ウィーンで学ぶ

---ウィーン医科大学心臓胸部外科
留学日記とその後...---

人工心臓

2007年01月30日 | ウィーン
と言うと、少し大げさかもしれませが、左室補助装置(LVAD)装着の緊急手術がありました。日曜日でしたが、慕っている教授が当直でもあり、手術を教えてくれました。

症例は子供のため、普段とは異なる装置が選択されました。Berlin HeartのEXCORと言う装置です。http://www.mirm.pitt.edu/news/article.asp?qempid=357
この機種は人工心臓の大きさが10mlから85mlの幅で選択できることと、駆動系の仕組みがシンプルなのことが特徴です。

症例はすでにECMOと言われる補助循環装置(簡単な人工心肺装置)を長く必要としており、それにかわり今回のEXCORの装着となりました。
なかなか危険な状態でもあり、日曜日にもかかわらず心臓外科の教授が3人参加しておりました。さらに心臓麻酔科医も3人、技師や機械業者の方など多くが手術室にいたので、平日よりもむしろ厚い人員配置でした。

この手術を決定するに当たり教授方で意見の相違があったようで、それも相まって緊迫した空気の中、一人の小児心臓外科医が手を下ろし、続いて別の用事でほかの教授も降りたため、自分が手伝うことになりました。

小さい体に人工心臓、心外式ペースメーカー、一時ペースメーカー、ドレーンなど沢山の人工物が埋め込まれているので閉胸も神経を使います。将来の心臓移植に備え、各所に人工心膜を置きながら閉胸しました。

非常にお金のかかる治療法でもあり、日本ではまだごく一部の病院でしか認められていないもので、貴重な経験となりました。若い生命力で、きっと回復してくれることでしょう。
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