう!(←意味不明な八つ当たり)


加納祐介さん・・・2007年の連載分で、今年最初のご登場~♪ 「元義兄」という単語であっても、義兄弟好きな方々には固有名詞に等しい単語ですものね。

それより、ニューヨークへ行ってしまうの? 『LJ』で「ゴルフへ行け」と合田さんに半分脅された場面を思い起こしますが、加納さんは意外と合田さんの提案に弱い(苦笑) 合田さんは合田さんで、加納さんの言うことをきいているようで、きいちゃいないところもあると思うので・・・。

加納さんがニューヨークへ行くとしたら、当然高村さんも行かれているわけですね。「自分の手で触れ、目で確かめることの出来るもの以外は、受け入れることが出来ない性分」(『神の火』の島田浩二さん)でいらっしゃいますから。

高村さんがご覧になって、加納さんに語らせるニューヨークって、どんなふうになるんだろうか。そういう場面がこれから出てくるのか、否か。
高村作品に関しては、私の予想や想像はことごとく裏切られるので、あまり期待はしないでおきます(苦笑)
(また、裏切られないと、高村作品を読みはしないともいえますが)


***

以上、連載第七回を一度読んだだけの雑感です。

高村さん、ありがとうございました。
さて、次回はどうなるのか。読み手が展開読めない、想像つかない物語を高村さんは紡いでおられるので、発売日が楽しみなような、怖いような、そんな心地なのです。

そういや、前回分が中途半端になってたなあ。何とかせねば。

検索避けされている方もいらっしゃるんでしょうが、「太陽を曳く馬」の連載が進むにつれて、感想等を記事にされている方がだんだん減っておられるように感じますが、気のせい?
存在を示す、2文字(加納)か3文字(元義兄)か4文字(加納祐介)が1か所あればどっと増えると思うので、今回分は密かに期待しております。


「太陽を曳く馬」 連載第六回 (「新潮」2007年3月号)

2007-02-08 00:33:27 | 『太陽を曳く馬』 連載 雑感
2月2日(金)、合田雄一郎さんのことを笑えないことをやってしまいました。
そう、出勤時の地下鉄で傘を忘れてしまったんです!
外に出て「あ、雪降ってる・・・」と思った瞬間、忘れたことに気付きました(←鈍いわ!)

帰りに忘れ物センターに寄ったら、その日の分は翌日にならないと届かないのだそう。
翌日の土曜日も出勤だったので、帰りに寄りました。事細かに傘の特徴を説明して、待つこと2分。ありました! 良かったよーん♪
保管期間は4日間。その後は多分「忘れ物市」に出されるんだろうなあ。

見つからなかったら、合田さんに倣って、福澤諭吉が飛ぶような傘を買おうかと真剣に思い詰めていたもんね! いい傘を買えば、きっと大切にすると思うから。


『神の火』 (新潮文庫)の再読も、やっております。島田先生が「某国」の男たちにボコボコにされているところまで進みました。それにしても島田先生は、どうしてこんなに何度も痛い目に遭わされるのか(苦笑)

あとは更新すればいいだけなんですが、更新出来ない状態でして。
5日(月)は22時30分まで残業してました。今までの最長記録。
6日(火)は1時間早く出社して、20時過ぎまで残業。(この日は高村薫さんのお誕生日でございました)
7日(水)は定時に出て、本屋さんへ寄って「新潮」を購入したのですが、関西在住の皆さんご存知の通り、JR大阪環状線の桜ノ宮駅高架下の火災で運行ストップ。夕方のラッシュ時の大混乱&大混雑に、私ももろに影響受けまして、迂回して帰宅が遅くなりました。ああ、しんど。


その電車内で、今回分を読みました。「法廷もの」と呼ばれる小説は、滅多に読んだことがないので、弁護士、検事、裁判官と被告や証人のやりとりは、こんがらがってきますね。

それでは、連載第六回の雑感などを述べていきます。
当然、まだ読まれてない方も、入手できていない方もいらっしゃるわけですから、物語の核心については、おおっぴらにネタバレはしませんが・・・(というより、今回はネタバレ云々という問題ではない。進展がありそうでなさそうな状態だったから) 警告:隠し字にしておりますが、以下は自己責任でお読み下さいませ。(『晴子情歌』 『新リア王』の内容も、「既読」を前提とした上で、多少触れている場合があります)
また、コメント欄に入力する場合、ネタバレはOKとします。もちろん
「太陽を曳く馬」限定で。未読の方はご注意下さいませ。


***

合田雄一郎さん・・・今回は傍観者、あるいは観察者。
雑感、表現しにくいですよ。だから上記の話でごまかしたんですが(笑)
事件にかかわった「刑事」の一人としての執着や興味の有無が、気になります。『LJ』で半田修平さんに対して見せたような情動が、今回は感じられない。どうしていいのか、合田さんも高村さんも未だに迷っているのか、あるいは本当にわからないのか。



福澤秋道・・・こいつの起こした「行動」に、言葉で表現する・理由づけをする・原因を突き止めようとすることの、何と困難なことか。
今までの高村作品キャラクターでは、一番の「怪物」かもしれない。なんてものを生み出しのだ、高村さんは。


***

ああ、疲労からくる眠気に勝てません! 限界です。一旦ここで切って、後日完成させます。ごめんなさい!


