バーベキューを食べ終えて、満腹になった僕は、レストランのベランダに座り海を眺めていた。
巨大なオレンジの夕陽が、間もなく漆黒の海に消えようとしている。
気付いたらボブのママが、枯れ木のような身体を僕の隣に置いていた。
その動きがあまりに静かなせいか、或いは僕が沈み行く夕陽を見ながら思いに耽っていた故か、ママの存在に気がつかなかった。
ママにバーベキューのお礼を言った。本当に美味しか . . . 本文を読む
ボブのママに会った。
巨人であるボブの体躯から、Big Fat Mamaを想像していたが、ボブのママは枯れ枝のように痩せて、黒褐色の皮膚に細かい皺がびっしりと刻まれた老人だった。
ママは、僕を歓迎するために椰子のジュースを出してくれた。
何度も椰子のジュースは飲んだことがあるが、あまり旨いものではない。
ママは鉈のような厚い刃物で器用に椰子の実を刻んで、ストローをさして、僕に差 . . . 本文を読む
僕に届いたハガキは、グアム発ボブのママからだった。
僕も、このone decade中に、何度も住む国を変えたのに、よくぞ届いたものだ。
かなりの転送を経て、僕の手元に来たハガキは、汚れてボロボロになっているものの、僕は世界の郵便システムを見直した。
ボブのママはいつか機会があれば、僕に会いたいとハガキの中で書いていた。
まとまった休みの取れた2006年の春、僕はグアムに飛ぶこととし . . . 本文を読む
ボブを助ける?さて、どうしたことか?
ボブは、何かをして欲しいと直接要望したわけでもない。
ただ、莫大な価値があるであろう財宝の入った袋を、初対面である僕に預けたまま、立ち去っただけだ。
僕はビジネスマンだ。
僕がボブを助けるために選ばれたのが本当なら、ビジネスの知識を駆使することを求められたが故だろう、と勝手に解釈することにした。
或る筋を使い、この財宝をスイスの地下銀行 . . . 本文を読む
僕はボブに尋ねた。「何故、初対面の僕にこんな大切なものを見せるんだい?」
ボブは、当然のように答えた。
「だから、言ったろ。俺には、海のことが全て分かるんだ。岩陰に隠れて俺を引き裂こうと舌舐めずりしている邪悪な奴らの存在も、俺になついて餌を欲しがっている可愛い魚たちのことも、獰猛に見えても実はひどく臆病な連中のことも、静かな存在なのに手を出せば指など簡単に引きちぎってしまう恐ろしい奴らの . . . 本文を読む
バーベキューを残らず平らげた僕は、砂浜に横になった。
寝転んで見る青空は、どこまでも澄んで、高い。そして、海を渡る風が心地良く頬を愛撫する。
ボブも僕の隣で寝転んで、同じように真っ青な空を眺めていた。
暫く、静かな時間が過ぎたが、やにわに立ち上がったボブは100mほど離れた所にうち上げられたオンボロ船の方へ歩いていった。
この動くかどうか分からない廃船のような船が、ボブの住居を . . . 本文を読む
海から上がった僕は、エアーボンベとスーツを脱ぎ捨て、へたり込むように砂浜に腰をおろした。
二体の白骨を見た驚きと興奮から、早鐘のように打つ心臓の鼓動は治まることがなかった。
そんな僕の傍らで、ボブは大きな身体にはに似合わない器用さで、焚き木に火を熾し、潜水中に自ら捕らえた魚に加え、どこから調達したのか段ボール箱一杯のパプリカ、タロ芋、トウモロコシ等の野菜と牛肉を持ってきて、それらを串に . . . 本文を読む
今から、one decade ほどの昔、僕は休みともなれば、南の海に浮かぶ数々の島を訪問した。
紺碧の海が、海を渡る風が、透き通るような青空から降り注ぐ陽光が、夕方になると訪れるスコールやシャワーが僕の体内の細胞を隅々まで活性化させてくれた。
そんな生活から、ナチュラルに海に潜る様になった。
現地でスキューバの基礎は一応習ったが、実際には実践で潜る術を覚えていった。
潜りは死亡率の . . . 本文を読む
年末・年始の休みには暖かい所にゴルフに行く。
元旦に新年会を開かなくてはならないので、最近はあまり遠出が出来なくなってしまった。
2泊3日ぐらいで行ける近場で間にあわさざるを得ない。
この3年、連続して九州へ行った。
最初は宮崎のフェニックスへ行った。
ダンロップ・オープンが開催される有名なコースだ。トーナメントは2年連続してタイガー・ウッズが優勝している。
このコースは本当に . . . 本文を読む
<第二部 最悪の航空会社>
05年12月18日名古屋中部空港発、マニラ行きのJAL便に3時間遅れで乗った。
JALは、日本のフラッグシップ・キャリアであるが、その凋落ぶりは酷い。
まず、機体と乗務員の高齢化が凄まじい。
機体はこの十年一切更新されたことがないのでは?!
かって悪評高かった中華航空や、大韓航空の方がずっと新しい機体を使っている。
(先日、台湾に行ったときの中華航空はピカピカ . . . 本文を読む