窯元日記復活

奈良博三昧『国宝 空海筆 金剛般若経開題残巻(三十八行)』

奈良博三昧『国宝 空海筆 金剛般若経開題残巻(三十八行)』
1巻
紙本 楮紙 墨書 巻子 無界
縦28.1 横131.8

平安時代 9世紀


伝 来
醍醐寺(京都)伝来、高松宮家旧蔵
銘 文
釈文「三依大喜三昧之力能離嫉ゝ/妬ゝ之心從彼我而生若/忘彼我即見一〔傍注 見ゝゝ〕如ゝ即得平/等ゝ則離嫉妬ゝ即随〔傍注 喜〕一切/衆生善随喜則不謗一切/法不謗即信受ゝ即奉/行故次經文云頗有衆生/得聞是言乃至能生信心以此/爲實及經中所説遺志/人我不著諸相等文義皆是/大喜三昧之用心大喜三昧/則曼殊〓之三摩地也此/大般若一部六百巻並是〔傍注 十六會二百八十二品〕/文殊〓之三摩地門十六會/則十六大〔傍注 金剛界〕〓三摩地門也/故龍猛〓菩提心論云從/内空乃至无性自性空/十六空門皆是薩寶等/十六大〓之三摩地門此十/六大〓三摩地法門能攝一切/法教應化随機之説ゝ多/名淺略之義若爲大度/種性説眞言深祕故文/云爲發大乘者説者擧顯/教爲發最上乘者説者〔傍注 擧〕爲/眞言宗者説深祕義金剛/頂等經名最上乘故據智/度論般若有多種淺深〔傍注 爲〕地/前人所説淺爲地上所説深/地上中亦有淺深一ゝ地〓/皆有差別初地〓不知二地/〓所知般若乃至九地〓/不解十地〓所知十地不知/如來所得般若如是淺深/無量無邊廣略亦無量/無邊據大日經二乘凡夫/但解多名句淺略諸仏/〓一ゝ名句中解無量義」


奈良博収蔵品データーベースから「空海(弘法大師、774~835)が、義浄訳『能断金剛般若経』を密教の立場から解釈したもの。文中には加筆訂正の跡が著しく、空海の自筆草稿本であることを明らかにしている。文字の運筆は鋭くかつ軽妙で、空海の草書の面目をよく伝えている。  もとは醍醐寺三宝院に伝来していたようで、早くに切断され、現存するのは約150行である。この残巻は有栖川宮家→高松宮家に所蔵されていた38行で、このほか京都国立博物館が所蔵する残巻63行(国宝、神光院旧蔵)やいくつかの断簡の存在が知られている。なお大正12年(1923)の大正大震災の折に、86行分は焼失してしまった。  弘仁4年(813)10月25日に、藤原葛野麻呂が『金剛般若経』187巻の書写供養をおこなった際、空海がその願文を執筆しており、本書はその折に作られたとする説がある。

(西山厚)
奈良国立博物館の名宝─一世紀の軌跡. 奈良国立博物館, 1997, pp.308-309, no.141. 」 

https://www.narahaku.go.jp/collection/649-0.html

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