「太陽を曳く馬」 連載第五回 (「新潮」2007年2月号)

2007-01-09 00:21:30 | 『太陽を曳く馬』 連載 雑感
新聞広告は載っておりましたが、祝日ということもあってか、「新潮」のサイトメールマガジンも更新されておりませんね。まあ、いいや。

それではいつものように、連載第五回の雑感などを述べていきます。
当然、まだ読まれてない方も、入手できていない方もいらっしゃるわけですから、物語の核心については、おおっぴらにネタバレはしませんが・・・
警告:隠し字にしておりますが、以下は自己責任でお読み下さいませ。(『晴子情歌』 『新リア王』の内容も、「既読」を前提とした上で、多少触れている場合があります)
また、コメント欄に入力する場合、ネタバレはOKとします。もちろん
「太陽を曳く馬」限定で。未読の方はご注意下さいませ。


***

合田雄一郎さん・・・と挙げつつも、合田さんに関係ない内容も綴っていたりする。
裁判所合同庁舎を仰ぎ見た合田さんの姿の描写で、なぜ高村さんが加納さんを「判事」へ転職させたのか、その意図がいきなり解ったような気がした。脳裏にパッ! と閃光が走ったような感覚。私がそう感じた理由、ここで述べてもいいんだろうか・・・? 止めておこうか。やはり止めておこう。違っていたらイヤだからなあ(←小心者!)

合田さんが傘を買った「丸善」は、丸の内本店ですかね?(何となくそう思った) 丸善は昔から高級輸入品を扱っていますから、物によってはそれくらいの値段はしますよ。高いものを買って、失くさないように、という意識の表れでしょうか。そういう感覚は、恐らく吉岡くんには解らないんだろうな。
ただ、「正規の値段」で買った傘なのか、「バーゲンで格安になった値段」の傘なのかの疑問は残る。そんなこと考えるのは、私だけ?(笑)
「男のお洒落はかくあるべし」と教え、叩き込んだ加納さんが、丸善を案内した可能性もなきにしもあらず。『レディ・ジョーカー』の「ネクタイで解った」の台詞も、想像の栓をゆるめれば、加納さんが丸善で買ったネクタイあるいは一緒に買いに行ったネクタイかもしれない・・・。ああ、想像(妄想)が止まらない~!(笑)
余談ながら私は、初回を除いて「新潮」は丸善の書店で買っています。今号は1冊しか置いてなくて焦りました~。

検察側の冒頭陳述。「高橋郁夫」の後に「川島郁夫」の名前が出てきたので、ひょっとしたら書籍化された際には、後者の名前が変わっている可能性もあり。前者は『新リア王』で名前だけ登場しているから。

合田さんが会った記者は、『LJ』の東邦新聞社の久保晴久ではないのか? と思ったが、「社会部のデスク席に坐ろうかという優秀な記者」とあったので、「違うな」とすぐさま否定した。ごめん、久保っち(笑)

合田さんが相対した母子。ふた昔前なら、成人していない自分の子供のしでかしたことを「ちゃんと教育しなかった自分たちが悪い」と言う親がいたはずだけど、現代の親は、都合の悪いことが起こると責任逃れをし、他人に責任を押し付けるだけ。

合田さんがパソコンで覗いていたのは、某大手掲示板だろうな。(個人的にはここは生理的に受け付けないから、近寄りもしない) 「会田」とあったのは「合田」の間違いか、と一瞬だけ思った(苦笑)


福澤秋道・・・憎悪や怨恨が原因で起こした殺人ではないわけだから、余計に性質が悪いのだろう・・・無理矢理にでも「動機」を作って、明確な「言葉」にしなきゃならない司法にとっては。生い立ちや経歴から、事件の動機を導き出そうとするしかその理由付け・説明にならないというのが、司法の限界なのかもしれませんが・・・。司法には中途半端な曖昧さは、許されないから。(何かえらそうなことを書いてしまった気がする・汗)

秋道には、善悪の判断がつかないというよりは、そういうもの自体が欠落している。世間一般に今回の事件の何たるかを知らしめるためには、「メディア次第」と発言した記者さんは、ある部分で正しいのだろうが、後味は悪い。

個人的なことですが、情状酌量の余地がないような理解不能・不可解な事件が起こるたびに、決まり文句のように出てくる「犯人の心の闇の解明」「心のケア」という言葉がありますが、私はいつもこれに違和感を覚える方です。


荒井久美子・・・他人(今回の場合は警察と検察)が施した「人体実験(と彼女が信じ込んでいる)とその結果=秋道の裁判」に怒り狂った理由はただ一つ。「他人」がやったから。それ以外に何があるというのか? 彼女が警察・検察と同じように刷り込み(という言葉はふさわしくないかもしれませんが)をしたのならば、怒りはしなかっただろう。その結果が彼女の望むとおりでなかったとしても、「自分が仕掛けた結果だから」と納得していたはず。ああ、何という得手勝手な。

本当に、高村作品に出てくる女性って、イヤなタイプの女性が多いですねー(苦笑)


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今回は非常に雑感を述べにくい。これからの展開だと、しばらくそうなると予想される。
義兄弟目当てで読んでらっしゃる方は、かなり辛いんじゃなかろうか・・・と他人事ながら心配(苦笑)

高村さん、ありがとうございました。続きを楽しみにしております。


「太陽を曳く馬」 連載第四回 (「新潮」2007年1月号)

2006-12-10 17:15:32 | 『太陽を曳く馬』 連載 雑感
朝日新聞2006年12月7日「天声人語」は、文芸誌がテーマでした。
冒頭の一文、大阪版ではその広告は翌日8日になっておりました。皆さんのお住まいのところでは、いかがでしたか?
最後の一節、増刷は、確かに吉村昭さんの遺作も要因の一つだと認めざるを得ないんですが、高村さんの新連載も主因ですよ~、と言いたい。定期購読の契約が増えたのは、明らかに連載が始まったからですもん。

先月、作家・高村薫が装幀家、編集者と語る「本がうまれるまで」へ参加し、
『太陽を曳く馬』の主人公は「21世紀の日本」です。「21世紀の日本」をどう表現できるのか。表現できる「言葉」があるのか。それを見つけ探るために、書いています」
と高村さんのお言葉を聞いた後の、連載第四回目を読了。

