見出し画像

冬のソナタに恋をして

決着①



ミニョンの車は長いドライブを終えて、ユジンのアパートに到着した。こんな形にはなってしまったけれども、それでも初めて来るユジンの家に、ミニョンの心は弾んだ。
「ユジンさんの部屋はどこですか?」
「三階です」
「あー、あそこか。」
ミニョンは感慨深げに上を眺めている。

そんなミニョンを見つめてユジンは言った。
「行ってきます」
ミニョンはユジンを見つめ返して少し不安そうな様子を見せた。
「すぐ戻りますよね?」
「はい、戻ります」
ユジンは今度ははっきりと力強く言った。

そんなユジンをミニョンは目に焼き付けるようにじっと見つめた後、しっかりと抱き寄せた。どうか帰ってきますように、これ以上ユジンが傷つかない様に、という思いを込めて抱き締めた。


ユジンは緊張と不安でいっぱいだったけれど、ミニョンに抱きしめられてほっとした。ミニョンの吐息や鼓動を感じて、いつでも彼がいるのだ、ここからは自分で全てを説明して終わらせるのだ、という決心がついた。

二人は後ろ髪を引かれるような気持ちで身体を離した。ユジンはほっと息を吐いてアパートに入って行った。途中で後ろをクルリと振り返ってミニョンを見ると、まだミニョンはそこにいて、大丈夫というようにうなづいた。ユジンがアパートに消えてからもミニョンはしばらくそこにただずんでいた。最後に振り返ったユジンの泣き出しそうな顔が胸に焼きついて離れなかった、、、。
ユジンが自室に入ると、ダイニングのイスに母親のギョンヒが座っていた。ギョンヒはとても怖い顔をしてユジンをヒタと睨みつけた。
「オンマ、、、」
ユジンは静かにイスに座ったが、凍りついたように言葉が出て来なかった。こんなに怒っている母親は生まれて初めてだったからだ。重苦しい空気がただよう中、ギョンヒが目を逸らしながら重い口を開いた。

「ユジン、どういうことなの?サンヒョクをどれだけ傷つけたか分かってるの?」
ギョンヒはユジンを睨みつけて言った。その目からは涙が溢れ出した。ユジンがサンヒョクを捨ててミニョンとか言う男性と一夜を過ごしたことが、どうしても許せなかった。
「あんないい子を傷つけるなんて、どうしてなの?サンヒョクがあなたに何をしたって言うの?!ユジン、きちんと説明しなさい‼️」
ギョンヒの目から涙があとからあとから溢れてテーブルが濡れていく。そんな母親を見ても、もう気持ちを誤魔化すことは出来なかった。例え母親がミニョンとの仲を誤解していても、嫌われてもどうでもよい。
「オンマ、、、ごめんなさい。サンヒョクは何も悪くないの。」
「じゃあどうして?まさか、あのイミニョンとか言う男のせいなの?!そうなの?どうして?あんな男のどこがいいの?婚約者を捨てて、母親を困らせてもいいほど好きなの?ねぇ、何とか言いなさい!あなたに起こってることを説明しなさい!お願いだから」


するとついにユジンが重い口を開いた。それは許されることを、ミニョン以外の全てを諦めた口調だった。
「オンマ、、、わたしサンヒョクを愛してないの、、、」
そう言うとハラハラと泣き出した。声もなく泣き続ける娘を見て、ギョンヒは絶望のあまり何も言えなくなってしまった。ユジンの事が許せないギョンヒは、そのままコートと荷物を掴んでアパートを飛び出した。ユジンは慌てて追いかけたが、もはやギョンヒは聞く耳を持たなかった。
「オンマ、ちゃんと説明するから聞いて」
「こんな娘に育てた覚えはありません」
すがるユジンを振り切ってギョンヒは去って行った。ユジンは自分のした事で母親を傷つけた事実に、涙を流すしかなかった。
小さくなった母親の後ろ姿を見送るしかなかった。




コメント一覧

kirakira0611
@81sasayuri1018 さま、コメントありがとうございます😊
日帰り温泉、よかったですね。わたしも実はここ二週は温泉にまったりと、隙間時間で行きました。温泉て、身体がいつまでもポカポカしますよね。

ささゆりさんがおっしゃるとおり、ユジン母の態度が意味不明ですよね。
皆さまがおっしゃるように、後ろめたい過去があるのでしょうか。
略奪婚したとか(笑)
そんな気がしますね。自分は棚に上げて〜‼️
韓国では親が全てをぶっ潰して良いのでしょうか。
周りに大人の韓国の方がいないので、わからないです。
ちなみに、娘の友達の生粋韓国人12歳の子は、猟奇的な彼女にそっくりです。
自己中、気が強くてなんでも思ったことは口に出す、平気で自己都合で事実をねじ曲げる、和なんて関係ない、周りを振り回す、感情のままに生きる、、、日本人の間では差別でなくて性格で敬遠されてますが、わたしは嫌いではないです。むしろ、清々しいほどの自己中ぶりが気持ちいいです。強いて言えばチェリンがもっと強くなった感じですね(笑)だから、韓国の方は彼女みたいな人が多いのか知りたいです。
ちなみに、お母さんは絶世の美女とは遠いですが、結婚記念日には❤️型のバラを敷き詰めたボックスをもらい、専業主婦でもパパが料理を作り、ハルモニが日本でキムチをつけているそうです。在日の方ではなくて、仕事で日本にいます。
熱情の国だなぁと感心してます。お母さんは日本語をちっとも覚えないので、あっ日本に永住するんですがね、とにかく会話が出来なくて仲良くなれずに残念です。
話がそれましたがありがとうございました😊
81sasayuri1018
こんばんは。

