Farmers Plant Seeds

🤳《不易流行》🤳あしたの詩を唄おうよ…🎵

故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】原点回帰[18]【雪の記憶】⑪

2022-01-28 | こころの旅
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 第二章 [五]を紹介します。





 次回は、 第二章 [六]を紹介します。


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故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】原点回帰[17]【雪の記憶】⑩

2022-01-25 | こころの旅


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 第二章 [四]を紹介します。




夏休みが近づいた。進学する者にとっては夏休みは最大の山である。海彦のクラス
の者たちは、夏休みを利用して遊びに行く相談をしていた。「おい小島、お前も行
かないか」「おれは行かないよ。家で寝ころんでいた方が楽だ」・・・・・・・・
 そうではなく、夏休みは兄の仕入れの手伝いや、家の近所の空地を開墾している
父の手助けをしなければならなかったのだ。・・・夏休み直前、五年全員と四年
の希望者だけを集めて、合同実力考査があった。海彦は組主任に呼ばれ「どうして
受けないんだ?」「進学希望者だけかと思いました」「受けてみろ。四年も五年も
実力はそう変わらんぞ」「は。受けてみます」・・・教師のすすめで、試してみる
ことになった。・・・実力考査は三日間にわたって行われた。海彦は、その結果
期待に反して十番以内には入れなかった。自身もひそかに期待していただけに、失
望はしたがやはり、五年は一年上だけのことはあったのだ。・・・夏休みになった。
・・・海彦と雪子の二人は、春休みの時と同じような幾度か会う約束をした。・・・
 夏休中のある日、兄と嫂の話で小倉市への引越しが決まっているのを知った。
夏休みが終わって間もなく、兄の一家は、小倉市に転居して店を開くことになった。
・・・その家は狭かった。それで、海彦と父は、それまでの苅田の材木置場のなか
の家に残ることになった。毎月の生活費は兄が持ってくることになっている。・・・
 父と二人だけになった家は静かであった。静かな空気の中で、海彦はあたりを気に
することなく本を読み、少年らしい感慨にふけった。・・・
 その頃は海彦のいる角帽の中学校のなかにも共産党の細胞ができていて、海彦の
級友にも、いろいろな宣伝活動をする者もいた。海彦はそういう党員やシンパの
ものの考え方は根本的に正しいし、実践するということは立派なことだと、漠然と
直感していたが、自らすすんでその中に入ってゆく気はなかった。・・・・・

・・・・・映画【北国の街】の中での描写はないがの主人公(富島健夫)実生活の
場面だろうと思われる。・・・・・

 次回は、 第二章 [五]を紹介します。

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故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】原点回帰[16]【雪の記憶】⑨

2022-01-21 | こころの旅


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 第二章 [三]を紹介します。



※【雪の記憶】が自伝的なものであるなら富島健夫氏の作家としての原点なのか?

・・・・・海彦と雪子は、人目を忍んで交際する中で手紙のやり取りや帰りの駅
での待ち合せ近くの川の堤での会話とふれあい・・・やがて、お互いの家の住所と
道順を交換する。海彦は、同居している長兄や嫂や父に気兼ねしながらも、ある日曜日
に、雪子の家を訪ねる。・・・雪子の部屋の本箱には「日本文学集」・「明治大正
文学全集」・新潮社の「世界文学全集」等の他に、哲学書、洋洋裁や編物の本も
混ざってあった。・・・「読みたいのがあったらお貸しするわ」・・・「みんな
読みたいな」・・・海彦が本格的に文学書を耽読するようになったのは、この頃
からであった。日本の明治大正の名作や世界の古典を、彼はこの本箱から次々に
読んでいった。その日も数冊の本を借りて帰ったのだが、それから後も、汽車の中で
、海彦は読み終わった本を返し、新しく次の本を受け取って読むことになる。・・・
・・・※ここが、所謂、富島健夫氏の作家としての原点だろうかと私は考える。

・・第二章 一 ~ 六(P70~P151)・・海彦たちは、新学年が始まり4年生
新制高校二年生?)になった。・・・・・二人の交際にまつわる出来事、自分たち
の将来の事、実生活での出来事・・・闇市や行商で生計を立てる中で、長兄と嫂
そして、父親との生活の中で思い悩む情景が描写されている。・・・・・

・・・・・春休みの間の交際は、さらに一歩、海彦と雪子の中を親密なものにした。
 海彦も雪子も、お互いに軽い冗談を言ったり、よそ行きの言葉で話さないでも
不自然さを感じないようになった。・・・新学期が始まって間もなく、海彦のクラ
スの坂本という生徒と雪子の同級生の山崎という女学生が、服毒心中し学校中が
大騒ぎになった。・・・心中した二人が、とかく噂のある素行不良の生徒ではなくて、
平凡な、目立たない男女だっただけに異常な感動を与え両校の生徒たちに投げられた
波紋は大きかった。・・・両校の生徒の交際を厳重にとりしまり始めた。・・・・・
・・・二人の心中は、感傷的なしえのあこがれか、厭世感(えんせいかん)だと言う
ことになった。・・・
 そんな中、進学か就職か・・・自分たちの将来についての関心が高まってもいた。
ある日、軟派の不良和田が海彦と雪子に横恋慕するが、硬派の不良藤田がその事を
知り仲裁に入る。やがて、軟派な不良和田と硬派な不良藤田は、近くの神社で大乱闘
事件を起こす。・・・・・