今までヘンに力んでいたものが、スーッとおちたような感覚で読めました。誰が主人公だろうと、高村作品であることだけは間違いないんだから。繰り出される物語に、身を委ねればいいんだから・・・と悟りました。(←安直な)

そう、物語はそれでいいんだけれど、ある特定キャラクターに関しては、そうはいかないよね・・・。

ということで、いつものように連載第四回の雑感などを、つらつら述べていきます。
当然、まだ読まれてない方も、入手できていない方もいらっしゃるわけですから、物語の核心については、おおっぴらにネタバレはしませんが・・・
警告:隠し字にしておりますが、以下は自己責任でお読み下さいませ。(『晴子情歌』 『新リア王』の内容も、「既読」を前提とした上で、多少触れている場合があります)
また、コメント欄に入力する場合、ネタバレはOKとします。もちろん
「太陽を曳く馬」限定で。未読の方はご注意下さいませ。


***

合田雄一郎さん・・・日常の合田さんの記憶力の低下については、今さら何も言いません(苦笑)

合田さんが読書中の『正法眼蔵』は岩波文庫版と見た! 違う?

連載第一回目から「おや?」と思っていたのだが、「合田雄一郎」という人物像を描く時の「表現」が、高村さんが辿り着いた、あるいは模索中の「新しい表現方法」なのかなあ・・・。
皆さん、お気づきでしょ? 「おまえは・・・した」 「おまえは・・・だった」・・・等々の表現。
間違いなく合田さんの視点なのですが、あえて「雄一郎は・・・」とせず「おまえは・・・」で通す。この表現で書かれている部分は、回想シーンだという暗黙の了解も含まれているのですが、そんな単純でもない気もする。
合田さんの回想の視点を「おまえは・・・」という表現で、更に「客観視」させているような気もするのですよ。読み手にも「客観視」出来るように、ちょっと突き放して距離を置いたような、「おまえは・・・」の表現。あなどれない。これからもバンバン出てくるはず。
あくまでこれは私見なので、皆さんがどのようにお考えになったかは、関知しない(苦笑)

加納さんからの手紙。「俺もニューヨークへ行く」とは言わないのか。あるいは誘われたら、どうするんだろうか。
そもそもこの二人がこの連載中に、回想シーンを除いて、直に会って会話をするという場面が、出てくるんだろうか?

合田さんはいつもいつも、何かに引き裂かれているなあ。事件に関わっている当事者の一角である刑事としての「ものの見方」と、社会で生活をしている一員としての「ものの見方」。そして、それ以外の「ものの見方」があるのか、ないのか。合田さんに仮託して、高村さんも「ものの見方」を突き詰めていくのか。

「桜坂」って、ホントにあるんだ~(←地方に住むものの弱みと己の無知)
雲水たちを追っかける女性、「上○ギャル」を思い出してしまったよ・・・。(マスコミに踊らされた状況もあったとは思うのだが、かつての「上○ギャル」って、今頃何をしてるんだろうか。そういう恥ずかしい(と、私なら思うが)過去はさっさと捨てて消去し、新しいアイドルでも見つけたか? 「ヨ×さま」とか、「ハ×カチ○子」とか。)


福澤彰之さん・・・登場はしていませんが、存在感はあります。『新リア王』を読了したばかりなので、秋道との関係も、多少は再確認出来ました。
若い雲水さんの語ることを聞いていると、50代後半になっても相も変わらずの「人をひきつけずにはいられない磁力」があるのか。すごいなあ・・・。

初江と榮パパ亡き後の彰之と秋道の関係は、今までにちらほら出てましたが、未だに謎が多いので、これからの展開を待つ次第。


福澤秋道・・・こいつの鑑定書を読んで、混乱しない人の方が不思議だ(苦笑) まるで禅問答、あるいは連想ゲーム。
例えばクイズ番組で長い問題文を読んだり聞いたりして、分かる語句だけから連想して解答を引き出すという、読解力のない人たちが陥っている状況のようなものだ。秋道は、問いかけの中から理解できる語句・閃いた語句から連想して、答えているように思える。

ウサギの耳の話は、『新リア王』にも出ています。母親がアレでは、また最初の義父がアレでは、グレない方がよっぽどヘンかもしれないが・・・。

合田さんと対峙した秋道の担当検事さんが、もしも加納さんだったなら・・・とちょっと想像してみるのも、楽しいかもしれない(笑) 「元義兄弟」の間柄というのは知れ渡ってるから、「縁戚」と見なされ「癒着」とも判断されかねないし、現実にはありえませんが。


加納祐介さん・・・この方については、よっぽどのことがない限り、大トリにしていく予定。
合田さんにとっても久しぶりの手紙ですが、私たち読み手にとっても久々に味わう加納さんの手紙。この人の手紙って、こんなくだけた書き方だったっけ? 「一寸うわのそらの、退屈した大人のようだったぜ」・・・でのたうちまわりそうになったのを、辛うじて堪えた(電車内だったもん) ちなみに大阪でこんな物言いする男性がいたら、まず間違いなく周囲からひかれます。「キザ~」とか「サムイわ」とかツッコまれます。

加納さんから合田さんへの手紙は「君」で、合田さんから加納さんへの手紙は「貴兄」なのは、変わらないのか。ここで二人の関係は、あまり変化がないという推測も、成り立つかな?

ニューヨークへ合田さんを誘う気はないのか、加納さん? そんな臆病(・・・)なところは、『LJ』で吹っ切れたんじゃなかったのか? それともやっぱり、ダメだったのか。

「兄」としての「妹」への思いの深さは分からないでもないが、貴代子さんは男と出奔したことで初めて、兄の加納さんの懐から飛び出せ、自由になれたと思う。合田さんと結婚していた時は、どちらに転んでも「兄」加納祐介がいて、「夫の親友」加納祐介がいたからね。

「未だ独身の元義兄」・・・で、安堵のため息。念押ししてくれたような気がして、嬉しかった(笑)

「判事」という職業も一種の「聖職者」ではありますが、「聖人」でなくなった加納さんが行き着いたところがまたもや「聖職者」というのは、なんなんだ、これは。公私の「私」の部分で、人格的に「聖人」(と、合田さんも読み手も見なしていた)だったはずで、実は違っていた加納さんが、「公」の部分で「検事」から「判事」へ転身したというのは。「判事」の方が「聖職者」度合いが、より強いんですけどね。これではますます「聖人」に戻りつつあるような・・・。「聖人=黒いカソック」が、「聖職者=判事の黒い服(正式名称なんか、知らん)」に取って代わったのか?

