このごろ、よく、生物多様性はなぜ大事なのですかと聞かれる。ぼくは、簡単に説明するときはこんなふうにいう。
生態系の豊かさが失われると人間の食べものもなくなります。食べ物も、もとは全部いきもので、人間がそれを一から作れるわけではないのですから、いろんなものがいなければいけないのです、と。
ただそれは少し説明を省略しいい方で、ほんとうは、あらゆるいきものにはそれぞれに生きる理由があるからだと思っている。
日高敏隆先生
理由がわかって何の役に立つ、といわれれば、何の役にも立ちませんよ、というほかない。しかし役に立てるためだったら、こんな格好をしないほうがいいというものがたくさんある。
人間も今こういう格好をしているが、それが優れた形かどうかはわからない。これでも生きていけるという説明はつくけれども。
だからこそ動物学では、海の底のいきものも人間も、どちらが進化していてどちらが上、という発想をしない。
いろんないきものの生き方をたくさん勉強するといいと思う。ぼくはそれでとてもおもしろかったし、そうすることで、不思議に広く深く、静かなものの見方ができるようになったんだ。
いきものは全部、いろいろあるんだな、あっていいんだな、ということになる。つまりそれが、生物多様性ということなのだと思う。
『世界をこんなふうに見てごらん』より
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