三人三様というけれど、この喫茶店が一番良かったという店が全部違っていた。A君は、三人の中ではファッションセンスが良くてスタイルもいいからだろうか、最後に行った上通紫苑喫茶店の雰囲気や調度品、マスターの会話に一押しだった。その指摘には三人とも頷いた。
B君はというと、窓から眺める市電の景色が最高だし、本屋さん(長崎次郎書店)と喫茶店は明治以来の絶妙な組み合わせだとまくし立てていた。後の二人も異論はないのだが、三軒の中ではちょっぴり高かったので一番にはしなかったという。
そして、今回の喫茶店巡りを主導したC君はというと、大の甘いもの好きもあって、何が何でも田中万十店である。カフェラテ自体が珈琲+牛乳というイメージに加えて饅頭というのだから、他の二人も口を挟めない。それに加えて店主の描く絵模様が気に入っているのが傍目でわかるから面白い。