こういう時、文庫版『LJ』を先に読みたかったな~、と思う。辻褄が合わないんだもん。そして読み手はいつまでも、悶々と想像するだけしかない。ま、その想像が楽しくも苦しくもあるわけなのですが。


***

合田さんのことを言えないくらい、他にも忘れていることが多々あるでしょうが、今回はこんなもんでしょうか。

高村さん、ありがとうございました。続きを楽しみにしております。



「太陽を曳く馬」 連載第三回 (「新潮」2006年12月号)

2006-11-08 00:21:52 | 『太陽を曳く馬』 連載 雑感
そろそろテンプレートを元に戻そうかとも思っているんですが・・・。未だに食堂兼居間からの接続なので、家族の目を窺いながら、こそこそネット接続やってます(苦笑)

自分の部屋が蔵書に埋もれて、ちっとも片付けられない状態。開けた段ボール箱から適当に書籍を本棚に突っ込んだので、もう一度最初から本棚に並べ直したいくらい。蔵書がどれだけあるのか把握も出来ていないので、更なる悪循環。
木枯らし一号が吹いた今日、これも整理出来てない冬服を引っ張り出したため、余計に散らかっている自室。ああ・・・(ため息)

***

本日は昼休みに、某百貨店に入っている書店へ買いに行きました。文芸誌の棚の前で立ち読みしているおじさま方を向こうに回して、「新潮」2006年12月号をゲット。
しかし入手出来たら出来たで、「読みたい」という誘惑にかられる(苦笑) 仕事がひっきりなしにあったため、そんなに気をとられることもなかったのが幸いか。

夕方ラッシュで混雑している電車内にもかかわらず、場所を確保して(笑)、集中して読む。瀬戸内寂聴さんの小説、「秘花」も、後でゆっくり読みたいな。

ということで、例の如く連載第三回の雑感などを、つらつら述べていきます。
当然、まだ読まれてない方も、入手できていない方もいらっしゃるわけですから、物語の核心については、おおっぴらにネタバレはしませんが・・・
警告:隠し字にしておりますが、以下は自己責任でお読み下さいませ。(『晴子情歌』 『新リア王』の内容も、「既読」と前提とした上で、多少触れている場合があります)
また、コメント欄に入力する場合、ネタバレはOKとします。もちろん
「太陽を曳く馬」限定で。未読の方はご注意下さいませ。


***

合田雄一郎さん・・・それがあなたの「仕事」とはいえ、あれだけの人間に会って、あれだけの言葉を聞いて、意味づけして、理解しようとしている・・・あるいは、何としてでも発言者たちの「無意味」かもしれない「言葉」の「意味」を「理解」せねばならないという、悲愴な義務感を背負っているだろうあなたを想うと、第二回目の加納さんに匹敵するぐらい、気の毒で気の毒で気の毒で(これも延々と続く)

この第三回目でけつまづく読み手も、結構いるのではなかろうか。その遠因は、合田さんが対峙した人間たちの発言にあることでしょう。きらびやかな言葉、乾いた言葉、投げやりな言葉、解る人間だけ通じればいい言葉・・・等々、これだけの「言葉」、そして「意味」、「無意味という意味」があるのかと、圧倒された私。『晴子情歌』の最重要キーワード、「言葉は爆発する」を今回も目の当たりにした気分です。


福澤彰之さん・・・今回の表の主役。合田さんとの会話、何となく噛み合わないところが秋道と似ているので、やっぱり血の繋がった父子なんだな、と感心したりして(笑)

合田さんからしてみれば、手応えのない何ものかを相手にして喋っている気分を味わったんだろうなあ。読みつつ、「お坊さんだけあって、ホンマに煙に巻くのが上手いなあ」と思っていたら、アッキーの退場場面で笑ってしまいそうになった。


福澤秋道・・・今回の裏の主役。合田さんが会った人間のほとんどが、「福澤秋道」のことを発言しているから。

荒井久美子、坂東青次、加藤アラン、牧野芳江、大野恵美、その他(笑)・・・福澤秋道を巡る人々。
うーん、どうコメントしてよいものやら・・・。
この人たちの発言や存在が、合田さんをはじめとする関係者たちを悩ませているのは一目瞭然。

合田さん、逐一調べたり見たり読んだりしたのかなあ。
ジョルジュ・バタイユは読んでそうですね(自主的にではなく、きっと義兄の勧めで) 私も何度か読もうと思って、未だに手が出ず。
その他、知らない人物名、知らない物事がたくさん出ているので、明日からでも調べていかなきゃならないなあと思っています。


***

以上、一回読んだだけの雑感ですので、これでご勘弁下さい。もちろん再読しますけどね。

高村さん、ありがとうございました。
「次はどうなるんだろう」という想像が、全く出来ない状態。余計な邪念が入らないためか、不思議というか意外というか、すんなりと読み進められるんですよね。・・・偏った己の知識のなさと不勉強に、泣かされてもいますが(苦笑)

次回発売日は、奇しくも第四回「親鸞賞」の受賞式、並びに選考委員たちとの公開座談会の行われる日ですね。

有休の届け出、ダメモトで今週中に出しておこうっと。こんな機会、滅多にないもん! 有休が貰えたら、どなたかご一緒いたしませんか~?


