チョコなんて、おくったよね。
わたしのわかいときは、かわいかったよね。
いまよりもっと、まじめで痩せていて、あなたもすてきだった。
子供同士の恋でも、ちゃんとかなえてくれた神様。
あなたにあげたチョコは、おぼえていますか。
そして、あなたがくれた、手紙は今でも心にあります。
それから、ずっと男の人って、最初の人がいいって。
わかりました。それからずっといろいろな人をみても、むりだった。
今、おばあちゃんだから、チョコをあげる相手もいないけど。
あなたの天国では、チョコレートをもらいますかね。
天国では、どんな暮らしなのかわからないけど。
私は、地上では、ただのおばあちゃんです。
あんまり美人でもなく、かわいくもなく。
見事に、ただのおばあちゃんです。
チョコレートを買っても、とどかないよね。
あなたに、届かないよね。
でも自分宛に、チョコを買ってたべますね。
天国の私の席、あけておいてくださいね。
きっと、あなたのところにいくときは、
二十歳の私の、可愛い自分になって生きたいなあ。
また車の横の席には、わたしだよねえ。
それまで、一人でいきてみます。でも、むりだなあ。
動物ぐらいとは、一緒にいきるかもね。
あなたはいじわるだから、先にかくれちゃったのね。
わたしはいまでも、あなたをさがしているけど。
みつからないのは、天国にかくれちゃったからね。
おばちゃんになった自分を、あなたはおどろくだろうかな。
だから、今は会いたくはないな。
天国にチョコをとどけるときは、
あのときの、可愛い私に戻る魔法がほしいなあ。むりかあ。