The Notebook Of Things I Don’t Know About

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「大衆というバケモノ」が野に放たれた 「日本人の精神と資本主義の倫理」 茂木健一郎・波頭亮著

2008年08月24日 16時46分45秒 | 
 文章抜粋。

 ■「売れてなんぼ」に拮抗する価値軸がない日本
 
 とにかく売れるものが日本では正義なのです。美術にしろ小説にしろ何にしろです。だからタレント上がりの自称芸術家も成り立ってしまう。芸大の学生たちは自称芸術家など端から相手にしていないけれど、そこに「売れてなんぼ」のファクターが存在してしまうと、やはり「武士は食わねど高楊枝」の精神は難しくなる。人間は弱いから、やっぱり売れるほうがいいと思ってしまうからです。

 日本のように、野に放たれた「大衆というバケモノ」が、資本主義やマーケットメカニズムに結びつくと、売れることこそ正義みたいな価値軸しか世の中に存在しなくなってしまう。

 (中略)

 もちろん、大衆の暴走がマーケットと結びついて、売れることこそ正義だとする価値軸は、いろいろな国で見られると思います。しかし、日本が異常だと思うのは、その価値軸しかないことです。社会正義としてもっとも危険なのはモノカルチャーでしょう。つまり、単一の原理だけで世の中が動く。これが一番危ないことです。売れることが正義だとする価値軸があってもいいけれど、それと拮抗する強力な軸が別にないといけない。

 

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