僕は、隠れハルキストです。“隠れ”じゃないかな?多分、知ってる人は、知ってる。ちなみに1番好きなのは、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」。1番読み返したのは「ノルウェーの森」です。コロナウイルスによって自宅での幽閉?を余儀なくされているところに、村上春樹の新刊「猫を棄てる」が出たので、直ぐに手にした。本編わずか97頁、後書きを入れても101頁の小編である。短編小説ではない。村上が、初 . . . 本文を読む
日経新聞朝刊の連載小説を、朝起きて一番に読む習慣が、ずっと前から続いている。現在進行系の連載小説が、伊集院静の「ミチクサ先生」だ。ミチクサ先生とは、かの文豪、夏目漱石のことである。 この連載小説が実に良い。まだ時代は、一校時代。江戸っ子でスタイリッシュなシティ・ボーイ漱石と、地方(松山)から出て来たスケールのでかいカントリー・ボーイ蕪村の会話が、特に好きだ。二人は、お互いを「畏友 . . . 本文を読む
恵子って、本当に変人だろうか?
子供の頃、死んだ小鳥を見て、「小鳥、焼いて食べよう」と言い、自分の母親を含め、周りを一瞬に凍らせた恵子。
彼女は、焼き鳥の好きなお父さんに食べさせたかっただけ。
ある意味、とても素直な反応だ。
手を油で汚し、KFCを丸齧りするくせに、小動物が死んだら可哀想、お墓を作ってあげようと思う子供は、既に"良い子とは"というマニュアルを刷り込まれ . . . 本文を読む
煙草のハイライト並びにそのパッケージ・デザインについて、
子供達は ”ダサい、臭い、きつい、オヤジ、古い、土方(どかた…死語?)のタバコ”という印象を持っているのではないだろうか?
一方、オヤジである僕は、
”ブルーとホワイトのコントラストがシャープ、きつさの中に味がある、香り良し、トラディッショナル” と思っている。
ハイライトのパッケージ・デザインをしたのが、稀代のイラストレ . . . 本文を読む
それは、東武東上線の川越駅内の小さな本屋だった。
これからの長く退屈な道中をまぎらわすために、軽い文庫本でも買おうかと思った僕は、何故か作者も知らないその本を、文庫本の山の中から掴んでいた。
それが、佐藤正午の「ジャンプ」だった。
東上線の中で、山手線の中で、そして新幹線の中で、僕は夢中でその本を読んだ。
ある日、主人公のアパートからコンビニに買い物に行った彼女 . . . 本文を読む
鞄の中のワサビについて書いたのは、もうひとつ理由がある。
ちょうど”凸凹デイズ”(山本幸久著)という本を読んだ後だったから。
十年前、ふとしたきっかけからデザイン事務所にバイトするようになったデザイン専門学校の学生・大滝が、同じデザイン事務所でバイトする美大の学生で風呂にも入らずむさくるしいけど天才肌の黒川と、地方の出身なのにチャキチャキの男勝りで黒川と同級の女子大生である醐宮( . . . 本文を読む
子供時代のかけっこを想い出すと色々な風景が浮かぶが、そこにはいつも誰かの後ろ姿があった。
最初の後ろ姿は、幼な馴染みのケン坊だ。
ケン坊は僕よりも背が低いくせにかけっこは早かった。
田んぼの畦道で蛙取りに行く時、黄色の菜の花畑で紋白蝶を追いかける時、そして鎮守のお寺さんでジンジン鳴くアブラ蝉を捕まえようとした時、僕の前には先に駆けていくケン坊の背中がいつもあった。
小学校高学年は野 . . . 本文を読む
村上龍の絵本「盾SHIELD」は、サッカー・プレイヤー中田ヒデとの交流から生まれたのだと、或るTV番組で、著者本人が語っていた。
中田は、こわもてのイメージがあるが、付き合ってみると、実は彼ほどナイーブで、優しく、心配りのある人は居ないそうだ。
しかし、ピッチの上に立てば、外人のボディアタックにも負けない屈強さを持ち、メンバーを先輩と言えども容赦なく叱咤し、監督とも激論(喧嘩?)し、無責 . . . 本文を読む
絵本を買った。
絵本を買うのはいつ以来だろう?小学生?
しかし、とおり一辺倒の絵本ではない。作者が村上龍といえば、単純なお子ちゃま向けの絵本でないということは容易に想像つくと思う。
人の中心にある核(コア)…それを人は心とか精神と呼ぶ…は、デリケートで、やわらかく、傷つきやすい。
それを人は色々な形で守っている。そのプロテクトするための手段を、龍さんは「盾・SHIELD」という言 . . . 本文を読む