「太陽を曳く馬」 連載第二回 (「新潮」2006年11月号)

2006-11-06 00:49:47 | 『太陽を曳く馬』 連載 雑感
周回遅れは何としてでも避けたい一心で、さっきまで横に母親がいようが、目の前に妹がいようが、かまうもんかい!

前回の記事で、「もっとがんばれ、「新潮」さん!」・・・とハッパかけたせいではないでしょうが、「新潮」2006年10月号が、5000部増刷されたそうです。

参考記事  文芸誌3誌の10月号、そろって好調

さすが! 高村薫さんと合田雄一郎さんの人気が高いということが、改めて証明されたということですね!

また、二週間前の記事になりますが、『新リア王』(新潮社)で、第四回「親鸞賞」を受賞されたことは、誠におめでたいことでございます。

参考記事  第4回親鸞賞に高村薫さん 「新リア王」で授賞 (京都新聞)

親鸞賞公式サイト  東本願寺 東山浄苑  親鸞賞

二年に一度、今回で四回目とはいえ、第一回~第三回の受賞者の方々を見る限り、そうそうたる方々。また、選考委員の方々もそうそうたる方々ですので、高村さんを囲んでの座談会が楽しみですね~♪
行きたいけど、行けるかなあ・・・? 師走の忙しい時期、平日に有休を貰えるかどうか・・・。

***

前置きが長くなりましたが。
「新潮」2006年11月号 は、引越し前日に買いました。蔵書はダンボールに詰めた後ですし、就寝前の手頃な読み物もありませんし、ちょうど良かったんですね。

・・・と思うのは、読む前までのこと。読了したらもう・・・「爆弾」にやられました(苦笑) 第二回目の「爆弾」も、凄まじかったですね・・・。

ということで、前回と同様に連載第二回の雑感などを、つらつら述べていきます。
当然、まだ読まれてない方も、入手できていない方もいらっしゃるわけですから、物語の核心については、おおっぴらにネタバレはしませんが、警告:隠し字にしておりますが、以下は自己責任でお読み下さいませ。(『晴子情歌』 『新リア王』の内容についても、多少触れています)
また、コメント欄に入力する場合、ネタバレはOKとします。もちろん
「太陽を曳く馬」限定で。未読の方はご注意下さいませ。


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合田雄一郎さん・・・実は合田さん自身については、あまり語ってなかったりする。
『マークスの山』・・・「固い石」、『照柿』・・・「豚」、『レディ・ジョーカー』・・・「オス一匹」で、ようやっと人間に戻ったと思ったのに、今回は「カエル」ですか・・・。

今回分の冒頭から回想シーン直前までは、ピックアップしたいほど心に引っかかる文章が多い!(やりませんけど)

合田さんはタバコを吸うのをやめたんでしょうか。いや、身体のためには良いことですよ。

今さらながら、合田さんはインテリですね。ダダはともかく、トリスタン・ツァラを知っているというのが、何よりの証拠。(私も調べてみるまで、この人物のことは知らなかったが) 他の刑事さんは、漫画の方に興味惹かれてたもんね。
   参考サイト  詩人トリスタン・ツァラの世界
たびたび登場する『トリスタン・ツァラの仕事II/詩篇』(思潮社)は、どうやら絶版みたい。

しりあがり寿さんの作品は、朝日新聞夕刊の4コマ漫画でしか読んでません。
吉田戦車さんの作品は、未読。現代洋子さんの「おごってジャンケン隊」第2巻(小学館)で、ゲストとして原稿を2ページ寄稿しているものしか、読んでいない。
そういえば「おごってジャンケン隊」で、作家さんが対戦相手の時に二度ほど登場していた「新潮社・矢野さん」というのは、「新潮」の編集長さん・・・ですか? 違います?

中間管理職・合田さんも、七係所属時代の林係長のような地位に就いて、林係長が味わってきた苦労が、やっと分かってきたんだろうなあ。特に今回は、身内だけでなく犯人を相手にするのが最も大変だと思う。

合田さんが話しかけた「吉岡巡査部長」って、「松岡(譲)巡査部長」とちゃうんかい! と密かにツッコミ入れたのは、私だけ? 十姉妹ちゃん、いくらなんでも21世紀には巡査部長には昇進しているだろうと思うのよ(辞めてなかった場合)
その吉岡巡査部長とその年代の人々を表現した合田さん(=高村さん)の視点にショック受けたのは、私だけではあるまい。


福澤彰之さん・・・秋道の調書にあった「父、不詳」って! あんた・・・最後の最後まで杉田初江にやられっぱなしなんだね・・・。『新リア王』で、永平寺の柱に頭をガンガン叩きつけるほど、忘れたいと思った女だったのにね・・・。
私生児とはいえ、仮にも華麗なる「福澤」一族の一人。やっぱり「福澤」のご威光は、利用できるだけ利用しなくてはね!(笑)


福澤秋道・・・いきなりですが、彼の人物造形には、「モデル」がいるんだろうか。合田さんとこいつ(←既に「こいつ」呼ばわり・笑)とのかみ合わない対話が、気持ち悪かった。

福澤貴弘・・・この人、第一回目にも名前だけで登場してたんですが、まさか第二回目にも名前だけ登場するとは、思いもしなかった(笑) 以下の隠し字部分は、『晴子情歌』 『新リア王』の内容を含んでますので、未読の方は特にご注意。
『晴子情歌』には名前だけ出てますが、『新リア王』には重要な役どころで登場しています。更に念のため、『晴子情歌』で彰之に影響を与えた人物の一人・福澤遥の二番目のお兄さんです。
ふーん、代議士になれたんだ。きっと「亡き伯父・福澤榮の遺志を継いで・・・」云々かんぬんと宣伝して、お情けで当選出来たのかもなあ(笑) そうでなきゃ「三期目のぺえぺえ」って、端から言われないだろう。