※映画【北国の街】では、小島海彦(舟木一夫)と志野雪子(和泉雅子)との恋愛や
硬派な不良・藤田(故:山内賢)との友情が軽妙に描写されている。・・・・・

 次回は、 第二章 [四]を紹介します。



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故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】原点回帰[15]【雪の記憶】⑧

2022-01-18 | こころの旅



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 第二章 [二]を紹介します。

・・・学校帰り汽車での偶然の出会と出来事と互いの身上話から二人の親交は
深まってゆくのである。・・・・・




・・・斜陽を反射してレールが光っていた。レールの光る部分は、二人が歩く
につれて動いて行った。海彦は急がなかった。この二本のレールがどこまでも
つづいていて、どこまでもこうして並んで歩いてゆく。そうであるならばどん
によいだろうと思った。・・・「どこから転校していらっしたんですか?」
 海彦は答えた。少女は海彦が朝鮮から引揚げてきたと聞いて、おどろいて見
せた。「向こうでは大変だったでしょう?」・・・「危なくはなかった?」
 二人は並んで枕木を踏んで歩いていた。腕と腕が、とき折りふれ合った。
「危ないことも多かったし、知っている人も殺されたりした。国が敗けたかな
しみは、ずいぶん味わいましたょ。権力の保護のないみじめさは。その代わり
、戦争の苦しさは知らなかったんだが」・・・少女は「あたしの友だちが、眼
の前で殺されたの。機銃掃射を受けて、並んで伏せたの。飛行機が通り過ぎて
、今のうちに逃げようと体を起こして横を見たら、友だちは身動きもしない。
あわてて声をかけながら抱き起したわ。死んだとはまさか思わなかったわ。弾
があたるなら、両方ともにあたると思っていた。・・・アメリカの飛行機が一
番憎い。・・・ちょうど勤労動員で田植えに行った帰りだったの。動員を命じ
た人も校長も憎かった。」・・・前の方から列車が進んできた。二人はレール
から離れて、線路の脇の小道に避けた。黙り合って、列車を迎えた。列車は
風を吹いて二人の横を通って行った。二人はふたたび枕木の上を歩き始めた。
 思い出したように海彦は自分の名を告げた。そして初めて、少女の名が
志野雪子であることを知った。海彦と同じ学年であった。「ぼくも、戦争が
終わってから、大人の言うことが信用できなくなった。戦争中に言っていた
こともこの頃言いはじめたことも嘘ではないとは言わせない」「敵からも、
同じ国の大人たちからも被害を受けたのだわ。心にヒビをいれられたわけね」
・・・そんなお互いの心中を語らいながら歩いてゆく・・・やがて防止の落ち
た地点に来た。二人は線路の両側の土提や麦畠を探し廻った。が、帽子は見つ
からなかった。・・・雪子はいくらか顔を紅らめて言い難そうに、「あの、
帽子ね。あたしから贈らせて頂きます。明日の朝、寸法をはかりますから」
いいんですよ。そんなに心配しなくても」「いいえ。あたしは最初から贈りた
かったんですもの」・・・・・昨日まで、あの少女とこんなに急激に親しく
なろうとは、まったく考えもつかなかった。空想のなかででもこうまで発展さ
せえなかったのだ。・・・海彦は誰もいない所で、ゆっくりきょうの出来事
を噛みしめてみたかった。・・・・・
・・・学校帰り汽車での偶然の出会と出来事と互いの身上話から二人の親交は
深まってゆくのである。・・・・・
 ※特に印象に残った内容を文中より抜粋転載しました。
 次回は、 第二章 [三]を紹介します。

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故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】原点回帰[14]【雪の記憶】⑦

2022-01-14 | こころの旅


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 第二章 [一]を紹介します。



※日活映画【北国の街】の鑑賞と原作本【雪の記憶】の再読を繰返しながら自分史を オーバーラップ・・・、
この頃は、まだ、蒸気機関車(SL96)で筑豊から行橋への乗客や苅田港への石炭等の 運搬を含め国鉄田川線が唯一の通勤通学手段であった。・・・・・映画の場面に置換え ると私は、汽車通学ではなく、自転車通学でしかも、一人片道8㎞の道程を毎日通ってた。
だから、人との出会いなどなく、まして女性との出会いなど皆無でる。・・・私の高校時代 は、早朝に家の手伝いとクラブ活動(剣道)が基本であった。専ら硬派なライフスタイル だった。
・・・然しながら、学校生活の中では、クラブ活動の中での人との出会いもあり、
友達との友情・恋愛感情も生まれかけてた事もあった。・・・・・振返ってみれば、
それが半世紀の時を越えて掛替えもない、同窓生としての思い出を紡ぐ事となっているの である。・・・・・・・・・・・

 次回は 第二章 [二]を紹介します。


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