まだまだ暫定的ながら、残すはカナダのRed Vinyl盤と日本コロムビアの帯付き盤のふたつ。習性というものが少々嫌になってきても、だから習性というのだろう。目下、歴代の内外アナログ盤が8種8枚。経年=勤続疲労のあるヴィニール盤をCDと同じ尺度で比較するつもりはないが、それにしても、1枚1枚のこの音質と音調の違いには唸ることしきり。さらに、暇も使いようなことを思い知った。その代わり、8枚のうちカナダのYellow盤(9022-1006)と英国盤(MCL-1745)のマスタリングが、なんとLR逆、右と左がひっくり返し。これだけなぜか新鮮に思えたのはそのせいだった。SDふたりが知らぬ存ぜずだったはずもない? それとも?
車のエアコンのガス・チャージをスタンドで済ませ、東京・四谷のJazz Life編集部を往復。午後3時ちょい前から4時過ぎの危ない時間帯なのに、首都高5号線が往路復路共に渋滞ゼロ。こういう奇跡的なことがあるから、無理してでも車を持っていたくなる。しかも、それに前後して大収穫がふたつ。ひとつは編集部にお借りした、今話題の寺井尚子のガラスCD。もうひとつは、帰宅するなり出迎えてくれた、ネット・オークション経由の宅配便。日本コロムビアが出したスティーリー・ダンのコンピで、不覚にも僕はコレをオークションで見るまで知らなかった。トルコ・ブルーにメイクした山口小夜子のド迫力は、『aja』の不気味を凌ぐとも劣らない。なので、ディスプレイするにも最高至極。が、寝床の天井には厳しい、など思いを巡らせつつ、ガラスCDをカリーンとプレーヤーのトレイに載せた。定価9万8000円也。どうだったかは、Jazz Life誌かここでいずれ近いうちに。『aja』のアナログが8種8枚揃ったことも。
『CDジャーナル』最新8月号の特集「フュージョン再考」はまあまあ面白かった。日頃、「フュージョンならオレのもの私のもの」を自負するご諸賢の玉稿があまりなかったことも。ほかではやはり、フュージョン発祥以前、たとえばマイルスやコルトレーンをちゃんと聴いてきた人の論旨がビシっと決まると、70年代生まれには到底太刀打ちできないものになるのを痛感。まあそもそも、戦前を学ばずに戦後政治だけ語りたがるような輩が多過ぎては、期待する方がおかしい一面もあるにはあるが。ただ、サッカーW杯決勝を見るうえで、ヨハン・クライフの開脚フライング・ボレーシュートが記憶にあるかないかで分かれた醍醐味の厚薄、これを思うとまた考えも違ってくる。ちなみに、年寄り扱いされようが何と言われようが、1968年放映開始の「三菱ダイヤモンド・サッカー」を初回から最後まで見続けた。最初のサッカー・ヒーローは、ボビー・チャールトンとジョージ・ベストだ。おっと話はそうではなくてフュージョンか。目下、以下の3社協同の「VAMフュージョン・キャンペーン」が真っ最中、とここで紹介して欲しいとのこと。僕にはほとんど仕事の出てこない会社ながら、内容が面白いので興味のある方は飛んでいってみて下さい。ビデオアーツ・ミュージック、アルスヴィータ、K-倶楽部。
テーマとしてはこれぞ地味の手本。M2075など制振面で脚光を浴びてきたネジ類があるにはあるが、なぜかほとんど光が当たらずに来た局所が電源まわりのネジ、とは出水電器社主の島元さん。しかし、八方手を尽くしてもまだ物足りない、何か見落としてやいないだろうか、と絶えず思考し自ら実践し、その知恵と成果を惜しみなく分けてくれる身上と執念、これにはまたまた頭を下げ通しになった。6月に引き続き月曜に新たに取り替えってもらったのは、タップ内コンセントの結線ネジ。それから今日で2日目、微妙ながら音調が引き締まり、背景も静かになった微妙な気配が、じわじわと焦点を結んできて、こりゃあ次にアース棒の増設に踏み切るしかないかな、と。10本を打ち込んだ現状の抵抗値は16オーム。10本単位の増設が上手いこと奏功してひと桁台になると、別世界がやってくるらしい。ともあれまずは、リファレンスのアナログを、昨日から愛称ターコイズで知られる『ナイトフライ/ドナルド・フェイゲン』のQUIEX Ⅱ盤に一本化したので、こいつの音を聴くのも醍醐味のひとつ。おかげで長年回してきた日本ワーナーの白ラベル見本盤が、いかにもファースト・プレス・グループらしい力量の持ち主なことも分かって良かった。