荒井久美子・・・第一回目に出ていた「自称女優」って、この人のことか? 「眼球」に興味があるなら、『神の火』の日野草介さんと、話が合うかも?(苦笑) しかし日野の大将が興味ある「眼球」は、島田浩二先生だけですけどね。

加納祐介さん・・・今回は大トリで。
1998年に、大手銀行(主に「MOF担」と呼ばれた行員)と大蔵省官僚との癒着が公になった事件がありましたね。ノー○○しゃ×しゃ×も、あっという間に流行って、あっという間に消え去りましたが。余談ながら、私が小学生の時にもノー○○×茶という、とんでもなくおバカなものがありました。

そんなおバカな場所で喜んで舌鼓を打って、経費で飲食していた人たち相手に、おバカなコメントと乾いた愛想笑いを返す義兄・・・あまりにもお気の毒でお気の毒でお気の毒で(延々と続く)

義兄の発言した、「壊れている世界」・・・これが第二回目の最重要キーワードだと私は思っています。第二章のタイトル「ダダ」とその意味に、匹敵するくらい。

わずか十数行ではありますが、加納さんのことが描かれていることは、義兄ファンとしては大変嬉しいことです(その内容は別として)
ほんのちょっとの登場でも(たとえ回想シーンであっても)、加納祐介という存在の大きさは、変わらないのですね・・・と再確認。義兄の言葉一つで、こんなに悶々と悩むことが出来るとは・・・(苦笑)


***

ああ、他にも書きたいことを忘れているような気がするが、とりあえずはこれで。
読み込めば読み込むほど、また連載も回数を重ねれば重ねるほど、雑感も変わってくるんだろうなあと思っています。

高村さん、ありがとうございました。続きが楽しみです。

・・・しかし早くも「新潮」2006年12月号の予告が出ているし、定期購読している方のお手元に届いているとか・・・。
私は定期購読してません。本屋さんの多い都会に住んでますし、「新潮」を数冊入荷している書店を、何軒か見つけましたから。
定期購読して何よりも怖いのが、休載なんですよね・・・。だから踏み切れないんです。


「太陽を曳く馬」 連載第一回 (「新潮」2006年10月号)

2006-09-08 06:10:20 | 『太陽を曳く馬』 連載 雑感
何でこういう時に限って、残業なの~!? 眠気に勝てず、入力途中で眠ってしまって、今頃目を覚まして続きを入力するハメに・・・!

もっとがんばれ、「新潮」さん!(笑) 書店によっては「文藝春秋」や「群像」は山積みなのに・・・。
今号の「新潮」が売り切れ(?)ているのは、高村さんの新連載だけでなく、この夏に亡くなられた吉村昭さんの遺作も掲載されているから?

「新潮」発売前夜の記事のせいではないでしょうが、とにかく書店に置いてませんね・・・。たった一冊だけ、という書店が多いみたい。「この書店なら数冊は置いてあるやろ」と狙いをつけた書店に置いてなくて、ショック! ハシゴしてしまったわ。

だけどそれは残業で、遅くなったせい。実は昼休みに、職場近くの書店に立ち読みしに行ったの(図書カードは持って行ってない。仕事帰りに買おうと決めていたから) ・・・その書店も、一冊だけしか置いてなかったけど・・・。
やっぱり雑誌のオンライン書店 Fujisan.co.jpで購入しようかな?

web上で冒頭部分は昨日読んでいたので、その続きから。実際に読めた時間は15分もなかったので、ザッとナナメ読み。

しかし自分の嗅覚の鋭さは恐ろしいもので、すぐさま「爆弾」を見つけてしまう。連載第一回目から大小の「爆弾」がドカン! ドカン! と爆発していたので、手で口を押さえて叫びそうになるのを必死で耐えていました。

いいの!? 初回からこんなにたくさんの「爆弾」があっても!

『晴子情歌』 『新リア王』 の内容も含んだ展開でしたので、食らった衝撃は想像以上に凄かったですよ。
その衝撃が覚めやらぬまま、午後からの仕事もしばしぼんやりとして・・・。
いかん、これでは先月の文庫版『照柿』 発売直後の二の舞ではないか!

***

帰宅して所用を済ませてから、きちんと最初から読む。初回とはいえ、これからの展開は凡人である私には全く想像がつかない、予想もできない、だからこそ読む楽しみがある・・・という状態。

しかし! 各キャラクターには言いたいことがたくさんあるぞ~!
ということで、連載第一回の現時点での雑感などを、つらつら述べていきます。
当然、まだ読まれてない方も、入手できていない方もいらっしゃるわけですから、物語の核心については、おおっぴらにネタバレはしません。
しませんが、警告:隠し字にしておりますが、以下は自己責任でお読み下さいませ。
但し、太陽を曳く馬 冒頭部分 は読むことが出来ますので、その部分に関しては、隠し字にしておりません。ご了承を。
また、コメント欄に入力する場合、ネタバレはOKとします。もちろん
「太陽を曳く馬」限定で。未読の方はご注意下さいませ。


***

合田雄一郎さん・・・「空がある。」・・・これに対して「東京には空が無い」の一節を思い浮かべた方は、ゴマンといるだろうなあ。
「雄一郎」表記ですか・・・。個人的には「合田」表記の方が好き。
合田さん! あなたの身長で65キロって軽すぎます! 私の体重と○キロしか違わないじゃないの!(ショック) せめてもう5キロ太って下さい!
文庫版『マークスの山』の時も思ったのですが、この人、記憶力は大丈夫なんだろうか? 日々仕事に追われて、一件が片付く間もなく次の一件、と事件は次々に起こるから仕方ないにしても・・・。
月日の流れというか、慣れのせいというか、携帯電話でメールを出来るようになってるんですね。ということは、パソコンも出来るようになっている? 出来なかった『LJ』から、大した進歩です。
合田さん! あなたは「なんちゃってクリスチャン」(?)になってしまったのですか? まあね、『LJ』の「LJ事件」で人生観ガラリと変わってしまっても、仕方ないとも思うんですけどもね・・・。
「手紙の一つも書いていない自分」の表記からすると、「カワイイ、アナタ」の手紙の書き手は合田さんではないのか? あるいはこの物語の数年前もしくは数年後に書かれたものなのか? まあ、「カワイイ、アナタ」は義兄弟でなくても読める話だからね。
ところで《特4》って、なあに?


