

何でもしつこく踏み込んでいかないとダメだ。と言うより、こんな単純なところの見落としは大バカもいいとこって、ただ、そこに触れてあるとは思いもよらなかった。裏カヴァー・コピーのいちばん最後に、これは「Custom pressed on KC569 premium virgin vinyl」盤だと。以前どこかの項で触れたように、音の濃度、彩度、解像度などどれも別格に凄いと思ったら、オーディオファイル向けに特化したシリーズのうちのひとつで、しかも、プロモーション用プレスとは恐れ入った。ラリー・カールトンのはもうひとつ『ディスカヴァリー』があり、ほかにもアコーステイック・アルケミー、アルバート・リー、ビリー・ジョー・ウォーカー、ジェリー・ダグラスなど、シリーズは相当数に及んだらしい。Mobile Fidelityの『Aja』などレアなところがやっと揃い始めた矢先のこの始末に、先が思いやられた。お店で狩りする時は、裏ジャケ右下に「MCA MASTER SERIES」のロゴを探すこと。うるさ型を相手にする向こうのネット・ショップでは、ほぼ漏れなく「KC569」の注記を入れているようだ。もしも運良く盤を手に取れたら、強い照明にかざして茶色に透けると完璧。幸いウチのもそうだ。やっかいなのは、重量盤ではないため、つまみ上げた手応えだけで分からないことだが、それだけに凄い。