何でもしつこく踏み込んでいかないとダメだ。と言うより、こんな単純なところの見落としは大バカもいいとこって、ただ、そこに触れてあるとは思いもよらなかった。裏カヴァー・コピーのいちばん最後に、これは「Custom pressed on KC569 premium virgin vinyl」盤だと。以前どこかの項で触れたように、音の濃度、彩度、解像度などどれも別格に凄いと思ったら、オーディオファイル向けに特化したシリーズのうちのひとつで、しかも、プロモーション用プレスとは恐れ入った。ラリー・カールトンのはもうひとつ『ディスカヴァリー』があり、ほかにもアコーステイック・アルケミー、アルバート・リー、ビリー・ジョー・ウォーカー、ジェリー・ダグラスなど、シリーズは相当数に及んだらしい。Mobile Fidelityの『Aja』などレアなところがやっと揃い始めた矢先のこの始末に、先が思いやられた。お店で狩りする時は、裏ジャケ右下に「MCA MASTER SERIES」のロゴを探すこと。うるさ型を相手にする向こうのネット・ショップでは、ほぼ漏れなく「KC569」の注記を入れているようだ。もしも運良く盤を手に取れたら、強い照明にかざして茶色に透けると完璧。幸いウチのもそうだ。やっかいなのは、重量盤ではないため、つまみ上げた手応えだけで分からないことだが、それだけに凄い。
網を張り続けて1年、アナログ高音質コンピ『Steely Dan gold』(MCA-16016)を、ACOUSTIC SOUNDSでやっと手に入れた。ミント・マイナス・コンディションのPreowedがかっきり50ドルで、状態説明に偽りなし。そして、曲によってはMobile FidelityやCISCOなど3rdパーティー・オーディオファイル盤の音質を明らかに凌ぐ。それらを聴いてきた人なら、1曲目〈ヘイ・ナインティーン〉ではじけるギターのパワー感だけで、こいつの凄さに気づくはずだ。リリースは1982年、CD市場導入年のこと。ドイツのテルデック社による、ダイレクト・メタル・マスタリング&ハーフ・スピード・カッティング。またも不勉強を痛烈に恥じた。
編成は、
A1.Hey Nineteen
2.Green Earrings
3.Deacon Blues
4.Chain Lightning
B1.FM
2.Black Cow
3.King Of The World
4.Babylon Sisters
編成は、
A1.Hey Nineteen
2.Green Earrings
3.Deacon Blues
4.Chain Lightning
B1.FM
2.Black Cow
3.King Of The World
4.Babylon Sisters
これでは梅雨明けかというもの凄い夕陽の直射を見ながら、ひとつ大事な宿題を思い出した。注意深く剪定してもしても、止めどなく背丈を伸ばし続けるメッセージ・ビーン。一時は身長50センチ超。そろそろ地面に植えてあげるべきかも知れない。とまあ、ぽっかり空いたオフの木曜日って、これぞフリーならではの一喜一憂の時間だが、ブラインド・カーテンをモノともせず突っ込んでくる夕陽には、相変わらず拭き掃除をプッシュされ、暇やら忙しいやら分からなくなったりして。そうこうした次に、A面45回転、B面33回転プレスのジャズLPを発見。これは楽しみだ。
面白いCDを送るから聴いてみて、と送ったのはいいが、1週間経ってもなしのつぶて。Sクン、あんたのことだよ。それに前後して、こっそりCDプレーヤーを新調しようと画策し始めると、家人が拠点にする和室のエアコンが唐突に命尽きた。いつも人が集まるスペースなのでイイのをおごると、こっちの仕事部屋の冷房力が圧倒的にダメなことが分かり、さらに、車のエアコンもどうやらガス圧が低いことにも気づいて、ここ2週間は夏対策に神経やら何やらを使い果たしてヘトヘト。そういう埼玉県南部はさらに昨日まで2、3日、局地的集中豪雨続きときてはblogってるどころの話ではなかった。今日は蒸し暑い夏は夏のままでも、なんとなくひと段落の後、ライナー・ノーツをひとつ書き終えて、SHM仕様SA-CDの『至上の愛』と『ゲッツ/ジルベルト』を徹底比較試聴。シングル・レイヤーを音匠フィニッシュにした効用に、強烈果敢に耳と脳が揺さぶられて参った。トップのマイルス71枚組セットのインフォにも。