ハービー・ハンコックが通算11個目のグラミーで遂に主要部門の「Album Of The Year」を初受賞。同時に「Best Contemporary Jazz Album」部門も。それにしても主要部門の栄冠に輝くとは、作品がジョニ・ミッチェルねただろうがオリジナルだろうが、この際どうでもよくなってきたに違いない。しかも、ハービー曰く「ジャズ・ミュージシャンの受賞は、1965年の『ゲッツ/ジルベルト』以来43年ぶり2度目のこと」。これには異論がないわけではないが、実際そう言えなくもない一面も。ほかでは、マイケル・ブレッカーの2部門制覇と、『Brown Street/Joe Zawinul』のアレンジ部門での受賞。07年に没したふたつの巨星へのレクイエムにもなった。見落としがちなのは、「Best Classical Crossover」のタートル・アイランド・カルテット、「Best Instrumental Composition」のマリア・シュナイダー、「映画・テレビ用音楽」のサイーダ・ギャレット、「歌伴編曲」のジョン・クレイトン、功労賞には07年に逝去したアル・ヴィオラなど。驚いたのは、林屋小さんと額賀大臣を混ぜたような顔つきになっちゃったクインシー・ジョーンズと、赤鼻のアンディ・ウィリアムス。これはハイビジョン映像の功罪と言えるかな。いずれにせよ毎回共通して否めない、対岸の花火を見聞きするかのような気分は、こちらの勉強不足から来るものなのかしらん。