今日は一日晴れかと思っていたのだけど、いつの間にか曇ってきた。
資生堂ギャラリーへ。
17th shiseido art egg 開催中。
シセイドウアートエッグは、2006年に始まった公募プログラム。
新進アーティストによる「新しい美の発見と創造」を応援する。
今回で17回目。
今回は応募総数351件の中から、林田真季・野村在・岩崎宏俊の三名が選ばれた。
4月23日~5月26日まで岩崎宏俊展。
「ブタデスの娘」。
岩崎宏俊(1981~)は茨城県生まれ。
東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現領域博士後期課程修了。岩崎は、実写映像をトレースしてアニメーションを制作するロトスコープという手法に着目し、その芸術表現としての可能性を追求していいるという。
「ブタデスの娘」とは、古代ローマの文筆家・大プリニウス(23~79年)が記した「博物誌」の中の神話に由来する。
古代ギリシアはコリントで、陶工・ブタデスの娘の恋人が戦地に赴く際に、彼女はランプの灯りで照らされて壁に映った彼の「影(スキア)」の輪郭をなぞり写しとどめたという。
これが絵画の起源とされるエピソード。
そして、彼女の父親ブタデスはこの肖像を粘土で型取りレリーフにして焼き固めた。これが塑像、彫刻の起源とされるエピソード。
岩崎は、会うことが叶わなくなった人や風景の記録映像をロトスコープで制作し、ブタデス父娘の行為と重ね合わせる。
不在をしるし、とどめること、そこに描くことや創ることの根源を見出し、同時に、私たちの記憶の在り方を問うという。
壁に映像が流れる。
幻想的な映像は夢をみているようですらある。
添えられた短い文は詩のようでもあり短歌のようでもある。
ねえ?この作品の何かまとまったものない?
とスタッフさんに聞いたら、図録もこれからだからわからないという。
このギャラリーの面白いとこは、動画は30秒に限らせてもらってますけど、写真に制限はありませんからと言う。要は、自分で撮って自分でおこして個人的に楽しむのはいいということだわな。
でも、やっぱりこういう作品は、それなりきの、例えば、さわひらき氏の本のような形でみてみたいのだった。