『私たちの本当の敵は、私たちの気分をよくして、私たちが徐々にしかしどうしようもなく、独りよがりで自己満足の砂地獄へと引き込まれるようにする人々だ』シドニー・J・ハリス(米国のジャーナリスト・1917~1986)
GYAO!にて【渇き。】を観ました。
監督・中島哲也、主演・役所広司。
公開時は『観に行ってみっかな~』とソコソコ興味のあった作品であります。
ま、結果として『観に行かなくって良かったな~』と。
厨二病をこじらせた世間知らずのガキが、『エログロやって一所懸命、エグい映画を撮ってみました』って感じ。
なんで、スタイリッシュ&アーティスティックな映画ってぇとエログロを目指しちゃうのでしょう。
ニッポン映画という、中途半端なぬるま湯体質の中で、エログロが成り立つわけがないのに。
だって、エロならAVにかないませんし、グロだって韓国映画にかないません。
【狂人】を装ったお坊ちゃん映画という事です。
役所広司は始終喚き散らしているだけ。
風貌も『一所懸命、汚くさせてみました』感丸出し。
娘役の小松菜奈は、教室で【不思議の国のアリス】なんかを読んじゃう、清楚な美少女でありながら、裏に回ると売春組織の元締という、超ありがちなキャラクター設定です。
ヤクザもチンピラもただただうるさい。
そんな中、ヘラヘラ笑っているだけの妻夫木くんは良かった。
オダジョーも出てますし、キャストはソコソコ豪華なんですが、奥行の全くないキャラクター陣が災いして、なんか勿体ないですねぇ。
チャカチャカした演出はホントにウザい。
全然、落ち着いて作品に集中出来ませんでした。
また、アニメーションをインサートするセンスも今時古過ぎます。
全編118分でしたが、チャカチャカした演出のわりには、エラく長く感じました。
この程度の映画観て『あまりのバイオレンスに吐き気がした』『しばらく、生肉が見れません』とかいうヤツがいますが、信じられません。
そんなヤツには、『もう少し、映画と人生を勉強しましょうね』と諭したくなります。
そう考えると北野武の作品はホントに良く出来ているなぁ、と感じます。
『恐らく、世慣れた老人から見れば、若い人たちの野心と夢に充ち溢れた姿は、世間知らずの、お坊ちゃんの、独りよがりの、見るからにあぶなっかしい姿であるに相違ない』河盛好蔵(ニッポンのフランス文学者・1902~2000)
過去の記事。
映画の巻。
映画の巻、ふたたび。
映画の巻、みたび。
映画の巻、よたび。
映画の巻、いつたび。
アウトレイジの巻。
龍三と七人の子分たちの巻。