福澤彰之さん・・・こちらは「福澤」表記ですか。合田さん視点だから、仕方ないのかな。
合田さんから見ての「一寸その辺にはいない、実に端正な男盛りなのだった。」の表記に、クラクラ(笑) 『新リア王』直後のアッキーは、30代後半から40代前半だったかな?
この人の記憶力も、ちょいと心配。どうも「記憶力」に関しては、コインの表裏のような、主人公二人。


福澤秋道・・・念のため「あきみち」ではなく「しゅうどう」です。
いきなり、そうきましたか! うーん、『新リア王』の最後のページは、やはり今回へ繋がる伏線でしたね。
「秋」の名を持つ彼が、秋に死んだのも何かの縁か。
『新リア王』でも、彼の「肉声」はまったく描かれていない。それも今回のための伏線か。


福澤榮さん・・・榮パパー! 『新リア王』のラストでは、既に肉体と魂は分離していて、幽体離脱状態だったのか・・・(←何それ)

加納祐介さん・・・大トリでないのには、れっきとした理由がある。だけど雑感がとんでもなく多いのは、これも当然の理由がある。
『マークスの山』でも「新年早々、何ということ」を手紙で書いて、合田さんをげんなりさせた加納さんですが、合田さんの回想とはいえ、今回はそれを凌駕するほどの「何ということ」な内容ですね・・・。
「唯一の知り合い」って、何ですか、これ! ・・・どうやら『LJ』でのラストの手紙は、文庫版では幻になりそうな予感。この二人の関係は「友情からの進展、発展」ではなく、「友情の修復、回復」になるのか? 極力この二人の「ほのかな同性愛の香り」を出来る限り削ぎ落とす、あるいは排除しようとしているように感じるのは、気のせいでもあるまい。
「検事だった。」の表記に、うろたえ! 過去形なんだもん。もしや過労死とかで死んでしまったの? と思った・・・。検事を辞めたと考えないのが、私のネガティブなところだ(笑)
「地検を辞めて地裁の判事」に、動揺! 検事を辞めて就くとしたら、てっきり弁護士だと思っていたので、これは完全に裏をかかれたというか、盲点だったというか・・・。(これは「高村薫作品二次創作サイト」さんたちの、創作作品群に刷り込まれた部分も、大きいかもしれない)
「判事」という選択は、『LJ』での根来さんの一件が、義兄の心の奥深い部分に突き刺さっているからだろうか?
「大阪の官舎」に仰天! 義兄! 大阪に来てくれてありがとう!(笑) うわーん、前もって分かっていたら、職場を地どりしたのに~!


(旧姓・加納)貴代子さん・・・「高村作品の女性はロクな死に方しない、出来ない」と、またまた言われてしまいそう・・・。この一件で加納さんには、合田さんしかいないということに・・・。

タイトルの「太陽を曳く馬」について・・・この記事での「パエトーン」の神話は忘れて下さい。
うーん、ギリシア神話ではなかったのか。まあ、いいや。「推測」なんだから。
この作品が書籍化された際には、表紙はきっと「太陽を曳く馬」を使用するのではなかろうか、と「予測」しておこう(苦笑)


***

一回目ナナメ読み、二回目じっくり読んだ結果が、以上です。
ここしばらくは、1日1回は読み返しそうな気がする。「餓えてたのか」(義兄) 「餓えてた」(義弟)・・・の状態だったもん!
読み込めば読み込むほど、雑感も変わってくるんだろうなあ、と思います。

連載第一回目にしては、内容がものすごく濃いので、出来ることならば第一回目だけでも購読して下さい・・・とさりげなくお薦めしておきます。

高村さん、ありがとうございました。続きが楽しみです。


月刊文芸誌「新潮」2006年10月号 発売前夜

2006-09-06 20:27:16 | 『太陽を曳く馬』 連載 雑感
ということで、月刊文芸誌「新潮」のページが更新されております。
表紙のデザインをしっかりと目に焼き付けておきましょう。

予想通り、『太陽を曳く馬』 の冒頭部分が読めますよ!
こちらをクリック!

・・・こらこら、そこのあなた、ひるんではいけません! 冒頭部分は読みにくいのは、いつも通りの高村薫作品の特徴。読まなくてもいいですから、とにかく最下部までスクロール。最後にとってもおいしい「グリコのおまけ」がありますからね!(笑)
それを味わったら、もう一度冒頭に戻って、「読む」のではなく「眺めて」みましょう。ほら、落ち着いて見てみれば、途中で見知った名前が出てきますでしょ?

続いて、「新潮」編集長による、高村薫氏の〈現代〉も併せて読んでみましょう。

いかがです? そうしてあなたは、明日、書店に駆け込んで「新潮」を買うことになるでしょう。(←マインドコントロール?)

うわーん、早く続きが読みたいよーん!!
合田さーん!!


月刊文芸誌「新潮」での、新連載開始前の心得(?)

