トノサマバッタのオスを見た後に、少し変な動きをするメスを見つけた。
腹を引きずりながら、何かを探している様子。
このように、腹部を地面に当てる様子が時折見られた。
腹を温めているのか、あるいは砂の具合を確かめているのだろうか。
突然腹部を立てる。産卵かと思いきや、フンをしただけ。
その後もフンをポトポト落としながら、日陰に入って休んだかと思えば、またすぐに歩き始める。
しばらく眺めていると、岩陰に入ってから出てこなくなった。
おやおや…?回って見てみると、なんと産卵管を差していた。
産卵に興奮しつつも、砂まみれのその姿に、見ながら一人心打たれていた。
見ながら薄々感じていたが、産卵していない気がしたのだ。
腹部の”うねる”動きも少なかったし、産卵場所を見繕っているように見えた等々、
その場で色々考えたりはしたが、内心そんなことはどうでも良く、
当時の自分は灼熱の砂利の上で夢中になっていた。
とはいえ、腹部の先端を見る限り、地中を掘る動作をしたのは間違いない。
少し歩いてまた差し込む。
一連の動作を見る限り、産卵ではなくテストだったのかもしれない。
いずれにせよ、その場に居合わせて幸運だったのは変わりない。
謎の行動を終えた後は、今度は草陰に入る。
少し土砂を上り、何とも言えない場所で体の掃除を始めた。
どこか疲れている様にも見えるトノサマ母。その後もここで落ち着いた。
総括~
バッタの生態として、日光浴をして排泄を促進するのは知っていたのだが、
その後腹を地面に差して回るのは初めて見た。
ただのフン詰まりか、産卵か、テストか。答えは掘って見ないと分からないが、
そんなことは研究者に任せて、僕はその場限りの心揺さぶる体験を大切にしたいと思う。