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マスタケ (針葉樹タイプ)

2006-06-28 | きのこ 白バック
原色日本新菌類図鑑Ⅱ P141-142 マスタケ
 学名が示すように筆者(今関)はマスタケをアイカワタケの変種とした。変種名の miniatus は朱紅色の意味で、ジャワ産の Polyporus miniatus Jungh. [Laetiporus miniatus (Jungh.) Overeem) に基づく。基本種のアイカワタケ L. sulphureus はヨーロッパでは一般にイオウ茸といわれるように全体が鮮黄色であり、主として広葉樹にはえる。日本にも同様の典型的なものがあり、広葉樹生であるが、日本には上記のように亜高山性の針葉樹にはえ、傘が華麗な鮮朱紅色のものが多い。肉の色が淡い鮭肉色なのでマスタケという。もとは両者を併せてマスタケ別名アイカワタケとしたが、筆者(今関)は色・形が日本のマスタケに似る菌がジャワにあって、上記の学名でよばれていることを知り、マスタケとジャワ産の菌とを検討した結果、マスタケをアイカワタケの変種とした。しかしこの取扱いについては再検討が必要である。
 日本のマスタケ型の菌は日本と東南アジアにあるが、日本では広葉樹にもはえるが主として針葉樹にはえ、本州以北に多い。サハリンにも分布する。東南アジアでは広葉樹にはえる。このマスタケ型の菌は北アメリカ大陸にもあるが、傘の表面は朱紅色だが裏面の管孔面は鮮黄色のものが多い点がマスタケとは異なる。しかし、アメリカの俗称が sulfur mushroom または chicken mushroom といわれることは肉の色が鶏肉に似ていることを意味している。ちなみにアメリカでは黄色系も朱紅色系も区別しないで L. sulphureus (Fr.) Murr. の学名を用いている。また日本にもアメリカ型のマスタケがあり、筆者はコメツガ(富士山)とタブノキ(鹿児島県大隈半島)で採った経験がある。これをアイカワタケ・マスタケのいずれとすべきかは問題である。
 さらに東南アジアの菌にくわしい Corner (1984) はボルネオ、ニューギニアなどの菌を研究し、熱帯のマスタケには Ryvarden の提唱をうけいれ Laetiporus discolor (Klotzsch) Corner の学名を用い、その中に4変種を設け、今関の var. miniatus もその一変種とした。この処置には軽々しくしたがうことはできない。ヨーロッパ・アメリカ・アジア・熱帯の L. sulphureus 系統の菌を生品を通して比較検討することが望ましい。とくに色の特色は生の資料に基づいて十分に検討する必要があり、各地のきのこ同好者の研究に期待するところが大である。
 なお、Ryvarden (1978) は熱帯の赤色系の菌を独立種とせず、品種程度にみなしている。


いやいや、泥沼状態です。
マスタケにはいろいろなタイプがあって、亜高山性の針葉樹にはえ、傘と管孔面がマス色のものをマスタケと呼ぼうということでしょうか。富士山のコメツガには管孔面が鮮黄色のアメリカ型があるようなので要注意ですね。
典型的な L. sulphureus の傘は鮮黄色をしていて、日本にも広葉樹に生えるそうですが、今のところ私は見たことがありません。


2005年8月22日
富士山のマスタケは針葉樹にでるタイプで、裏側が黄色いやつですね。
どちらかというと肉は薄くて、木質化するのがはやいと思います。
お召し上がりは若いやつを。



マスタケ Laetiporus sulphureus (Fr.) Murrill
2005年8月17日 富士山