2006-09-03 23:30:14 | 『太陽を曳く馬』 連載 雑感
写真ばかりではページ表示に時間がかかって重いので、ちょっと間をおきましょう。

地どり参加者のmarimoさん、minoringさんとおしゃべり中、念を押すように尋ねられたのが、月刊文芸誌「新潮」 のことでした。
「「新潮45」や「小説新潮」は見たことあるけど、「新潮」は知らない」と、同じことを思った方も多いかと思われます。
私も「文芸誌」と呼ばれる雑誌は、今年3月の「文藝春秋」が、初めて買ったものになります(笑)

書店で購入される方は、「文芸誌」の置いてある棚やコーナーへ行って、探しましょう。
あとは、慣れですね。このページにもしつこいくらいリンクを貼っていますので、月刊文芸誌「新潮」 の基本デザインを目に焼き付けておきましょう。

また、「新潮」のメールマガジンに登録する というのも、「新潮」を知る一つのきっかけになるかと思います。
配信は、発売日前日の6日。(6日が日曜日だったら、配信は7日未明。先月の配信予定日の6日は日曜日だったので、7日に配信されてました)
今回は新連載ということもあって、恐らく冒頭の部分が読めるはず。それを読んで、「購入しようかな」と検討するのも良いでしょう。

「書店で確実に入手できるか不安」という方や、「上記の試し読みをして、購入しようか」と決めた方は、雑誌のオンライン書店 Fujisan.co.jp を利用されるのもいいでしょう。送料無料で、雑誌によっては割引もありまして、「Fujisan.co.jp」で取り扱っている「新潮」は、現在、「雑誌愛読月間定期購読キャンペーン特価」で販売中! 年間約1冊分の値段、お得になっています。
(別に回し者ではないんですが・苦笑)

以上が、私がない頭で考えた購入方法です。ご参考になりましたでしょうか?
但し「買わないけど、図書館に「新潮」をリクエストして読む」という方は、この限りではありません。

***

今月7日(木)、月刊文芸誌「新潮」 の2006年10月号より始まります、<合田シリーズ> <彰之シリーズ> が融合された作品の新連載のタイトル。
こちらのブロガーさんの記事から知りました。ありがとうございました!

『太陽を曳く馬』

・・・だそうです。ひゃ~、カッコええ~!(笑)

・・・最初にこのタイトルを見た時に連想したのは、ギリシア神話の「パエトーン」の神話でした。私が生まれて初めて買ってもらったギリシア神話の本にも、収められていました。
・・・続いて思ったのが、『神の火』の通奏低音である「プロメテウスの神話」でした。

「パエトーン」の神話はご存知の方も多いと思いますが、簡単に内容を。ギリシア神話は伝承や書籍によって多少違っていたりするので、その点は含みおき下さい。

パエトーンは、母のクリュメネに「お前は太陽神・ヘリオスの息子だ」と言われているのですが、パエトーンの友達は、キュクノス一人を除いて信じません。(「太陽神」はヘリオスあるいはアポロンのどちらかと言われていますが、ヘリオスの方が多く採られているようです。私の読んだ書籍でも、大半はそうでした)
そのことを母に訴えると、「ならば父の神殿に行って確かめなさい」と、パエトーンを送り出します。

神殿に辿り着いたパエトーンを、ヘリオスは快く迎えます。「あなたが父であるという証拠を、いただきたいのです」と切り出すと、「よかろう。お前の望みをかなえよう」と誓うヘリオス。パエトーンの望みは「太陽の戦車に乗せて下さい。そして僕に御者をやらせて下さい」というもの。ヘリオスは難色を示しますが、神が誓った言葉は取り消せません。

パエトーンは太陽の戦車に乗り込みます。ヘリオスは、高すぎず低すぎず走るようにと言い含めます。
有頂天のパエトーンは、意気揚々と出発します。ところが馬たちは、重さがいつもと違うことに戸惑って、暴走を始めます。

馬車を制御しきれなくなったパエトーン。低い軌道を取れば、大地や森や川などの自然は燃えたり干上がったりし、人間や住まいも焼けていきます。(このせいで、サハラ砂漠が誕生したという後日譚がある)
慌てて軌道を上にすると、大地や森や川などの自然は凍り、人間たちも凍えていきます。次第に馬車は、天上界へと近づいていきます。

このままでは人間界も天上界もめちゃくちゃになってしまうと、大神・ゼウスは自らの武器である雷を馬車に投げつけました。火だるまになったパエトーンは、エリダヌス川に落ちて死に、それを見ていた友人のキュクノスは嘆き悲しみ、白鳥になってしまったと言います。


「制御」というのが、『神の火』のテーマの一つだったようにも思います。
今回のパエトーンの神話からも、「力のないもの、分をわきまえないものが、巨大な装置や危険なシステムを制御し切れるのか」・・・というようなテーマが、描かれるのでしょうか? (もちろんテーマは、他にもたくさん描かれることでしょう)

・・・などと発売前の推測(妄想? あるいは、邪推?)をして、発売日を待ちます。

***

だがしかし! この新連載に関して、marimoさん、minoringさんと最も話が盛り上がったのは、
「義兄・加納祐介さんは、出てくるのか!? 合田さんとはどうなっているのか!?」
・・・ということでした(笑)

だってねえ・・・。文庫版『照柿』での義兄弟の描き方から推測すると、ものすごく不安で不安で仕方がないんだもん!
今回の作品次第で、何年後かに発売されるだろう文庫版『レディ・ジョーカー』での義兄弟の関係がどう変化して、どのように描かれるのかが、推測されるかもしれないのですから。

今回の連載、加納さんはメインで登場しなくてもいいのです。ちらっと存在だけアピールしてくれれば、私は(とりあえず)満足。・・・過労死や病死してなければ、それだけで御の字です(苦笑)

昨年の冬、『新リア王』にサインしていただいた時に、よっぽど言おうかと思いましたもん。「加納さん、出して下さい」と。
しかし言ったら言ったで、はぐらかされそうな気もしたし(苦笑) 先に知ってしまうのも、楽しみがなくなってしまうし。ああ、複雑・・・。

連載第一回で判明するとは思っていませんが、「待つという楽しみ」と「知るという楽しみ」は、健在なわけです。
早く来い来い、7日の木曜日~♪