このあたり・・・ユジン母の気持ちがわからないのです。
でも、やはり、何か自分の過去のことと重なるのがイヤなのでしょうか・・・

ドラマとは言え・・・子を苦しめる親たちですね・・・

ユジンの美しさ!ミニョンさんの優しさ。
面倒な展開ばかりですが、この二人に引き込まれるのです。
kirakira0611
@siawasegohan_2009 さま、おはようございます😃
そうなんですね。全然知らないのに、読んでいただいて嬉しいです。ストーリーを追うのが難しくないですか?
もともと書き始めたきっかけが、公認心理師の受験勉強のストレスと、コロナで外に出られなくて、文章を書くのが好きだけど、オリジナルストーリーは書けないから、そのとき巣ごもりでハマって観ていた冬のソナタを素材にしてます。
いつも栄養バランスのよい野菜たっぷりご飯を楽しく拝見してます。管理栄養士さんということで、栄養計算も好きと書かれていて、羨ましいというか、素晴らしいです。
わたしはダイエットアプリに計算してもらいながら、毎日健康的な食生活になるように奮闘中です。
ありがとうございました😊
siawasegohan_2009
私、冬のソナタをこちらで初めて知りました。
毎回楽しみに拝読しています。
kirakira0611
さま、おはようございます😃
コメントありがとうございます。
そうですね。谷底みたいなシーンですね。
親と決別しちゃうのはもっとも悲しいことのひとつかと思います。
やっと絞り出した一言なのに、にべもなく拒絶されちゃって、かわいそうだな、と思ってしまいます。親の立場から見たらまた違うかもしれないですね^_^
確かにヨン様とチェジウさんのコンビだからこそ、きっと引き込まれてしまうのかも、ですね。一世一代のハマり役なのかも、です。
breezemaster
おはようございます^^
色々なドラマに、波ってありますよね。
今回は、谷に落ちていくようなシーン、
”サンヒョクを愛してないの”
小さな声で、話したユジン、
シーンが記憶に残っているドラマって少ないです。
冬のソナタ、思い出すことが多いのは、なんでだろう~
やはり、ユジンがチェ・ジウさんだからこそのところありますね
kirakira0611
@behonestasmyself さま、ありがとうございます😊
本当にここから怒涛のように悲しい展開になっていきます。
もっと幸せな2人が見たいです(T . T)
コメントありがとうございます😊
とっても嬉しいです。
寒くなりましたね。
ご自愛くださいませ❤️
kirakira0611
@hananoana1005 さま、こんばんは。
ありがとうございます😊
そうですね、ユジンは柔らかくて控えめに見えて、いっちばん頑固者だと思います。一途になったら何があっても覆さないっていう。友達にもこういう人います。しなやかそうで、一本通っていて、メンタル的にめちゃくちゃ強い(笑)
この回のヨン様の優しい眼差しと包み込むような笑顔が大好きです。スクショを撮っていて、どのキャプチャーもよくて、迷いました。ユジンのキレイな泣き方も好きです。ジウさんが泣くと、本当にかわいそうになります。泣き得な方ですね。
目に見えること、見えないこと、どちらも大事ですね。きっとみんな見える部分で判断していて、ミニョンもユジンも反撃しないし、サンヒョクは別れたことを言わないし、ますますからまってますね。
ありがとうございました😊
おやすみなさーい⭐️
Unknown
うう…いったい、どうなってしまうのでしょう…
kirakira0611
けいこさま、こんばんは。いつもありがとうございます😊
今日から謎のチェックボックスがコメントについたんですね。コメントトラブルが多くて、前から気になってました。荒らしみたいな方がいるようですね。
ところで、ユジン母の気持ちを代弁していただいてありがとうございます。母から見れば、婚約者がいるのに朝帰りしたふしだらな娘!なんですね。でも、サンヒョクが別れたことを言ってないんですよね。本当にそういうところ、小狡いサンヒョクです。ギョンヒに膝ついたときに、実は僕たち別れてますって肝心なこと言わないの、本当にズルいと思います。
そして、ギョンヒもギョンヒだわー。ミヒから奪ったんですよね。忘れそうだけど、そうでした。母の業が娘に最後まで振りかぶってるのにぃ、ですね。けいこさんの読みで、ギョンヒがちょっと嫌な人に見えてきました。さすが鋭い分析力ですね^_^
愛してないって泣いてる娘が正しかろうが、なかろうが、味方になってほしいです。
ありがとうございました😊
hananoana1005
こんばんは(´▽`*)
なかなか 難しいです!
誰に何と言われようが、後ろ指差されてもユジンは自分の気持ちを貫くのでしょう~
もう、揺らがない!ミニョンが付いているから。
親友もオンマも今、目に見えている事しか信じられないのでしょう~私自身も、そうだから。

いつも有難うございます🌸
けいこ
こんばんは~。
更新ありがとうございます。

ユジン母~娘の話に耳傾けてほしかったと思いました。婚約者を捨てチェリンの恋人を取る(ふしだらな子なんて認めたくない!)。
でも、、愛してないと娘は言った。その言葉は重いのにーー。
自分もかつて婚約者カンミヒからユジンパパを(ユジンパパがカンミヒから心変わりしたとしても)奪ったことは忘れたの?

とにかく 愛してもいない男の人でも けじめだからと叱る、(もしかしたら、、ユジンパパが亡くなったあと、、サンヒョクパパからお金などお世話になっていたのかなあ?)そんな邪推もしました、、私。娘の気持ち一番なのになあ。
この回のとき、、また後からの仲間たちの態度もユジンよりサンヒョク寄りで ザワついた私でした。

あ~ー!本当に文章素晴らしい。
ありがとうございます。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「冬のソナタ 10話」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
2025年
2024年
人気記事